五島のはなし。

五島のはなし(112)

いままでルアーをあまり信じてませんでした。
ルアーとは、魚釣りに使う、たいていは魚の形を模した、擬似的なエサです。
小魚のように見せかけ、
ふだん小魚をエサとしている大きめの魚を釣るわけです。

子どものころから本当のエサを使った
釣りに親しんできた僕としては、
ルアーなんかでめったに釣れるものではない、と思っていたし
なんかこう都会のファッション的行為に思えたりもして敬遠してたわけです。

それがいろんないきさつで興味を持ち始め、
今回、五島の帰省中にいろいろ試してみることにした。

(あーほんとすみません、釣りの話ばっかりで)
(でもほら釣りの話って、釣りの話をメタファーにした人生の話だったりしますし)
(・・・正直、これは違いますけど)

で、前回の僕の兄が大きなイカを
見せびらかしてる写真をとった場所
(ちなみにマブシという場所です。兄と僕の釣りの聖地というか、ホームグラウンドというか、そういう場所です。)
で、あらかじめネットで入手していた「キビナゴ・バイブレーション」というルアーを投げてみた。

するとどうです、いきなりガツンとあたりが来て
マダイが釣れたですよ!

うひょー。
やっぱ五島すごい!
こんなにあっさり釣れるとは!

その後も、カマスだとかエソだとかハタが釣れて
もうほんと海辺にいるのが楽しくてしょうがなくって
で、調子に乗りすぎて、海に転落し、ケータイをダメにしてしまった。

(あ、そーだ、ケータイのデータをすべて失ったので、
ぼくのケータイのアドレスとか電話番号を知ってる人、僕に一度連絡ください!
いままでの番号とアドレスで通じますから!おねがいします!)

あ、それで、最初に釣ったマダイの口の中には
マダイの口の中で一生を過ごす「タイノエ」という
生きものがツガイでいたのだけど、
このタイノエもまるまる太っていて、
五島の海の豊饒さを感じさせた。

ちなみに、タイノエってこんな生きもの↓

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(たぶん)オオモンハタ。美味であった!

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五島のはなし(111)

お盆休みの1週間、五島で魚釣りをする。
このことを、僕の兄は「命の洗濯」と呼んでいる。
都会で1年間ためた命の汚れは、
なかなかひどいものなのか、
とりつかれたように毎日海に向かう。

今年、命の洗濯はエギングで行う、と兄は決めていた。
エギングとは、アオリイカ(五島ではミズイカと呼ぶ)を、
エギと呼ばれる専用のルアーで釣ることだ。
ちなみにエギは漢字で餌木と書く。

兄はいままでやったことのなかった(僕もやったことなかったが)この
エギングなる釣り方を、五島に帰省する前に必死に勉強し、
こまめに釣り具屋に通って道具を揃え、
五島での本番に臨んだ。

一年間のうっぷんを五島での釣りではらそうとする、
そのけなげな姿を五島の釣りの神様はずっと見てたのでしょう。
兄はよく釣りました。釣りまくった、と言っても過言ではないほど。
ベストシーズンではない五島のアオリイカを。

釣った感触を何度も何度も思い出しながら、
(職場の同僚にちゃっかり自慢話もしながら)
兄はまた1年、都会暮らしをがんばることでしょう。

うれしくてたまらないくせに、大人の事情で口元を結ぶ兄。

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五島のはなし(110)

そーいえば、もうすぐ公開の映画「悪人」。

主演:つまぶきさとし、と、あとだれだっけど忘れしたあの演技が上手な女優!

のロケ地は五島・福江島です。

大瀬崎灯台近辺です。

見てください。

「悪人」と聞いたら、五島を思い出してください。

五島=悪人 です。

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五島のはなし(109)

帰省2日目、8月8日にとうとう見たよー。
ベベンコビッチ・オーケストラのライブ。
ベベンコビッチ・オーケストラは、五島人が五島弁で歌うバンドで、
ベベンコビッチというのは、牛の子どもを意味する「ベベンコ」から
来ているはずだが、同時にこのバンドのボーカル/ギターの
人の名前(愛称?)でもあり、その人はたまたま僕の兄の同級生である。

で、五島に帰ってみたら
このベベンコビッチ・オーケストラがたいへん有名で、
うちの叔母も「よかよね、ベベンコビッチ。わたしは、あの、『頓泊心中』ちゅう曲が好きよ」
なんて言っている。

で、帰省した早々、頓泊(とんとまり)ビーチにて、
ベベンコビッチ・オーケストラのライブがあるというので行ってみた。

本当はここに彼らのナイスなライブ風景が
載るはずだったんだけど、
写真を収めたケータイを海に落として見せられない。残念。
でも下の下の下あたりの記事に
厚焼玉子さんが、ベベンコビッチの映像を
貼り付けてくれてたので、それを見てみるとどんな人たちかがわかる。

