若杉茜 19年10月27日放送
銀座のはなし 銀座、夢物語
銀座という街は、歴史とともに変遷しながら、
したたかに、華やかに発展してきた。
明治から昭和にかけて活躍した文豪、永井荷風もまた、
そんな銀座という街を愛した一人である。
彼が明治11年に書いた随筆『銀座』には、
母が昔、豪華なお重を用意して、
芝居を観に行っていた話などを聞かされ、
まるで遠い時代の夢物語のように回想していた、
と綴られている。
それから100年以上が経った今、銀座はなお、
新しい時代とともに発展し続けている。
銀座が変わっていく様子を、
目が痛くなるまで見つめていたい、とまで書いた荷風。
銀座を歩いてみるときは、遠い昔の街の様子に
思いを馳せてみてはいかがだろうか。
荷風の見た夢物語を、
追いかけるようにして。