蛭田瑞穂

森由里佳 17年10月8日放送

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海外で暮らす⑧:英国貴族と日本の自然

英国貴族のお嬢様なのに、
日本の古民家での暮らしを選んだ女性がいる。

ベニシア・スタンリー・スミスさん。
去年、NHKの取材に応じ、こうコメントした。

「コンクリートが、セメントが増えて、だんだん土が少なくなって、
みんな忙しくて、コンビニでご飯買って食べて。
・・・日本はどうなっちゃうんだろうって思う」

そう言う彼女が住むのは、京都・大原。
庭には、いちじく・枇杷などの木や、
シソ・みょうがなどのハーブであふれている。

テレビを見て、
自分の暮らしを真似る人が出てくれたらいいと思い、
出演を決めたという彼女。

彼女の生まれと今の暮らしは、一見、正反対に思えるけれど、
その豊かな感性は、
イギリス郊外の自然ゆたかなお屋敷で育ったからこそ、かもしれません。

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森由里佳 17年10月8日放送

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海外で暮らす⑦:紅茶より日本茶

イギリス、ケドルストンホールで生まれた
由緒正しい英国貴族のお嬢様。
そんな稀有なバックボーンとは裏腹に、
京都・大原でたくさんのハーブを育てながら暮らす女性がいる。

彼女の名は、ベニシア・スタンリー・スミス。

最高のハーブは日本茶かもしれないと言う彼女は、
ペットボトル入りの日本茶に、思うことがあるそうだ。

「今、日本茶は世界中で人気なのに、
プラスチックに入れるかあっ?って思うねん!」

来日してから約50年の間に身につけた
お茶目な関西弁で怒るベニシアお嬢様。

英国出身の彼女なら、本来、
ペットボトルの紅茶に怒りそうなところだが…

さて、私たち日本人は、
イギリスでペットボトルの紅茶を見て、
同じようなことを思えるだろうか?

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森由里佳 17年10月8日放送

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海外で暮らす⑥:英国貴族のお嬢様の夢

イギリス、ケドルストンホール。
ダウントンアビーという人気海外ドラマの舞台にもなった、
ナショナルトラストの管理下にある英国貴族のお屋敷だ。

まるで城のように大きなこの家で生まれた
ベニシア・スタンリー・スミスは、
屋敷の外に広がる、村人たちの古くて小さなコテージに憧れていたという。

「自分が心から好きになれる生き方を選んで、それを実行して。
わたしは、古いものに新しい命を吹き込みたい。」

そんなイギリス屈指のお嬢様は、やがて移住を決意する。

京都・大原。
日本の古民家でハーブを育てながら、
ベニシアは、こころ豊かに暮らしている。

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蛭田瑞穂 17年10月8日放送

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海外に暮らす⑤:パリのおすし

日本人シャンソン歌手の第一人者、
石井好子のエッセイ集『パリ仕込みお料理ノート』には
1950年代に数年間暮らしたパリでの暮らしが、
食べ物の思い出とともに綴られている。

フランスの正月は特に行事がなく、
特別な正月料理もない。
ある年、日本人の友人たちと
せめて食べ物で正月を祝おうと思った。
しかし、パリにおせち料理の材料はない。
そこでみんなでおすしをつくることにした。

元日の朝早くから市場へ魚を買いに走り、
すし飯づくりにとりかかった。
不慣れな手つきで握ったおすしは
吹き出してしまうような形だったが、
その味は頬が落ちるほどおいしかったという。

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蛭田瑞穂 17年10月8日放送

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海外に暮らす④:パリのしめ鯖

日本人シャンソン歌手の第一人者、
石井好子のエッセイ集『パリ仕込みお料理ノート』には
1950年代に数年間暮らしたパリでの暮らしが、
食べ物の思い出とともに綴られている。

