海⑤ 現代に生まれた人魚姫:二木あい
今までの水中写真には、面白さがない。
そう話すのは、二木あい。
自らを「水中表現家」と名のり、
素潜りでは世界トップの実力をもつ女性だ。
彼女は続ける。
全部「人間の目線」
つまり観察的に撮られたものだからじゃないかな
そんな彼女の作品と、
他のダイバーたちの作品が
決定的に違うこと。
それは、いきものとの距離だ。
素潜りという武器をもつ彼女は、
驚くほど近く、信じられないほど自然に、いきものと泳ぐ。
魚たちと同じ目線にたち、
その中にとけこもうとすれば、彼らからじゃれてくるのだという。
水中世界と人間世界を繋ぐ架け橋になりたい。
そう願う彼女が泳ぐ姿は、まるで人魚姫のように美しい。