三島邦彦 10年12月05日放送
つくる人のことば/フランク・ロイド・ライト
20世紀建築の巨匠、フランク・ロイド・ライト。
彼の建築の手本は、毎日の散歩で観察する自然だった。
彼は言う。
自然という教科書があるのです。あるページには、成長の成果、豊かさ、
ゆとりが記されています。自然には、建築家に確信や力を与えてくれる、
素晴らしく単純で基本的な形態があるのです。
机での考えごとに行き詰ったら、
ちょっと、散歩はいかがでしょう。
つくる人のことば/オスカー・ニーマイヤー
アメリカ、ニューヨークにある国連の本部ビル。
この建物を設計したのは、オスカー・ニーマイヤー。
今年102歳にして、
今も現役を続けているブラジルの建築家である。
とあるインタビューで彼はこう言っている。
建築はそれほど重要ではない。
大切なのは、むしろ仲間や友人、家族、そして人生そのものだ。
世界をよりよくするための議論の場。
その設計者として、
国連はうってつけの人を選んだようだ。
つくる人のことば/アントニオ・ガウディ
1882年、スペインのバルセロナで、
とある教会の工事が始まった。
翌年、意見の対立から建築家が辞任し、建設は振り出しに戻る。
二代目の建築家に選ばれたのは、
まだ無名だった31歳のアントニオ・ガウディ。
ガウディは構想を練り直し、
自分が生きているうちには完成しない壮大な建築計画を立てる。
教会の名前は、サグラダ・ファミリア。
100年以上の時が経った今も未完成ながら、
世界で最も独創的な教会建築として多くの人が訪れる。
その後、いくつもの創造性に富んだ建築を作ったガウディは、
独創性についてこう語っている。
独創性を追い求めるべきではない。
追い求めると突飛なものに行き着いてしまうからだ。
普段なされていることを見て、それをより良くしようと努めるだけで十分なのだ。
ガウディにとっての独創性は、追い求めるものではなく、ついてくる結果だった。