熊埜御堂由香 11年01月15日放送
厳しい監督の先生にたたかれ続けてきたから、
私、身長が止まってしまったのね。
身長150㎝の彼女はわらって言った。
数々の名監督に愛された女優、田中絹代。
役作りのストイックさでは、逸話にことかかない。
監督の注文どおり、太ったり、痩せたり、「風船」とあだ名された。
おば捨て山を題材にした木下恵介監督の楢山節考では役作りのため
若いころにした差し歯を4本、医者に無理やり抜いてもらった。
49歳のときだった。
小さな体で女優として成長を続けた。
一生独身だった彼女はこういった。
私は映画を夫として選んだのです。
そして、私が映画を捨てなかったのではなく
映画が私という女を見捨てないでいてくれたのです。
素顔が、女優である。田中絹代はそんなひとだった。