蛭田瑞穂

蛭田瑞穂 19年10月13日放送



深海  深海調査

深海の調査にはふたつの大きな問題がある。

ひとつは通信の問題。
水中では電波が使えず超音波に頼らざるをえないが、
超音波の識別能力は非常に低いため、
探査機の位置を把握するのは極めて困難である。

ふたつ目は圧力の問題。
水深10メートルごとに1気圧ずつ高くなり、
地球の最深部では探査機は1100気圧という
途方もない圧力に耐えなければならない。

これまで月面に着陸した人間は12人。
一方、地球の最深部マリアナ海溝のチャレンジャー海淵に
到達した人間はわずか3人しかない。

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森由里佳 19年10月13日放送



深海  深海の光

チョウチンアンコウ。
実はこの魚、数が少ない上に
捕まえることが難しいため、
なかなかお目にかかれない深海魚だ。

それなのに、どんな姿をしているのか、
多くの人が想像に難くないからおもしろい。

おそらく、その原因は
あのアイコニックなチョウチンだろう。

実はあのチョウチン、
発光性のバクテリアとの共存のたまものである事がわかってきている。
あのチョウチンの先で、たくさんのバクテリアを飼っているわけだ。

そう思うと、あのいかめしい顔も、なんだかやさしく見えてくる。

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森由里佳 19年10月13日放送



深海  しんかいの技術

日本が誇る有人潜水調査船、
しんかい6500。

その名の通り、
水深6500mまで潜ることができる。

しかし、レアメタルなどの海底資源をめぐり
各国がこぞって開発を続けているため、
7年前には中国が7020mという記録を出したり、
日本でも既にしんかい12000の開発が進んでいたりと、
潜水競争は激化の一途をたどっている。

しかし驚くべきは、
しんかい6500が開発されたのが、1989年だということだ。
30年前の技術が、今もなお世界を相手に
次々と成果をあげているということになる。
日本の底知れぬ技術力が、
海の底を明らかにする日も近いかもしれない。

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星合摩美 19年10月13日放送


kqedquest
深海  シルビア・アール

「海の中は美しくて刺激的だわ」
海洋研究家で探検家でもあるシルビア・アールは、
7000時間以上を海中調査に費やしてきた。

その一方でこんな体験をしている。
水深300mで、赤い閃光を放つ何者かを発見。
逃げられてしまわないように慎重に近づくと、
それは海底に埋もれた炭酸飲料の缶だった。
今、世界の海底には無数のゴミが沈んでいる。

彼女は口癖のように言う。
「海について知ることが、海洋保護の第一歩よ」

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星合摩美 19年10月13日放送



深海  ダイオウグソクムシ

地球最後のフロンティア、深海。
水深200〜2000mには驚くべき生物がいる。
その名はダイオウグソクムシ。

グソクとは甲冑のことを意味し、体は硬い殻で覆われている。
海底に落ちてくる魚やクジラの死骸を食べることから
「海の掃除屋」とも呼ばれる。

鳥羽水族館で飼育されていたダイオウグソクムシは、
5年以上エサを食べずに生き続けたことで注目された。
そのメカニズムが解き明かされれば、
人間の健康長寿につながる可能性もあるのだとか。

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星合摩美 19年10月13日放送


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深海  メヒカリ

丸い目玉が特徴の深海魚、メヒカリ。
見た目はややグロテスクだが、
深海の低温と高圧の環境で
その身は引き締まり、脂も乗っている。

茨城沖で行われる底引き網漁は、10月から11月がピーク。
旨味も増す季節だという。
昔はその味の濃厚さが好まれなかったが、
今では高級魚として取引されている。

水揚げされたばかりのものが手に入れば、
刺身がオススメ。
とろけるような旨味とプリっとした食感
を楽しむことができる。

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蛭田瑞穂 19年9月8日放送


dalbera
ダンス エトワール

1661年にルイ14世が設立したロイヤルダンスアカデミーを起源に持つ、
パリ国立オペラ。通称「オペラ座」。

オペラ座に所属するダンサーはおよそ150人。
年に一度の試験によってダンサーたちは5つの階級に分けられる。
カドリーユ、コリフェ、スジェ、プルミエ・ダンスールと位が上がり、
最高位がエトワール。

現在のエトワールは男女合わせてわずか16人。

フランス語で「星」を意味するエトワールは
際立った個性や天性の才能を持つダンサーと認められた者だけが
手にできる称号である。

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蛭田瑞穂 19年9月8日放送


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ダンス 白鳥の湖

チャイコフスキーによるバレエ音楽『白鳥の湖』には
オデットという名の主役の白鳥と
オディールという名の悪役の黒鳥が登場する。
『白鳥の湖』ではふたつの役をひとりのダンサーが演じるのが
習わしとなっている。

優雅なオデットと妖艶なオディール。
正反対の役を演じ分けなければならないため、
ダンサーにはバレエの高い技術と巧みな演技力が要求される。

ひとりで二役を初めて演じたのが、19世紀に活躍し、
今なお史上最高のバレリーナと呼ばれる、
ピエリーナ・レニャーニと言われている。

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佐藤日登美 19年9月8日放送



ダンス タップダンス

18世紀、アメリカ南部。
人種差別がまだ色濃かった時代、
多くの黒人たちが奴隷としてアフリカから連れてこられた。
彼らのささやかな楽しみは、ドラムに合わせて踊ること。
ところが暴動を恐れた白人たちは、
黒人が集まる場所でのドラム禁止令を出してしまう。

それでも、彼らは踊ることを諦めなかった。
黒人たちはみんなで足を踏みならし、拍子を刻み始めた。

これが、タップダンスの起源と言われている。

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森由里佳 19年9月8日放送


S. Weiss
ダンス 自分たちにしかできないダンス

慶應義塾大学のジャズダンスサークル「SIG(シグ)」は今年創設20年を迎える。
サークルで振付を指導する振付家、高柳明子は言う。
「ただのダンスなら、やる意味がない」。

高柳によれば、ダンスは音楽に合わせてただ体を動かすことではない。
振付は、体に込めたエネルギーの移動そのものであり、
そのエネルギーのうねりをダンサー全員で共有し、大きくしていく。
それこそが、そのメンバーでやる意味のあるダンスなのだと。

高柳、そしてSIGの目指すダンスは、一人よがりでは決して踊ることができない。
その時、そこに集うメンバーでグルーヴを生んでこそ、
ほんとうの意味で、全員で踊るダンスになるのだ。

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