歌会始
歌会始にはお題がある。
とはいえ、歌の種類は多岐にわたる。
風景を詠んだ歌、出来事を詠んだ歌、
季節の歌、そして恋の歌。
そういえば、と気づくことがある。
天皇には恋の歌がない。
歌会始に限らず、恋の歌がない。
10万首の歌を詠んだ明治天皇でさえ
ごく数首が数えられるくらいだ。
恋の歌をお読みになれないお立場なのだと
今更ながらに気づくのだ。
歌会始
歌会始にはお題がある。
とはいえ、歌の種類は多岐にわたる。
風景を詠んだ歌、出来事を詠んだ歌、
季節の歌、そして恋の歌。
そういえば、と気づくことがある。
天皇には恋の歌がない。
歌会始に限らず、恋の歌がない。
10万首の歌を詠んだ明治天皇でさえ
ごく数首が数えられるくらいだ。
恋の歌をお読みになれないお立場なのだと
今更ながらに気づくのだ。
歌会始
太平洋戦争がはじまった翌年の昭和17年、
歌会始に一般から寄せられた歌は
46106首にも及んだ。
空前絶後の応募数だった。
激動の時代に
人は思いを歌に託すのだろうか。
この年のお題は「連峰雲(れんぽうのくも)」
昭和天皇はこんな歌をお読みになっている。
峰つづき 覆うむら雲 吹く風の 早く祓えと ただ祈るなり
歌会始
人々が集まって同じお題で歌を詠み、披露する歌会。
年のはじめに開かれる歌会始は
宮中の行事として長い歴史を持っている。
明治時代から一般の応募を受け付け、
昭和の中ごろからテレビ中継もされている。
2万を超える応募がある。
外国人で入選した人もいる。
最年少は12歳だ。
今年、平成最後の歌会始は1月16日。
お題は「光」
新しい時代をどんな光が照らすのか
楽しみではある。
年末初演の物語
もし、あなたが
新作のオペラ、またはシンフォニーを
パリまたはウイーンで初演することになったら、
どんな時期を選ぶだろう。
ブラームス、ブルックナー、プロコフィエフが
選んだ日は12月30日だった。
なぜなら、夏は市民がバカンスに行ってしまう。
貴族はカントリーハウスに引き揚げ、
年末の社交シーズンの始まるころに
やっと街に戻って来たからだ。
やっぱり、人で賑わい、
ニューイヤーを前に浮きたつ街が
名曲の初演にふさわしい。
年末初演の物語
ブラームスの交響曲第2番の初演は
1877年12月30日、
ハンス・リヒター指揮のウイーンフィルによる演奏だった。
交響曲1番は構想から21年という歳月がかかったが、
2番はオーストリアの南にある湖畔の町で
ひと夏を過ごす間に完成させている。
あの重厚な1番を完成させた開放感か、
それとも湖の明るさの影響か、
交響曲2番は伸びやかで快活だ。
1877年12月30日、
この初演を聴いた聴衆は拍手喝采し、
第三楽章をアンコールした。
年末初演の物語
ブルックナーの交響曲第7番は
はじめて初演が成功した交響曲として知られる。
ちなみに1番の初演は1868年、
3番は1877年だったが、
演奏会が終わったときに観客がほとんど残っていなかった。
6番は1883年、二楽章と三楽章だけが演奏された。
このときブルックナーはすでに59歳だった。
そしてやっと7番である。
1884年12月30日、
60歳のブルックナーは、はじめて好評のうちに初演を終え、
シンフォニーの作曲家として
老年のデビューを果たすことができたのだ。
年末初演の物語
1905年、12月30日。
フランツ・レハールは
オペレッタ「メリーウイドウ」の初演成功で
一躍人気作曲家になった。
同時に20世紀とともにはじまった
「オペレッタの銀の時代」を代表する作曲家になった。
オペレッタはオペラより大衆的で
コミカルなハッピーエンドなストーリーが多い、
たぶんそのせいだろう、
フランスの巨匠グスタフ・マーラーは
メリーウイドウを見に劇場へ行くのが気恥ずかしく、
楽譜店で楽譜を買っただけだったそうだ。
年末初演の物語
プロコフィエフのオペラ「三つのオレンジへの恋」は
1921年12月30日、シカゴ歌劇場で初演された。
プロコフィエフはその3年前、
革命のふるさとロシアを捨て、アメリカへの亡命を決意した。
1918年の5月、彼は日本の敦賀港に着いた。
それから8月2日に日本を離れるまで
東京、京都、奈良などに滞在した。
プロコフィエフは日本滞在中、
毎日日記をつけていた。
1918年6月16日の日記には
「三つのオレンジへの恋」を読み直した。
オペラにするというアイデアが気に入った。」と
書かれている。
そのときプロコフィエフは京都にいた。
Photo by Roger & Renate Rössing
年末初演の物語
完成から初演まで、25年もかかった交響曲がある。
ショスタコビッチの交響曲第4番だ。
完成は1936年だったが、
粛清の嵐が吹き荒れる当時の政治状況を鑑みて
初演の予定をショスタコビッチ自身が取りやめた。
1961年12月30日
モスクワフィルハーモニーによる演奏で
ショスタコビッチの交響曲第4番は初演された。
すでに紛失していたスコアを復元したのは
指揮者のキリル・コンドラシンだった。
年末初演の物語
1844年、12月30日、ハンブルグのオペラ劇場で
フリードリヒ・フォン・フロトー作曲のオペラ
「アレッサンドロ・ストラデッラ」が初演された。
アレッサンドロ・ストラデッラは実在の人物で、
イタリアのバロック音楽の作曲家。
王室にも出入りし、精力的に作曲もしたが
その一方で教会の資金を使い込んだり、
貴族の愛人と駆け落ちしたり
放蕩の限りを尽くし、殺し屋の手にかかって死んだ。
こんな無茶苦茶な人生もオペラになると美化されてしまうが、
このオペラは大成功をおさめたそうだ。
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