熊埜御堂 由香 10年05月09日放送
走る人 角田光代
彼女は、32歳で大失恋した。
切れた電球を変える気力もなくなった。
だから、髪を切るわけでもなく、
次の男を焦って探すでもなく、
ボクシングをはじめた。
強くなりたかったから。
女心の機微を描き続ける作家・角田光代。
失恋からたちなおっても、運動する習慣は残った。
角田は忙しい暮らしの合間にランニングを続ける。
いま、若い女性にマラソンが流行しているのも、
からだとこころがつながっていることを
実感しやすいスポーツだからかもしれない。
きっと、今日も、いろんな思いを抱えて、走るひとがいる。
角田光代のある小説の主人公が、こうつぶやく。
道ってのはどこまでも
続いているもんなんだねえ。