APOLLO 11 ウォルター・クロンカイト
月面着陸は、私を、興味深くも
非常に感情的にさせた。
あの乗り物が月に着陸したとき、
私はことばが出なかった。
本当に、私は、何も言えなかった。
CBSイブニングニュースのアンカーマン、
ウォルター・クロンカイトは
その落ち着いた語り口と
徹底的な取材に基づいた報道姿勢が評価され、
アメリカの良心、大統領よりも信頼できる男、
などと言われた大ベテランだ。
彼は宇宙を愛し、アポロ計画に賛同していた。
もちろんアポロ11号についても、
事前の入念な取材によって
数多くの言葉を準備していたはずである。
どんな時も、どんなニュースでも、
的確な言葉で流暢に話すクロンカイトが
月面着陸の直後、言葉につまった。
沈黙は、時に、なによりも雄弁だ。