五島のはなし。

五島のはなし⑮

昨日、J-WAVE開局が島の中学校で
話題になったと書きましたが、
それといっしょに思い出したのが
ラフォーレ原宿。なぜかは覚えてないですが
ラフォーレ原宿も話題になっていた。
「ねえ、知っとる?ラフォーレ原宿、ナウかよね~」
と、皆で話してたのだ。だれも東京行ったことないのに。

さらに高校のとき好きだった女の子は
「東京に行きたい」が口癖で、なんで行きたいのか聞くと
「竹下通りば歩いてみたかけん」と言っていた。

そんなどこぞのわけのわからん通りより、
目の前の男のことを好きになってくれ
という気分で、なんというか
今でも竹下通りには嫉妬に似た気持ちを覚える。

そういえば、最近五島の高校を卒業したいとこが、
ディベートの授業(いまどきの高校はそんな授業があるらしい)
で「住むなら五島派VS住むなら都会派」の議論を
やろうとしたら、ほぼ全員「都会に行きたい」と言って
ディベートにならなかったと言っていました。

がんばれ、五島!

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五島のはなし⑭

ほんと、いきなり思い出しました。
J-WAVEの開局の日のこと。
たぶん中3くらいだったです。
そのころは毎月「FMステーション」を読んでて、
わたせせいぞうさんイラストのカセットテープのラベルを集め、
せっせとラジオ番組を録音したり、レコードからカセットにダビングしたり
してました。聴いてたのはBOOWY、バービーボーイズ、サザン、ノーバディ、
TMネットワーク、ボンジョビ、a~haみたいな人たち
(書いてみるとすごく恥ずかしいのはなぜだろう)だったと思う。

で、J-WAVE。
なぜか島の中学(福江中学校)でも話題になってたんです。
クラスの中で、都会の事情に通じていたSさんという女子が
(そーいえばノーバディやボウイは彼女の影響ではなかったか)
「知っとる?〇月〇日J-WAVEの開局すっとよ」的なことを言ったのである。

Sさんが教えてくれたのか、情報誌で見たのか、
頭に「81.3」は刻みつけられてて、
開局の日、開局の時間に、ラジカセ(赤のAIWA、ダブルデッキだった)の
周波数を合わせて待ち構えていたが、うんともすんとも言わない。

そりゃーそーです。
J-WAVEの電波が九州のそのまた先の島まで届いてるわけがない。
でもそのころそんな親切な説明はどこにもなかった気がする。
しばらく後に「日本全国でJ-WAVEが聴けるわけではない」という
超基本的事実を知ったときの、なんというか、
残念さとみじめさと恥ずかしさを足してそのまま割らないみたいな感情は
いまでもけっこう覚えていて、それはもしかしたら、後々の
「いつか東京に行ってやる!」という気持ちのきっかけだったかも知れない。

おーい、20年前の俺!
なんか知らんけど、いま俺ちょっとJ-WAVEに関わっとるぞー!

と叫んでみたい気分。

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五島のはなし⑬

僕は寝言がひどいです。
ひどい言葉を吐くようです。
先日も朝起きたら、子どもたちが僕にびびっているので
聞いたら「寝言が恐かった」と。
「地獄に落ちろ!」って叫んでたらしいです。
いいですね。
ふつうに生きていたらなかなか言わないセリフですからね。

寝言は五島人の特性じゃないかと勝手に思ってます。
僕の死んだばあちゃんもすごかった。
寝言もですが、寝歌。しかも鼻歌。
夜中、かすかに聞こえてくる「フンフーンフンフンフン」と、
それに続く「キャキャキャ」という笑い声。
ほんと恐かった。

聞けば、曾ばあちゃんも寝言がすごかったらしく
いつも決まって「ぬひと~、ぬひと~」と
言ってたらしいです。漢字にすると「盗人」。どろぼうですね。
これも夜中に聞く言葉としてはイヤです。

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五島のはなし⑫

むしむしして暑いですね。
子どものころ暑さを苦にすることなんかなかったです。
えんえん遊んでられました。
いつまでも夏が大好きなチューブみたいな男でいたい
と思っていたのに、本格的な夏になる前にもう
ぐにゃ~っとしています。

