五島のはなし。

五島のはなし⑥

「で、五島の福江島には、何があんの?」という質問にいくつか
答えを用意するとしたら、その4番目くらいに出てくるのが
鬼岳(おにだけ)です。

福江の市街地からあまり遠くなく、あまり高くなく、
あまり木も生えていない山です。
名前から察するに、鬼が住んでいるのでしょう。

小1から高3まで、年に1~3回、
遠足はずーーーーーーーーーっと鬼岳でした。
なのにまわりで「え~もうあそこはいいよ~」という声を聞いたことがありません。
恐るべし、鬼の魔力。

さらにこの山は、遠足の次の日ふもとの町(福江)に
雨を降らせるとして、とても限られた人の間で有名でした。
それが鬼ではなく子どもの仕業だと聞いたのは私が小6のころ。
いわく、遠足で山に登った大勢の子どもが、そこら中におしっこをする。
おしっこはやがて大量の水蒸気となり、山の上に雲をつくり、雨を降らせるのだと。

何年か前ひさびさに鬼岳に登ったら
きれいに整備され、天文台までできていました。
もうそこらへんにおしっこする子どももいないのでしょう。

鬼岳から見下ろすと海がきらきら~っとしてて、
それを見るのを楽しみにしている人が多いですが、
わたしは逆に海からこの山ののぺ~っとした姿を見上げるのが好きです。

鬼岳

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五島のはなし⑤

五島の福江島には
「日本一美しいと言われる、と言われる砂浜」があります。
なぜこんなまどろっこしいかというと、
「日本一美しいと言われる」といろんなところに書かれてますが、
実際に「日本一美しい」と言ってる人にも文にも
出会ったことがないからです。そうすると、私としては
「日本一美しいと言われる、と言われる砂浜」になります。

ちなみにヤフーで「日本一美しいと言われる砂浜」と
検索してみたら、真っ先にヒットしました。

名前は高浜海水浴場。
たしかにきれいです。
ぜひ冬の夕暮れに、恋人と別れ傷いた心で一人このビーチに
立ってみてください。世の中の理不尽な美しさに圧倒されると思います。
(恋人と一緒に、理不尽じゃない美しさに浸るのもアリです)

「日本の海水浴場55選」と「日本の渚100選」にも選ばれています。
・・・しかし「日本の〇〇選」って誰が決めてるんでしょう?国かなあ。
環境庁の人たちが日本中のビーチを巡って
「ねーここ、渚100選に入れてもよくない?」なんて
ワイワイやってるとしたら、何ともうらやましい仕事です。

高浜海水浴場

高浜海水浴場

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五島のはなし④

昨日深夜の帰り道、うんこを踏みました。
つかれきった精神状態でうんこを踏むのはつらいものがあります。
そういうときは、幼いころ兄に言われた言葉を思い出します。
「うんこを踏んでもいいように、俺たちはクツをはいているんだ」
この言葉にいままで何度救われたことか。名言です。
ありがとう、兄ちゃん。

さて、五島列島には大きく5つの島がありますが
(無人島から海に突き出た岩礁みたいなのもあわせると
144あるのだそうです)、そのひとつに奈留(なる)島があります。

奈留島にはいま奈留高校という高校がありますが、
かつては福江島(私の出身地です)にある
五島高校(私の出身校です)の分校でした。

分校だったので、五島高校の校歌はなじみが薄く、
ならばオリジナルの校歌を、と思い立った女子生徒がいました。
(あ、ちなみにこれ、いまから35年位前の話です)
その女子生徒は、とあるラジオの深夜番組に投稿、
当時人気があった番組のパーソナリティに校歌の制作を依頼しました。
依頼を引き受けたパーソナリティは、島に思いをはせ、ひとつの曲をプレゼントします。

「瞳を閉じて」

風がやんだら 沖まで船を出そう
手紙を入れた ガラスびんをもって

遠いところへ行った友達に
潮騒の音がもう一度届くように
今海に流そう

霧が晴れたら 小高い丘に立とう
名もない島が 見えるかもしれない

小さな子どもにたずねられたら
海の碧さをもう一度伝えるために
今瞳を閉じて
今瞳を閉じて

作詞、作曲、荒井由美。
フォークソングだからという理由で校歌にはならなかったそうですが、
いまも奈留高校の愛唱歌として歌い継がれています。
高校の前には、ユーミン直筆の歌碑もあります。
歌碑の除幕式のため、初めて奈留を訪れたユーミンは
自分の思い描いていた景色がそのままあることに驚き、泣き出してしまったそうです。
とってもいい曲です。知ってる人も多いと思いますが、一度聴いてみてください。

