五島のはなし (番外)

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「五島のはなし」連載中の中村直史くんが
五島に帰ったきり、ちっとも記事を更新しなくなりました。

図書館のパソコンで仕事をする羽目になったという
噂もききますが、もしかしたら
鯛やヒラメと舞い踊っているのかもしれません。

折しもいま、五島の福江島は
お盆の行事「チャンココ踊り」の最中です。
写真のように腰ミノをつけて花笠を被った人たち、
(なんだか派手な浦島さんのようです)が踊ります。
直史くんも踊っているのかもしれません。
その際、鯛やヒラメや乙姫さまはご一緒なのでしょうか。
興味があります。
興味がありますが、直史くんは記事を送ってくれません。

さて、そのチャンココ踊りは長崎県の無形民族文化財です。
チャンと鉦を鳴らしてココと太鼓をたたくから
「チャンココ」だ、という説もありますが
やはりここは韓国語をひもといて
「チャンゴ」=「太鼓」であることを理解すべきと思います。
発祥は定かではありませんが、
800年ほど前から伝わっているそうです。
親から子へ伝授される踊りだそうで
観光客が飛び入りで踊れるものではありません。
(だいたい腰ミノは普通に売っていないと思います)

中村直史くんもお父さんから伝授されているのでしょうか。
腰ミノを用意すれば踊ってみせてくれるでしょうか。
帰京が待たれます(厚焼玉子)

番組制作奮闘記-3


今は、Barよりもコンビニ(八木田杏子)

このまえは唐突に、
「CVS MIDNIGHT」の番組紹介をしてしまいました。

いつのまに創ったの?
どうやって創ったの?
なんで古田組?

そんな疑問を持たれた方もいると思います。

日曜日の25時からは「J-wave25」という、
新しい番組にトライできる時間。
今年の3月には、山本高史さんが
ロックの歌詞をコトバで紐解く「言葉ロック」を放送しました。

Visionでラジオ番組に目覚めていた古田組。
そこで何かやらない?と厚焼玉子さんが言ってくれた瞬間、飛びつきました。

そのときはまだ、「コンビニ」というテーマは見えていません。
古田組長が発案した「サウンド・プレイスメント」という考え方で、
広告では描きにくい「商品にまつわる物語」を書き始めました。
細田と八木田が、思い思いに書いた原稿は、1話完結のオムニバス。
全体を貫くテーマや構成が見えないものでした。

さすがに何か、繋がりがほしいよね。
パルプフィクションみたいに、最後に分かるとか?
登場人物を同じにする? 
場所を決める?

J-waveの久保野さん、厚焼玉子さん、古田組で
うんうん唸ること1時間。

架空のBarをつくって、マスターとお客さんを描いてみる?
いや今は、コンビニの店員とお客さんの方が面白いんじゃない?
コンビニって、いろんな人の本性が、透けて見える感じがするよね。
スポンサーも探しやそうですね。

面白いものになりそうな予感。
ビジネスになりそうな安心感。

全員の顔が、ほころびました。
六本木ヒルズから見下ろす景色が、
煌びやかな夜景に変わっていました。

そして、5人揃って西麻布へ。
いい仕事が始まりそうな夜は、お酒がすすみます。
お茶漬けを食べるころには、なぜか、
身体の柔軟性を競うために、みんなで前屈していました。
1位は厚焼玉子さん。べったり手のひらがつきます。

番組制作奮闘記-2 (番宣)


外灯に集まる虫たちのように(細田高広)

冷気と明かりに誘われて、
深夜のコンビニには
人が吸い込まれるように集まってきます。

仕事帰りの人も。出勤前の人も。
高給取りも。フリーターも。
おじいちゃんも。少年も。
芸能人や、社長さんだって。

普段、交差するはずの無い人も、
コンビにではすれ違う。

無表情の仮面の下に、
どんな感情を隠しているのか。

もし、心の声が聞こえる特殊能力に
目覚めたとしたら、
コンビニは是非行ってみたい場所ではないか。

そんな妄想話から、ラジオ番組の企画が生まれました。

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J-WAVE25 CVS MIDNIGHT 〜熱帯夜の物語〜

8月16日 25時~26時 

ナレーター
大川泰樹 http://yasuki.seesaa.net/
地曳豪 http://www.gojibiki.jp/index.html
三坂知絵子 http://www.studio-2-neo.com/

スタッフ
原案 古田彰一
構成・演出 森田仁人 厚焼玉子
スクリプト 細田高広 八木田杏子
AD 吉田 香(J-WAVE)
CP 久保野永靖(J-WAVE)

