alex_ford
愛のかたち 音楽にこめた愛
天才、ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン。
ピアノソナタ14番の通称、「月光」は、
詩人ルードヴィヒ・レルシュターブから寄せられた次の賛辞に由来する。
「湖の月光の波に揺らぐ小舟のようだ」
第一楽章のロマンティックさとは裏腹に、
第三楽章の昂ぶる旋律は、あふれる想いの独白にもとれる。
それもそのはず。
この曲は、当時想いを寄せていた女性に捧げたものだった。
相手は、伯爵令嬢。叶うことのない身分違いの恋だった。
天才の恋は、消えゆく月光のように、
打ち明けることなく静かに幕を閉じたのだろう。
数ある書簡集の中に、
彼女に宛てた手紙は、1通も見つかっていない。