五島で「ばらか」は、「すごい」の意味です。
人の形容詞として使われるときは、暴れん坊、勇壮な、
の意味合いも帯びてくる。

で、「ばらもん」。五島に伝わる大凧の名前は、
この「ばらか」+「もん(者)」から来た言葉です(だと思います)。
てっぺんにピンと張られた糸が「ブーン」と
独特の音を出します。魔よけ的な意味があるのだとか。
鬼のような顔つきです。
それと関係あるのかどうかわかりませんが、
鬼岳でこのばらもんの凧揚げをします。

ばらもん凧

ばらもん凧

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五島のはなし⑪

五島にいたころ、仲のいい友だちのことを「チング」と言ってました。
僕はこの方言が好きで、「ともだちing」の「ちing」、
ふたり仲良く現在進行形!みたいなイメージを持ってたんですが、
実はこれ韓国語だったんですね。知った時は驚きでした。

驚いたといえば、島ではびっくりしたとき「あっぱよ」とか「あっぱさ」と
言います。これも韓国語の「アッパ」(痛い)から来てるんじゃないかと思います。
まあ、韓国近いですから交流が深かったとしても不思議じゃありません。
そもそも、文化とか言葉とかって思いがけず入り乱れてますね。

方言でもうひとつ。イタズラすることを「てんごする」と言います。
親によく言われました。「てんごするな」と。
で、何年か前に、隆慶一郎の『影武者徳川家康』を
読んでいたら(ちなみにこの小説、抜群におもしろいです)、
将軍が家臣に「転合(てんごう)をするでない」と言う場面があり、びっくりしました。
昔からある言葉なんですね。広辞苑にも載ってました。
熊本の友人も「てんご」は使うと言ってたので、
九州では広く残っているのかもしれません。

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五島のはなし⑩

五島のはなし①で、五島は5つの大きな島があることから
その名がついたと書きましたが、厳密には違うみたいです。
先日、五島についてのネタがないかと
ウィキペディアで「五島」と検索してみたら、
(五島の人間が五島のはなしを書くのにウィキペディアを調べてる。
ほとんどサギだな)知らないかった事実が沢山!
なかでも基本中の基本、五島の名前の由来について、
「大きな島だけでも7,8個あるのに五島と名がついたのは、
5という数字が縁起が良いとする中国の思想のためで」云々と
書かれてました。へー。たしかに「五島」という観点で地図を見るから
大きな島5つな気がしてただけで、
その先入観がなければ5つとは言えない気がする。
なので、かつて僕をカツアゲしたお兄さん(五島のはなし①参照)への
メッセージを変更します。

「五島は、5という数字が縁起が良いとする中国の古い思想から
その名がついた、長崎の西およそ100kmのところにある島々です」

・・・でも、ウィキペディアの論もあくまで「説」なのであって
真の理由なんてわからないのかもしれない。

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五島のはなし⑨

五島への行き方はわかった。
ビーチや山や祭りや、見どころもちょっとだけわかった。
で、夜はどう過ごせばいいのよ?
という声(もちろんそんな声あがってませんが)にお応えして、
今日は福江島のナイトスポットをご紹介します。

まず、ごはん。
いい店は、町を歩いている人に聞いてみてください。
ふれあいも生まれますし。
・・・すみません実は18までしか島にいなかったからあんまり外食してないんです。

そしてごはんが済んで、ちょっとお酒でもと思ったら
迷わず「ロイヤルパブ・シャーロック」に行ってください。
福江には人口と同じくらいの数のスナックがありますが、
パブはない気がします。なのにパブを通り越して、ロイヤルパブですから。
楽しいお店です。島の伝説から素潜り漁のことまで。
女性たちの話が抜群におもしろいです。そしてリーズナブルです。

シャーロックをのぞいてみて、もうちょっと静かな雰囲気で飲みたいな
と思ったら、シャーロックの2号店「クラブ・ホームズ」をお勧めします。
クラブです。ウイスキーグラスに入った氷のカランコロン音とともに、
ふけてゆく島の夜を堪能できます。