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どうぞ、眠りながら聞いてください。

番組制作奮闘記-1 (番宣)


日曜日を終わらせたくない夜に(八木田杏子)

日曜日を終わらせたくない夜は、
つい夜更かしをしてしまいます。
寝るまではずっと、日曜日。
たとえ12時を超えたって、日曜日。

そんな延長戦に入ったときのために、
ラジオ番組をつくりました。

テーマは、熱帯夜のコンビニ。

そこは、外と家の中間のような場所。
何気ない振る舞いや表情の奥に、
無防備な本音が見え隠れします。

割り切れたようにみえるコンビニという場所で、
割り切れない人の思いが聞こえてきたら・・・。
ただすれ違うだけの人も、優しく見送りたくなる番組です。

今週末の日曜日、深夜25時からJ-waveでお届けします。

放送:   8月16日  25時~26時
出演:   大川泰樹 http://yasuki.seesaa.net/
       地曳豪 http://www.gojibiki.jp/index.html
       三坂知絵子 http://www.studio-2-neo.com/
原案:   古田彰一
演出:   森田仁人 厚焼玉子
スクリプト:細田高広、八木田杏子
AD:   吉田 香(J-WAVE)
CP:   久保野永靖(J-WAVE)

お休みを終わらせる前に、どうぞ。

五島のはなし(28)

今日、ふと、そろそろ夏休みの
登校日だなあと思いました。
五島は長崎県なので、8月9日が登校日。
11時02分には黙とうをします。

話は変わりますが、Visionの原稿を書くために
戦争にまつわる歌のことを調べていたら
美空ひばりさんの「一本の鉛筆」に出会いました。

あんまり有名じゃないそうなんですが、
ひばりさんは、持ち歌の中のベスト10にいつも入れていたそうです。
・・・という話はともかく、いい歌です。
ほんといい歌です。

