五島のはなし(52)
21世紀の幕が開けたその日、
つまり2001年の元旦、
僕の五島の実家に16年前の僕からハガキが届きました。
2001年の16年前といえば1985年。
科学万博があった年。
僕は中1でした。
記憶にないのですがその年、
五島の中学校では「21世紀の自分」に
手紙を書くイベントがあったようなのです。
2001年の正月はまだ就職もしておらず
横浜の日吉という町のボロアパートにもんもんと暮らしていて、
五島に帰省していた兄からの電話で
そのハガキの存在を知りました。
「そっちに送るけん」
そう兄は言いました。
16年前の自分からの手紙。
わくわくしました。
どんな字を書いていたのか。何を考えていたのか。どんな夢を持っていたのか。
そして、きっと思い描いていたような人間にはなれていないぞ、
16年前の僕くん・・・となんとなく切ない気分にもなりました。
そんな高ぶる気持ちでハガキを待ったわけです。
数日後。
届きました、ハガキ。
高鳴る胸の鼓動。
そしてひっくり返してみたら・・・
ひとことスケベな英単語(あえて、というか恥ずかしくて、具体的には書きません)
が書かれてました。
・・・・・・。
いやあ、情けなくてどうしようかと思いました。
「目が点」ってこういう状態なんだと知りました。
でも同時に、ほんとにほんの少しだけですが、
「やるなあ、アナーキーだなあ、13歳の俺」
とすがすがしい気分になったのも、事実。
13歳でそんなに無敵なんて。
すくすく育ってます!
完全に忘れてたんだな〜。
16年後の自分を絶句させるなんて・・・さすが、ブラックユーモアを巧みに操るイカしたばあちゃんの孫!DNAっちゅうやつやんね。(まぁ、ばあちゃんは、下ネタは言わんやったと思うけど・・・)
おばちゃん(3号&7号の母)も、「我が家では、交通事故に遭うたらゴヒッちいけって言ってある。」と言っていた。この一族は、ただものではない!7号よ、天下を取れ!
注釈:「ゴヒッちいけ」は、「中途半端に生き残らず、死ね。」という事。
ばあちゃんはたしかに
ブラックユーモアの人でした。
にしてもうちの母親そんなこと言ってた?
恐ろしか・・・
豪快じゃろ?随分前に聞いた話じゃばってん、未だに忘れられんよ。
ひろこなら言いそう・・
そんな博子が、去年突然電話してきて前置きも無く「そんな風にお前を育てたつもりはない」と。
本当に恐ろしいのは、博子ではなくその博子を味方につけ自分を攻めてきたひとみであるこをその時知った。