大友美有紀 19年10月6日放送
白石准
楽器の話 ワーグナーチューバ
ワーグナーチューバという金管楽器があります。
リュヒャルト・ワーグナーが作らせました。
彼は「ニーベルングの指環」、
序夜「ラインの黄金」の、
「神々のヴァルハラへの入城」のテーマに、
フレンチホルンとチューバの中間的な音色が欲しいと考えました。
けれども、彼が求める音色を実現することは難しく、
楽器メーカーも楽器職人も叶えることはできません。
「ラインの黄金」の初演にも間に合いませんでした。
完成したのは、構想から実に20年以上経ったとき。
そんな思いと時間をかけて作り上げた
ワーグナーチューバ。
なのに、リヒャルト・シュトラウスは
その音を「耳障り」と評したのです。