村山覚 18年9月8日放送
星のはなし ハレー彗星
西暦1835年の秋。76年ぶりに地球に近づいた
ハレー彗星が世界中で観測されていた。
ちょうど同じ頃、アメリカ・ミズーリ州で
ひとりの男の子がこの世に生をうけた。
ミシシッピー川のほとりですくすくと育ったサム少年は、
船舶の水先案内人や新聞記者を経て、小説家になる。
彼の代表作は「トム・ソーヤーの冒険」。
マーク・トウェインというペンネームは
日本人にもお馴染みだろう。
時は流れて1909年。彼は自分の死期が近づいていることを
悟ったのか「来年また彗星がくる。私は彗星とともに
この世を去りたい」と告げた。
そして1910年。ハレー彗星がもっとも地球に近づいた日の
翌日にマーク・トウェインは静かに息を引き取った。
彗星に乗って地球にやってきたかのような男の生涯。
彼が紡いだ物語は、これからもなお輝き続ける。