古居利康 19年5月25日放送
英一蝶・島一蝶
江戸の人気絵師、
英一蝶は島流しに遭って十二年後、
将軍逝去の恩赦で江戸帰還をゆるされる。
不在の十二年を埋めるかのように。
精力的に絵を描いた。
この時期の作品で、
『雨宿り図屏風』という絵がある。
降り出した雨を避けて、大きな屋敷の
庇の下に人々があわてて駆け寄る図。
侍。あきんど。お坊さん。遊女。
老人も子どもも野良犬もいる。
夕立は身分の上下に関係なく、
平等に降ってくる・・。
十七の時、狩野派に入門しながら、
すぐに破門された英一蝶。
市井の絵師として、人間の愛らしさや
滑稽さを描いてきた。
江戸に帰って十五年後。
残りの人生をめいっぱい使いきって、
英一蝶死す。七十三歳だった。