野村隆文 20年1月25日放送
サマセット・モームの秘密
自分の四分の三は正常で、四分の一だけが変だと
言い聞かせようとしていた。
でも、実際の割合はあべこべだった。
作家のサマセット・モームは、
晩年、甥に向かってそう語ったという。
モームが生きた時代のイギリスでは、
同性愛は違法だった。
彼が二十一歳のときにも、
オスカー・ワイルドが投獄され、衝撃を与えている。
生前、公言は避けてきたモームだったが、
実はジェラルド・ハクストンというアメリカ人のハンサム・ボーイと、
繰り返し長旅に出ている。
社交家のハクストンは、
内気だったモームと、旅先で出会った人々の橋渡しをしたり、
真っ先に原稿を読んでアドバイスしたりと、
晩年までパートナーとして寄り添いつづけた。
いまや、同性愛への認識は、
世界中で大きく変わりつつあるが、
その裏側には、知られざる物語がある。