大友美有紀 19年4月7日放送
作家とアパート 花園アパート
新年度、新しい暮らしが始まり、
新しい仲間ができる季節です。
稀代の目利き、
骨董の世界を完成させたとも言われる、
青山二郎。彼のもとには、若い文士たちが集まった。
小林秀雄、河上徹太郎、大岡昇平、そして中原中也。
芸術を語り、人生を語り、酒を飲み、揉み合い、
修羅場を繰り広げる。
その舞台となったのは、木造の薄汚いアパート。
「花園アパート」だった。
萩原朔太郎が暮らした「乃木坂倶楽部」とは大違いだ。
でも、ここには寂しさがない。
中原中也は、毎日誰かが来るので
幸せだと手紙に書いている。
本気でぶつかり合う仲間、
それこそが若い時代に必要なのかもしれない。