厚焼玉子(事務局・中山佐知子)

厚焼玉子 17年4月15日放送

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遺言の日 カール・マルクス

カール・マルクスは家政婦に遺言を求められたときに
こう言った。

 出て行ってくれ!
 最後の言葉なんてものは、

 充分に言い足りなかったバカ者達のためにあるのだ。

皮肉なことに、この言葉が
いまではマルクスの最後の言葉として伝えられている。

4月15日は遺言の日

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厚焼玉子 17年4月15日放送

170415-05

遺言の日 ガンディ

 束縛があるからこそ、

 私は飛べるのだ。


 悲しみがあるからこそ、
 私は高く舞い上がれるのだ。

 逆境があるからこそ、
 私は走れるのだ。



 涙があるからこそ、
 私は前に進めるのだ。

これはマハトマ・ガンディが
暗殺される3か月前に書いた詩だ。

ガンディは胸に3発の銃弾を打ち込まれたとき
暗殺者を許すという意味のジェスチャーをしたと伝えられている。

4月15日は遺言の日

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厚焼玉子 17年3月18日放送

170318-01
yamada*
春の妖精 二輪草

春の妖精と呼ばれる草花がある。
英語ではspring ephemeral、春の短い命。
その名の通り、春まだ浅い野山に咲き、
初夏の日差しを浴びる前に姿を消す。

その仲間の一つ、二輪草は背丈20センチ。
ひとつの株から2本の茎を伸ばして
小さな白い花を二つ咲かせるから二輪草。

この花には一輪草という仲間もいて
北原白秋はこんな詩を書いている。

 真実さびしき花ゆえに
 一輪草とは申すなり
 一輪咲いたが一輪草、二輪咲くのが二輪草

とはいえ、早春の落葉樹の森へ行くと
一輪草も二輪草も
命の短さを知るかのように
何本も何十本も、ときには何百本も寄り添って
いたわり合って咲いている。

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厚焼玉子 17年3月18日放送

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Oryzias
春の妖精 カタクリ

春の妖精と呼ばれる草花がある。
その名の通り、春まだ浅い野山に咲き、
初夏の日差しを浴びる前に姿を消す。

その仲間で一番知られているのは
カタクリかもしれない。
日本の各地に群落があり
季節になると花の便りがニュースになる。

江戸時代の探検家松浦武四郎は
北海道の食用植物として
「山慈姑」という名前を挙げ
カタクリとルビを振っている。

花が咲くまでに8年もかかるカタクリは
その貴重なデンプンで人々を養っていた。

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厚焼玉子 17年3月18日放送

170318-03
biscorogus
春の妖精 エゾエンゴサク

春の妖精と呼ばれる草花がある。
その名の通り、春まだ浅い野山に咲き、
初夏の日差しを浴びる前に姿を消す。

エゾエンゴサクもその仲間で、
森に背の高い草が生える前に
10センチかそこらの小さな茎の先端に
2センチほどの花をつける。
その花がお天気によって
赤紫に見えたり青紫に見えたりする

エンゴサクは花も葉も根も食べられるが
環境を保護する人たちから
せめて根っこは残しておいて、というお願いを
ときどき見かける。

確かに、妖精たちが消えた春はあまりにも寂しい。

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厚焼玉子 17年3月18日放送

170318-04
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春の妖精 アズマイチゲ

春の妖精と呼ばれる草花がある。
その名の通り、春まだ浅い野山に咲き、
初夏の日差しを浴びる前に姿を消す。

 にんじんは 明日蒔けばよし 帰らむよ
 アズマイチゲの花も閉ざしぬ

アララギ派の歌人土屋文明(つちやぶんめい)の歌は
アズマイチゲの特徴を歌っている。
アズマイチゲが花を開くのは天気のいい昼間だけ。
曇りの日も雨の日も、つぼんでいるし、
日暮れにはさっさと花を閉じてしまう。

春の晴天の日しか咲かないアズマイチゲ。
そのせいか、地方によっては
花を摘むと雨が降る雨降り花と呼んで
子供が摘まないように呼びかけているそうだ。

春のはかない命に人もやさしい。

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厚焼玉子 17年3月18日放送

170318-05
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春の妖精 バイモ

春の妖精と呼ばれる草花がある。
その名の通り、春まだ浅い野山に咲き、
初夏の日差しを浴びる前に姿を消す。

母の貝と書いてバイモ。
ほっそりした茎に百合に似たうつむきかげんの花が咲く。

中国原産で、日本には江戸時代に渡来したと言われているが
平安時代の辞書「和名抄」にすでに名前が出ているから
実はもっと古いのかもしれない。

万葉集の防人の歌にも「母という花」が出てくる。

 時々の花は咲けども何すれそ 母とふ花の咲き出来ずけむ
 (ときどきの 花はさけども 何すれぞ 母とふ花の 咲きでこずけむ)

母という名の花が咲いていたら一緒に連れて行きたい。
そんな気持ちが込められた、ちょっと切ない歌。

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厚焼玉子 17年1月7日放送

170107-011
39kochi
七草その1 貝原好古

1月7日。七草の日。

七草は日本の田畑に生える野草だが
大根が「すずしろ」、はこべは「はこべら」など
みやびな名前が覚えにくい。

これを覚えやすい順番で読み上げると
芹、なづな、おぎょう、はこべら、ホトケノザ
すずな、すずしろ。
さらに五七五のリズムをつけ、
短歌として読むと、こうなる。

 芹、なづな、おぎょう、はこべら、ホトケノザ
 すずな、すずしろ、これぞ七草。

これは貝原好古が編纂した江戸時代の歳時記に
載っているそうだが、
なるほど、確かに覚えやすい。

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厚焼玉子 17年1月7日放送

170107-02

七草その2 宇多天皇

1月7日。七草の日。

いまでは漢字で七つの草と書くが
昔は七つの種類と書いて「ななくさ」だった。
そして、平安時代はキビや粟、胡麻や小豆など
もっぱら穀物が使われていた。

この七種粥を宮中に取り入れたのは
平安中期の帝、宇多天皇で、
これと同時に五月五日のチマキ、七月七日の素麺なども
宮中の行事食としてお定めになった。

7種類の穀物の七草粥。
年の初めの行事でお疲れの天皇を
おなぐさめしただろうか。

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厚焼玉子 17年1月7日放送

170107-03
Yakinik
七草その3 ナヅナ売り

1月7日。七草の日。

その1日前の1月6日、
江戸の町にはナヅナ売りの声が聞こえた。
ナヅナはぺんぺん草のことで、
そのへんに生えている野草を取って売るのだから
値段も安く、
ナヅナを売るのは老人や子供のアルバイトだった。

柳多留という江戸時代の川柳の本には
親切にもナヅナ売りの年齢を教えてくれる句が見える。

 ナヅナ売り 六十以上 十五以下

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