礒部建多 19年8月18日放送
Yoshi Canopus
ししの踊り
岩手県各地に伝わる
郷土芸能、鹿踊り(ししおどり)。
鹿という漢字を当ててししと読むのは
かつて日本で山の獣の肉のことを「しし」と
呼んでいたからだと言われている。
角の生えた面をかぶって
人がシカになりきって
激しくも美しい舞を踊る。
着物を着て、太鼓を叩きながら
長い黒髪を揺らし
大地を踏み鳴らして踊る。
シカになりきることで
肉をくれる獣たちに感謝し
また肉をいただけるよう祈願し
魂を供養するのだ。
人と獣の間には
境界などない。
人もまた自然の一部に過ぎない。
鹿踊りを見ていると
そんな不思議な気分になる。