薄景子 11年01月15日放送
どんな女優になりたいか。
若いころ、記者たちに聞かれると
岸恵子は言った。
私は、私になる。
海外旅行がまだ自由化されていない時代に、
トップ女優の座を捨てて、パリに移住。
フランス人の映画監督との結婚は18年で終わり、
その後も、政情が不安定な国をめぐっては
民族紛争や人種差別と向き合った。
危うく刑務所に入れられそうになったことも、
過激派に襲われたこともある。
そんな事態に遭遇しても、彼女は度胸を据えて、
世界の現実から目をそむけることはなかった。
そこに知るべき何かがあるかぎり、
岸恵子の旅に終わりはない。
拠点はどこかと聞かれれば、
国は関係ありません。
魂の在り処は自分です。
何かあったら、この人に相談したい。
女優、江波杏子にはすべての女性を包み込む
姉御的なオーラがある。
一番苦しかったのは、仕事と男だと公言し、
苦しんだ人は、あとで絶対幸せになれると断言する。
感情を抑制することに慣れた現代女性に、江波は言う。
泣きなさい。
涙だって血なんだから。