余談ですが、シャーロックが2号店を出すことになったとき、
「あんた東京でコピーライターなんかしよるけん名前ば考えて」と頼まれました。
シャーロックの姉妹店か・・・僕は迷わず「ワトソン」と言いました。
数日後「名前は、ホームズに決まったけん」と伝えられました。
へこみました。

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五島のはなし⑧(三島邦彦版)



僕の話ばかりでは、みなさんの五島観に偏りが出てしまうので
他の人に五島のことを書いてもらいました。
つい先日、僕と同じ職場に配属になった
新人コピーライター、三島邦彦くんです。
長崎市出身ですが、おばあちゃんが五島・福江島の人という逸材です。
↓ ↓↓ ↓↓ ↓↓ ↓↓ ↓

そんな祭り、本当はないのかもしれません。
実際に見たことがないので、
心のどこかでその暴力的に理不尽な祭りの存在を
信じていない自分がいます。
ただ、毎年一月の大寒の頃、
長崎にはその祭りのニュースが流れるのです。

祭りの名前は「ヘトマト」。
長崎県の五島に伝わる、日本三大奇祭の一つです。
あとの二つは知りません。
へトマトという名前の由来に定説はなく、
トマトは全く関係ないということがわかっているだけです。

では、へトマトを紹介した新聞記事を引用します。

「大草履に女性乗せ 五島で奇祭へトマト

雨の中、体にすすを塗り付けた締め込み姿の男たちは、
大草履を担いで練り歩き、沿道の若い女性を次々に乗せては揺すり、
気勢を上げた」(長崎新聞2007年1月17日)

これが、ヘトマトです。
この、文字にしたときの力強さ、悔しいですが、たまりません。

毎年、1月16日頃に開かれるようですので、お祭り好きの方、
大草履に乗せられたい未婚の女性は、
だまされたと思って行ってみてはいかがでしょうか。
たぶん、本当にある祭りです。(三島邦彦)

奇祭、ヘトマト。 奇祭、ヘトマト。

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五島のはなし、のいいわけ。

「五島のはなし」を始めたはいいですが、
当初から感じている不安がふくれあがり爆発しそうです。
つまり、読む人は「結局お国自慢でしょ」と感じるだろうなあ、ということです。
いや、そう思ってなかったらうれしいですけど、
そう思うだろうなあと僕が感じる限り、
だれかが少しはそう思ってるものなんです。
(つらいですよね、日々生きていくのって)
そう思う方の、そういう気持ちに対して、
僕が言えるたったひとつの言葉は「大目に見て」です。
正直、この文章のことだけではありません。
上司、同僚、友人、家族、お得意さま、すれ違う人、
世の中の僕にかかわるすべての人に言いたいです。大目に見て、と。

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五島のはなし⑦

「読んでだら、すごく行きたくなったよ」という多数の声にお応えして
(ほんとはそんな声ないですうそついてすみません)、
今日は「五島(福江島)への行き方」をご紹介します。

ラクなのは飛行機。羽田→福岡経由→五島福江空港
もしくは羽田→長崎経由→五島福江空港で、
乗継がよければ羽田からたった2時間半。ぎりぎり通勤圏です。
五島福江空港は、前回お伝えした鬼岳のすぐ脇です。
長崎港からの高速船もあります。ジェットフォイルといいます。これが約80分。
ゆっくり行くならフェリーで、こちらは長崎港から4時間くらい。

いちばんのオススメは、福岡の博多港から出ている深夜フェリー「太古」。
夜中の12時に博多を出て、五島の島々に立ち寄り、
終点の福江港に着くのは朝の9時。
長旅ですが、ベッドもありますし、
なんといっても飛行機の3分の1・・・くらいだったかな?の料金。
夜明けごろに甲板に出ると、
うっすらと島々が見えて「帰ってきたー」って感じで、
帰ってきたーと思うのは出身者だけだろって感じですが、
そうじゃない人にも、超思い切って書きますが「心の故郷に帰ってきたー」って感じで、
とにかく見ごたえがあります。

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