また話は変わりますが、明日から五島に帰ります。
現地から五島のはなしをお届けするのが目標です。
でも五島に着いたとたん、忘れてしまうかもしれません。

海のむこう、広告のむこう。~細田高広 後篇

エスプレッソとユンケルに染まる激闘の行く末は。
細田さん、後篇です。

~~~~~

だいぶ時間を空けてしまいましたが、ヤング・ライオン参戦記の続きです。

【2日目】
ヤングライオンブースと呼ばれる場所に行くと、
大きな部屋がパーティションで区切られていました。
日本の国旗のついた一角を発見して、いよいよ作業開始。
朝9時から、20時まで粘ります。

【3日目】
昨晩からプレゼンの練習と、質疑応答の想定問答を
繰り返しているので、ぜんぜん寝られていません。
プレゼン前の緊張で、朝ごはんが食べられてません。
ふらふらになりながら、プレゼン会場の前で待つこと10分。

目の前のドアが開き、日本チームが呼ばれました。
審査員は、クライアントと世界のエージェンシーの偉い人たち(確か5人)。

さぁプレゼンです。

ここで、お題の復習
クライアントは、WFP(国連世界食料計画)。
途上国の小学校に給食を送る活動を行っている団体です。
ターゲットは、先進国の子どもたち。

普通に「寄付しよう」なんて言っても子供たちは振り向くわけない。
だから僕たちは、先進国の子どもたちの関心がある
テーマと繋げる必要があると思いました。

で、浮かんできたのが先進国の子どもたちの「肥満」の問題。
先進国の肥満と、途上国の餓餓を結びつけられないか。
コンセプトは、「FLAT THE WORLD WEIGHT」(世界の体重を平準化せよ)。
こどもたちが痩せた分だけWFPに寄付されるという、
寄付の仕組みをつくりました。(詳細は割愛。)
キャンペーンは、太っちょたちが世界の子どもを救う
ヒーローストーリー仕立てです。

プレゼン中、コンセプトの部分に関しては、ものすごくいい反応でした。
「ほうほうほう」と身を乗り出して聞いてくれているのが分かりました。
一方で、終盤になるにつれて、審査員がちょっと難しい顔になったのにも気が付きます。

プレゼン後の質疑応答。

審査員A 「いいアイデアだと思う。ただ一点気になるんだ。 
この企画は、WFPという国連団体のトーン&マナーにあっているかな?」
僕 「今までのトンマナは真面目過て、子どもたちに興味をもたれないと思ったんです」
審査員A 「うーん・・・」
審査員B 「太っちょたちは、気分を悪くしないかい?」
僕 「いえ、むしろ彼らを勇気付ける活動にしたいと思います」

そして、その日の夕方に結果が発表され、見事「敗戦」が決まるのです。
グランプリはオーストラリアチームの「Abolish the penny」(ペニーをなくせ)。
世界の各国の最小単位のコインを絶滅させよう、というキャンペーンです。

明日すぐにできる実現性、コストパフォーマンス、提案性、
などが総合的に高評価だった模様。

ショックでした。
求められていたことは普段の仕事と変わらないというのに、
「カンヌだから」「コンペだから」と、プレゼン映えする大きなアイデアばかり
追いかけていたことに気付かされます。あぁ、僕らはなんと浮き足だっていたのでしょう

批評の対象としての「広告」ではなく、ビジネスツールとしての「広告」を評価する。
そんなカンヌ全体の流れが、ヤング部門にも押し寄せていたとも言えるかもしれません。

あれから一月たちますが、未だに思い出すと胸がヅキッと痛みます。
高校3年生の夏、剣道部の引退試合以来です。こんな気持ち。

あ、さらっと書くつもりが、
随分ダラダラと長くなってしまいました!
以上で、ヤングカンヌ参戦記、終わりです。

五島のはなし(27)

僕が小学生のころに出た「ちびっこ相撲大会」で、
ひとつ下の学年にも関わらず、
圧倒的強さで優勝した少年がいました。

ぼくは3回戦で彼と対戦し負けたのですが、
いまではこれ、けっこう自慢です。
彼は大人になり、立派な幕内力士になったのです。
小柄ながら、地道な練習に支えられたテクニックを持ち
4度の技能賞に輝いた時津海。
数年前、相撲を見ようと国技館に両親を連れていったとき、母は
気が狂ったように「ぎばれ、時津海!」と叫んでました。
五島の英雄ですからね。

現在は時津風親方として、まだ若いながらも、
新生、時津風部屋を率いています。
今、時津風部屋を率いることは、どんなに困難なことかと想像します。

ぎばれ、時津風親方!

海のむこう、広告のむこう。 ~ vol.6

細田さんの激戦の模様はひきつづきお楽しみに。

こちらのやじきた珍道中はようやくショートリスト。

ショートリストが始まると、
少しは人が増えるかと思ったらやっぱりそんなことはありません。
ブーイングとも人が少ないから、みんなこわごわ。
隣を気にしながら「ひゅ~」とやるから、迫力がない、盛り上がらない。
中身の方はスクリーニングの時にいいなと思ってたものが
ちっとも残ってなかったりして、すこし自分が不安になります。

その裏ではセミナーをやってて、
アナン元国連事務総長が来てたらしい。
見たかった。
生アナンはとってもかっこよかったらしい。
ウィッキーさんとは違うらしい。

ショートリスト全部見ると一日がかりなのですが、
さすがに最後の方になってくると目が回ってきます。
ぐるぐるしてたら変なイタリア人のじいさんに「茶でも飲まないか」と
さらわれそうに。
いけません、また路頭に迷って今度こそ帰ってこられない。

夜は真っ暗なお店で、手探りで野菜やお肉を食べました。
外国のお店はたいがい暗いけれど、ここは暗すぎる。
この草は、飾りものかサラダなのか。
この黒い点は、胡椒なのか焦げてるのか。
あんまり暗いとすべての輪郭がぼやけてきて
美味しいのかどうかもひどく曖昧になってくる。
まぁいいのか。
それもまたカンヌ。
あぁ、蛍光灯がなつかしい。

五島のはなし(26)

Visionの原稿を書くために入った図書館で、
たまたま手に取った雑誌にすっかりやられてしまいました。

別冊太陽「白川静の世界」。
サブタイトルは「漢字のものがたり」。
白川さんは漢字の学者なんですが、彼によると
漢字とは「呪的儀礼を文字として形象化したもの」なんだそうです。
神さまの世界と日常とをつなぐ「儀礼」をかたちにしたものが漢字。
すごくないですか?
僕は単純に「もののかたち」が文字になったのが漢字だと思っていたので
かなりショッキングな話でした。

いろんな漢字にいろんな呪的バックグラウンドがあるのですが、
いちばん驚いたのは「道」。
「道」は自分のテリトリーから外に出る際に
外の世界に満ちた霊的パワーに負けないように(簡単に言うとおまじないとして)、
「生首を手に持って歩く様」なんだそうです。
すごすぎませんか?

この白川静さんという学者もすごいのですが、
彼の特集を組んだ「別冊太陽(2001年12月発行)」のできばえも質が高く、
編集者たちを尊敬してしまいました。

・・・今日は全く五島のはなしでなかった。
なにはともあれ、がんばれ、五島!

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