で、ライブ。
しょっぱなの曲は、以前から僕の好きな「アジゴばつろで」でした。
何が好きかって、曲のタイトルからしてセンス抜群です。
「アジの子を釣りに行こうよ」
という意味のタイトルの何がセンス抜群なのか
伝えるのは非常にくるしいのですが、
この一言には、五島の夏の夕方の平和な雰囲気を伝える情緒がある。
そうだ、わかったぞ、情緒だ。

ただたんに地元の言葉で歌ってるのがおもしろい、
っていうのとはちょっと違うんですよね。
あー、今年紅白に出てくんないかなー、ベベンコビッチ・オーケストラ。

あ、それで、冒頭の叔母が言っていた「頓泊心中」も聞きました。
ハッピーな歌ばかり歌うベベンコビッチが
心中とは物騒な、って思っていたら
恋した二人が頓泊ビーチで心中しようとしたけど、
遠浅すぎて行けども行けども水は膝までぜんぜん死ねない。
みたいなナイスな歌。
あー、うちの叔母はこれが好きだったんだな。

ライブはほんわかとゆるく、
べべコンビッチさんとうちの兄が何十年ぶりかの再会をしたり、
ちょうど誕生日だった甥っ子はベベンコビッチ・オーケストラに
ハッピーバースデーを歌ってもらったり、
僕は僕でずいぶん会ってなかった義父と会って話したり、
そしたら義父のとなりにたまたま座ってたのが
20年くらい会ってなかった同級生でびっくりしたりした。

(五島の良さを伝えるための『五島のはなし』のはずなんだけど、
 ただの日記になりつつある。ゆるしてくらさい。)

*ベベンコビッチさんのブログから写真を盗んできました(玉子)

詳細はこちらのブログにあります。
http://blog.goo.ne.jp/bebencobicci/e/db4041ea2d37633370a5774af92f3842
写真集はこちらです。
http://blog.goo.ne.jp/bebencobicci/e/50f72de8d5522ad56ef106b2445d01f5

下のyoutubeはいつかのライブ

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五島のはなし(108)

で、五島2日目。

この日、8月8日は
僕の兄とその息子(ちょうどこの日が10歳の誕生日だった!)の帰省を
迎えに行きました。二人は名古屋から新幹線で福岡まで来て、
そこからフェリー「太古」に乗って、9時間の船旅の末、五島にたどり着いた。

いいね、父と息子の2人旅。
夜行フェリーで、それぞれ別のベッドで寝たらしい。
息子が寂しがるかと思い、

父「こっちきて一緒に寝るか?」
息子「(ぶっきらぼうに)いや、いいわ」

なんて会話があったらしい。
いいね。
一瞬一瞬が人生だね。
そして父は夜明けに目を覚まし、
薄明かりに浮かび上がる五島の島々を甲板から眺めたとのこと。
(この景色は僕も何度か見たことがあって、ほんとにすばらしい。みんなにおすすめしたい。)

そのとき僕に送ってきたメールには、
「生きてる実感がする」だかなんだか、
かっこいいことが書いてあったのだけど、
ケータイを水没させてしまった今となってはわからない。

港に接岸するフェリー太古の写真、
すごくいいのが撮れてたんだけどなー・・・
ケータイを水没させてしまった今となってはお見せしようがない。

10歳になったばかりの甥っ子は、元気そうに船を降りてきて、
迎えに来たみんなから「誕生日おめでとう!」と言われていた。

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五島のはなし(107)

五島1日目。

今年の五島への帰省は
8月7日(土)から17日(火)でした。
長い間仕事を休むから帰省前はほんとパニックみたいになってて、
7日は出発直前に釣り道具をパッキングし、
下着やらなんやらをスーツケースにつめこみ、
なんとか飛行機に間にあったです。ふー。ほんとにあせった。

羽田から飛行機を乗り継ぎ
五島福江空港にたどり着いたのは夜の7時。
天気は抜群。
先に帰ってた子どもらと遊び、
実家でおいしい魚など食べ、
さあ、明日からたくさん遊ぶために早く寝るぞと思ったけど
まったく寝れない。

しょうがない、じゃあもうさっそく釣りに行くか!
と家を出たのは夜中の2時半。
ふだん横浜でさんざん夜釣りはやってるのですが、
都会と田舎ではこんなに「夜中」が違うものなのか!と思いしらされました。
なにしろ暗い!そして怖い!
明かりが圧倒的に少ないのです。
海岸へ向かう山道は、もうほんと「闇」でした。
引き返そうと思ったけど、道が狭くて車をUターンできない。
車を降りて空を見上げたら、星がすごい!
ばああああーっと星。島が星まみれ。
これ、ふつうなら感動するところだけど、
この星の多さも、なんだか闇の深さを教えてるようで、もうとにかく怖い。
なにか出る。魚以外のなにかがぜったい出る。
って思いながら、釣りしてました。

場所を移動したりしつつ、結局ほぼ何も釣れないまま夜明け。
ただ、明け方にやってきたおじさんが
となりで大きなマダイをつりあげた。
へー!こんな場所でこんな大きなマダイが釣れるんだ!

