川田琢磨 20年5月16日放送
国立故宮博物院
希望という色をした器
中国北宋時代に、
宮廷用に作られた幻のやきもの、汝窯青磁。
世界にわずか90点ほどしか現存せず、
ひとたび市場に出れば、何十億という価格で取引される。
中でも最高傑作と謳われるのが、
「青磁無紋水仙盆(せいじむもんすいせんぼん)」。
グラタンを作るお皿のような、不思議な形をしているこの器は、
何に使われたものなのかもわかっておらず、
その値段を想像することすら、我々には難しい。
ただ、当時の皇帝はこの器を、こう呼んでいたそうだ。
「犬の餌入れ」と。