大友美有紀 19年4月7日放送
作家とアパート 萩原葉子
さあ、この春から新天地で暮らす!
という人も多いことでしょう。
でも若い頃は、思うような場所に住めないことも多い。
萩原朔太郎の長女、葉子が
小説「木馬館」で描くアパートは、凄まじい部屋だった。
壁はボロボロ、畳のヘリは破れている。
天井は雨のシミ、水場もない。
そのうえ夫は小心で疑い深い。
干渉してくる近隣の住人もいる。
父、朔太郎が描くアパート暮らしの寂しさとは
また違う厳しさがそこにある。
やがて「木馬館」の主人公は、
このアパートから出てゆくことができる。
厳しさがあるからこそ、
出てゆく「希望」を見つけられるのかもしれない。