今回の帰省は、その後も毎日、
この「へー!こんな場所でこんな魚が!」
という驚きがあって、本当に楽しかった。

そんなこんな、ほぼ徹夜で、怖い!怖い!って叫びながら
五島の1日目終了でした。

1日目に行った場所:
●半泊(はんとまり)
福江の市街地から車で30分くらい。小さな入り江のある村。廃校で都会からの移住者たちが共同生活をしています。
●戸岐向(とぎむかい)
同じく市街地から20分。赤い戸岐大橋と、その下の流れのはやい潮が見どころです。

釣れた魚:
●カマス
歯が鋭いから、すぐに糸を切られちゃうんですよねー。

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五島のはなし(106)

はやいですね。
今年も気がついたら、
五島に帰って、お盆を過ごして、そしてまた東京にもどってきてました。

今年はこのブログで五島のいろんな景色を
見てもらおうと、
ケータイでパシャパシャ写真撮ってたんですよ。
(といいつつ、ほとんど釣った魚の写真だった気もする)

でも五島最終日の朝、
兄と魚釣りしてる時に、海に転落してしまったのです。
ポケットにそのケータイを入れたまま!

けがすることもなく、
釣り竿とリールを傷つけることもない
我ながらナイスな転落でしたが、
ケータイは死んでしまった・・・

しょうがないので、撮った写真を思い出しながら
五島のあれこれを書いていきます。

・・・あしたから。

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五島のはなし(105)

こどものころのはなし。
故郷である五島の福江島で
ガラクタとかどこかから拾ってきたような木材を
いつもリヤカーでひっぱって歩いてるおじいさんがいた。

おじいさんは、そうやって集めてきたものを
積み重ねて、大きな、そして異様な建物をつくっていた。
記憶があいまいなのだけど
全体にグレーがかっていて、てっぺんがドーム状になっていた気がする。

このおじいさんのことはたしか本になって
タイトルは「遥かなる約束」だったと思う。
だれかエライ人との、大切な約束を守るために、
その建物を一生かけてつくりつづけている、という内容だったはず。
・・・でもこの本がどこに行ったか見つからないので、
これまたほんとかどうか定かでない。

いつ頃だったか、おじいさんの姿を見ることがなくなり、
その後、建物も取り壊されてなくなってしまった。
けど、あの異様な建物のことをずーっと覚えていて、
ある年代以上の五島の人なら、
きっとみんな覚えてると思うのだけど、
あれって結局何だったんだろう?
だれか正確な話を知ってる人いないかなあ。

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五島のはなし(104)

先週7月3日に五島市で
ギネス記録がつくられたそうです。
パチパチパチ。

なんの記録かっていうと
電気自動車100台パレードの記録。
五島はエコの島になろうと
レンタカーをどんどん電気自動車に変えているのだそうです。

新しいことになかなかチャレンジできない風土
(逆にいえばそれが良さでもあるのですが)
というイメージを持ってましたが、
五島はがんばっているようです。

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五島のはなし(103)

「五色列島」発言をした僕の上司は
その話の流れで
ぼくが帰省するたびにおみやげで買ってくる
あるものについても言及してました。

「・・・にしてもあなたが実家のおみやげで買ってくる
『サザエ最中』、あれ、すごいわよね」と。

考えてみたら『サザエ最中』ってすごい名前だ。
ザ・おみやげ、な響きだ。

が、上司が「すごい」と言ったのは
そのネーミングではなく
お菓子としての出来栄えで、
サザエ最中はもうほんとに昔ながらの最中の味がする。
あんこが甘い。と書くと、そりゃそうだと思われるかもだけど、
でもなんというか、本流の甘さだ。
そして、あんこを包む皮が口の中にへばりつくあの感じも
古き良き最中のまさに本流感がある。
まさに、最中・オブ・ザ・最中ズ。

あ、でもサザエの形をしてる時点で本流ではないのか・・・

姉妹品に『あわび最中』もある。
モノをお見せしたいが、あいにく写真がない。

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