石井はパリの魚屋で鯖を見つけると、
自宅でよく、しめ鯖をつくったという。

薄皮をむき、中骨を取り、鯖の身を三枚におろす。
そのときどうしても手を使わざるを得ないのだが、
手についた鯖の匂いは一日中消えない。

フランスの男性は手の甲にキスをする習慣があるため、
しめ鯖をこしらえた日は大変に気まずかったとのこと。

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佐藤日登美 17年10月8日放送

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海外で暮らす③:エッフェル塔

フランスに住む、作家でミュージシャンの辻仁成。
実は、フランスに渡ってもう15年が経つ。
その間、離婚を経験し、
母親の代わりをしながら息子と二人、パリで暮らした。

悩んだとき、悲しくなったとき、困ったとき、
辻はエッフェル塔を見上げたという。
そうすると、不思議と心が落ち着き、元気になった。

辻は、エッフェル塔についてこう語る。

そこにエッフェルさんがいる。
彼女は母のようなやさしさで私たちを見下ろしている。
いや、世界中の人たちを毎日やさしく見守っているのだ。

いつのまにか自分よりも背丈が伸びた息子とともに、
辻は今日もパリで生きている。

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佐藤日登美 17年10月8日放送

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海外で暮らす②:フランス人とストレス

中学生の息子と二人、フランス・パリに住む
作家でミュージシャンの辻仁成。

ある日、フランスの友人バンサンに
「フランス人はなぜストレスがないの? 」と聞いてみた。

フランス人はね、一年中バカンスのことを考えてるから、
ストレスを抱える暇がないんだよ。
人生を楽しむことがストレスに勝つ唯一の方法だよ。
ムッシュ〜辻、一度しかない人生大切にしてください!

生真面目に生きる日本人たち。
海外に暮らすと、少し視点が変わるかも。

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佐藤日登美 17年10月8日放送

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海外で暮らす①:息子よ。

作家、ミュージシャン、演出家。
様々な顔を持つ辻仁成はいま、フランス・パリで
中学生の息子と二人で暮らしている。

毎日更新されるTwitterには
パリ生活の様子、仕事の話、
辻の手作り料理の写真などがアップされる。
そのなかで、ときおり「息子よ。」と始まるツイートが流れてくる。

たとえば。

息子よ。
いってきます、の一言がなぜ大切かというと、
必ず帰ってきます、と父ちゃんを安心させるためにだよ。
ご馳走さまでした、は父ちゃんをいい気分にさせてまた美味しいものにありつくために。
おやすみなさい、は父ちゃんもどうぞお疲れでしょうから寝てください、の、
おやすみなさい、なんだよ!笑。

父と子、たった二人の海外暮らし。
息子への言葉に、親子の絆がうかがえる。

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蛭田瑞穂 17年9月17日放送

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美味なるイタリア料理 アントニオ・ラティーニ

1554年、ナポリに一隻のスペイン船が入港した。
この時初めてイタリアにトマトが伝わったと言われている。
その後、トマトは主に観賞用として栽培されることになった。

トマトを初めて料理のソースとして用いたのは
17世紀のナポリの宮廷料理人、アントニオ・ラティーニ。

あぶって細切れにしたトマトを玉葱、胡椒、ピーマンなどと混ぜ、
塩、オリーブオイル、酢で味をととのえる。
これがラティーニの考案したトマトソースのレシピ。

のちの料理人たちがこのソースにさまざまな工夫を加え、
パスタと組み合わせた。
そしてトマトソースは世界でもっとも人気のあるパスタソースとなった。

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蛭田瑞穂 17年9月17日放送

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美味なるイタリア料理 ジョヴァンニ・デル・トゥルコ

多くの人が好む、パスタのアルデンテ。
しかし、17世紀になるまでパスタは
30分から2時間ほども茹でるのがふつうだった。

アルデンテはいつ誕生したのか。

17世紀のフィレンツェの音楽家で、
料理家でもあったジョヴァンニ・デル・トゥルコは
その著書『エプラリオ』の中でこう記している。

 マッケローニは長く茹でないほうがよろしい。
 茹でたあとただちに冷水をかけること。
 それがマッケローニをシャキッと引き締める。

これがアルデンテの起源と言われている。

絶妙にコシの残るおいしいパスタが食べられるのは、
ジョヴァンニさんのおかげかもしれない。

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