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五島のはなし③



磯男(いそおとこ)のことは、けっこう小さいときから聞いていたのですが
本当にいるかどうか半信半疑でした。
変わった人が多かった五島でも、海岸の磯にひとり住んでいるという
磯男の話はなんとなく信じられなかったんです。
だって、まず名前が民話っぽくて。

そんなある日、仲のいい友人と
あぶんぜ(溶岩でできた海岸の名前)にカニ釣りに行きました。
しばらく没頭していたのですが、あるとき友人が「ほら!」と指差す。
見れば、岩陰から乱れた長髪の裸の男が現れ、
ごつごつした溶岩の上をすべるように駆けていく。
明らかに一般人(この表現が正しいかどうかわからないが)ではない。

おおっ!ホントにいるんだ!磯男さん!
その生き方は(いや、正直、生き方なんてなんも知らないですけど、想像で)、
現代社会へのアンチテーゼのようでもあり、めっちゃワイルドで、かっこよくって、
もう見た瞬間から、さんづけでした。

砂浜がきれいとか、教会がたくさんとか、魚がうまいとか、
五島を紹介する言葉はいろいろあるのですが、
「磯男がいる」、これだけで十分と思っています。

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五島のはなし②

厚焼玉子さんに「もちろん毎日書くのよね」とプレッシャーをかけられた。
が、そんなにネタ満載の島ではないのが、五島という島の悩みである。
とかく中途半端なのである。

沖縄のような暖かさはない。屋久島のような大自然って感じでもない。
リゾートでもない。とっても遠くはないが、気軽に行ける近さでもない。
そりゃ、みなさん別の島に行くでしょう、と思ってしまう。

一時期、自分の性格の中途半端さ(熱しやすく冷めやすい、コツコツがんばれない)は、
島人のDNAに息づくものではないかと考えた。
根拠もある。

かつて、五島は遣唐使が大陸に渡る際の最後の寄港地であった。
逆に大陸からきた船にとっては、最初の日本領土である。
都で「唐に行きたい人っ!」という問いかけに「行きます行きます!」と
まっさきに手を挙げながら、五島に着いたとき「あ、おれもう、ここが唐ってことでいいや」
と降りてしまった人々。そして大陸から日本を目指し、五島についた瞬間
「ここが日本じゃん、もう長旅はいいや」と降りてしまった人々の、
その子孫が私(五島の人々)なのではないか。

ちなみに、空海も唐に渡る前五島に立ち寄り、
ゆかりのお寺とか、石碑が立ってます。
石碑には空海の言葉が刻まれていた気がしますが、覚えてません(中途半端)。

・・・でも、いいとこなんです、五島。

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五島のはなし①

Team Visionの中村直史です。
突然ですが、この場を借りて五島列島のことを書きます。
日本で「島」といえば、沖縄の島々、奄美、屋久島、
伊豆大島、佐渡、壱岐、対馬といったところがメジャーで、
五島は「五島?」って感じです。
この「?」を少しでも減らしたいんです。
最初にそう感じたのは、僕がまだ中学生のころでした。

親戚の結婚式で福岡に行ったとき、僕を繁華街の路地に
連れ込んでカツアゲしたツッパリのお兄さんがいました。
「ワイどっから来たとや?」と聞かれ
「ご、ご、五島です」と答えたら、「五島?」と言われたのです。
悔しかったです。初めての大都市でナイフを突きつけられ、
1万2千円とられたあげく、ふるさとに「?」をつけられる屈辱。
あのときは恐怖で言えなかったけど、
あのツッパリがこのブログを読んでるとしたら
(ぜったいなさそう)、毅然とした態度で伝えたい。

「五島は長崎の西およそ100キロ、東シナ海に
5つの島が並ぶことからその名がついた列島です」

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