蛭田組・森由里佳

森由里佳 18年9月23日放送

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*- mika -*
月と、月見草

月見草という花がある。

夜にひっそりと咲く姿から、
誰が思ったのだろうか、
密やかな恋、という花言葉をもっている。

しかし、月見草は、ひかげを好むわけではない。
他の花と同じように、あかるいひなたを好むのだ。
それなのに、いざ咲くとなると、夜を選んでそっと咲く。

多くの花が太陽に恋をしているとするならば、
月見草は、月に恋しているのだろう。

明日はお月見。
誰を想って、空を見上げてみましょうか?

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森由里佳 18年9月23日放送

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bobfamiliar
月と、海

餅つきをするウサギの形や、
立派なはさみのカニの形。
女性の横顔だという人もいれば、
本を読むおばあさんだという人もいる。

月の模様は、昔から、
さまざまに例えられてきた。

ギリシャの先人が空を見上げて星座を描き出したように、
多くの人が一度はその目を細めて考えたことがあるだろう。

月の模様をつくり出しているのは、
月の表面にある高低差。
黒っぽく見える低い平原には、名前がついている。

美しいその名は「月の海」。

万物の母である海は月にあってなお、
私たちの想像力をも育ててくれているというわけだ。

明日はお月見。
久しぶりに見上げてみては、いかがですか?

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森由里佳 18年8月19日放送

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うどん野郎
夏祭り 光の花と祭り囃子

夏の祭りをしめくくる、
夜空いっぱいの打ちあげ花火。

光に照らされる人びとの夢心地な横顔は、
真夏の夜の風物詩だ。

今から2年前、
花火師の今野祥さんは、
明日への扉というドキュメンタリー番組でこんなことを言っていた。

どんなに気持ちが落ち込んでいる人も、
花火があがれば必ず空を見上げます。
花火が嫌いな人って、いないと思うんです。

花火師は、ひとびとの心の温度もあげてゆく。
せつなくも鮮やかなその瞬間は、
祭り囃子のノスタルジックな音色がよく似合う。

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森由里佳 18年8月19日放送

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夏祭り そのはじまり

夏祭りの起源と言われているのは、
京都の祭り、祇園祭。

神さまが神輿に乗って
ちょっとした鎮魂の旅をするのに、
人びとが舞や音楽、歌を捧げたのがはじまりだ。
その賑やかな様子を見ようと多くの人が集まり、
それならば、と、今に伝わる華やかな祭り囃子や山車がうまれたという。

みんないるなら、楽しい方がいいじゃない。
真面目一辺倒といわれる日本人にもそんな一面があると思うと、
祭り囃子がいつにも増して、粋に聞こえてくる気がする。

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森由里佳 18年8月19日放送

180819-08

夏祭り ゆかたの知恵

夏祭り。
その非日常感を演出するのは、
祭り囃子に出店、ちょうちん、そして人びとの浴衣姿だ。

今ではさまざまな色や柄を楽しめる浴衣だが、
むかしながらの浴衣には、藍染めのものが多い。

その理由は、色の美しさだけではない。
藍という染料が持つ香りにある。

実はそれは、虫たちが苦手とする香り。
そこに目を付けた人々は、
夕方をすぎると、藍地の浴衣を好んで着たという。

機能だけでなく、美しさも持ち合わせるのが日本の知恵のいいところ。
今年の夏祭りには、藍染めの浴衣で出かけてみませんか。

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森由里佳 18年7月8日放送

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MILD
平成の夏 夏のひばり

春を告げる鳥として親しまれる、ひばり。
空高くまで舞いあがり、美しくさえずるその鳥は、
歌手としての人生を全うしたある女性の名前の由来となった。

美空ひばり。

日本中から愛された歌姫が亡くなったのは、1989年のこと。
平成最初の夏だった。

あれからもう、30年。

いつのまにか、平成最後の夏が来た。
春を告げ終えたひばりは今もきっと、
どこか遠い空のむこうでさえずっているに違いない。

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森由里佳 18年7月8日放送

180708-07

平成の夏 乾杯!

その工場で造られるビールはたいへん愛され、
のちに、ビールの名前が工場のある町の名前に
さらに山手線の駅の名前にまでなってしまった。

1988年。昭和最後の夏に工場は閉鎖されたが
その跡地は多くの人が集まる複合施設になった。

東京・恵比寿。
今も多くの人がのどを鳴らして夏を楽しむ賑やかな街。
昭和が終わっても、平成がはじまっても、
高らかな乾杯の音はこの街に響き続けた。

さあ、キンキンに冷やしたビールで乾杯しようじゃないか。
平成最後のこの夏に。そして、その先にやってくる新しい時代に!

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森由里佳 18年7月8日放送

180708-08
Wild Child
平成の夏 青い夏

熱気に包まれた夏のロシアからの中継が、
日本中をゆさぶった。

コロンビア、セネガル、ポーランド。
そしてベルギー。
並み居るライバルを前に、
日本中が日本代表と一緒になって、
夢中でピッチを駆けた夏。

ベルギー戦の中継の最後、
実況が残したことばは、
このワールドカップの全てを物語っている。

“なんと幸せな時間だったことでしょう”
 
平成最後の夏のはじまりを、
すがすがしいサムライブル―に染めてくれた選手の姿を
私たちはきっと忘れない。

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森由里佳 18年6月10日放送

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szeke
時の記念日 時計を見ないで

昔、まだ時計がなかったころのこと。

日本人は、日の出と日没で昼と夜を分け、
それぞれを6等分してだいたいの時間を把握していました。

季節によって日の長さが違うため、
同じ「子の刻」だとしても、春と冬では大違い。
それでも、誰(だあれ)も気にしません。

のちに西洋から機械時計が伝来し、
人びとに広まるまでの長い間、
日本人はのんびりと、
季節や太陽と共に生きてきたというわけです。

さあ、今からでも遅くはありません。
今日だけは、時計ではなく、夕陽を見ながら、
1日の終りを感じてみてはいかがでしょう。

今日は、時の記念日。

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森由里佳 18年6月10日放送

180610-04

時の記念日 人と時間のいい関係

分刻みのスケジュールであわただしく過ごす、現代人のみなさん。
私たちが時間を意識するようになったきっかけを、ご存知ですか?

時は13世紀、北イタリアから南ドイツにかけてのこと。
時間を神からのいただきものだと考える修道士たちにとって、
仕事や祈りの時間を守ることは、とてもだいじなことでした。

そこで、修道院や教会の塔に、
鐘を鳴らす機械時計が設置され始めます。

修道院が人びとの暮らしのまん中にあった時代ですから、
まわりで生活していた民にとっても、
祈りの時間を告げる鐘の音は、暮らしの一部となっていきました。

私たち人間と時間のつながりは、
日々の幸せを祈ることから生まれていた。
なんだか素敵な話です。

今日は、時の記念日。

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