門田陽

伊藤健一郎 15年2月15日放送

150215-02

月に立った男たち バズ・オズドリン

 実は月面に降り立つ直前、
 はしごに足を掛けながら尿パックを満たしていたんだ。

そう語るのは、アポロ11号の搭乗員、バズ・オズドリンだ。
無酸素、無重力、人類未踏の大地に踏み出す瞬間まで、余裕たっぷり。
そんな彼にも、失敗談があるという。

 地球からのお土産を、月に置いてくるミッションがあったんだ。
 世界各国の首相や大統領のメッセージが入ったディスクや、
 ガガーリンのメダル…

任務を思い出したときにはもう、宇宙船に帰還するはしごの上だった。

 戻る時間はなかったから、思いっきり月面めがけて投げたよ。

あらゆる局面下で、柔軟な対応が求められる宇宙飛行士。
彼らの柔軟性は、どんなときでも忘れない自分らしさが生むのだろう。

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伊藤健一郎 15年2月15日放送

150215-03

月に立った男たち アームストロングとコンラッド

 一人の人間にとっては小さな一歩だが、
 人類にとっては偉大な飛躍である。

言わずもがな。アポロ11号の船長、ニール・アームストロングの言葉だ。
では、こんな言葉を、ご存知か?

 ウピー! ニールには小さな一歩だったらしいけど、
 俺にはずいぶん長くかかった一歩だぜ!

アポロ12号の船長、ピート・コンラッドの言葉である。
月へと続くはしごを一段一段ゆっくりと降り、月面に降り立つそのときに、
コンラッドの口を突いて出たのは「ウピー!」
中継するアナウンサーは、その言葉を正確に伝えるたびに、
笑いをこらえられなかったという。

アポロ計画以降も、数々の名言を残してきた宇宙飛行士たち。
だがしかし、はるか月から、地球を抱腹絶倒させたのは、
後にも先にもコンラッドただ一人。

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伊藤健一郎 15年2月15日放送

150215-04

月に立った男たち ユージン・サーナン

“月面に降り立った最後の人間”。
アポロ17号船長、ユージン・サーナン。

カソリック教徒であった彼は、宇宙での体験をこう口にした。

 地球はいきいきとして雄大で、
 その存在は、偶然の産物にしては
 あまりに美しすぎる。
 われわれより大きな何かが存在するはずだ。
 宗教的なものでなく霊的なもの。
 人間の作った宗教を超越する
 万物の創造主が、存在するに違いない。

もしも、サーナン船長のように、誰もが地球を俯瞰できたなら。
われわれ人類は、様々な隔たりなく、深く理解し合えるのだろうか。

アポロ計画が終了して40年余り。
サーナン船長を最後に、人は月を歩いていない。

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伊藤健一郎 15年2月15日放送

150215-05

月に立った男たち デイヴィッド・スコット

イタリアの物理学者、ガリレオ・ガリレイ。
1960年代初頭、彼の学説は宗教裁判にかけられ、終身刑を言い渡される。

それから月日が流れ、1971年。
アポロ15号船長デイヴィッド・スコットは、月面で、ある実験を試みた。

内容は、実にシンプル。
「ハヤブサの羽と、地質探査用ハンマーを、同時に月面に落とす」
というものだった。

そこには、宙をひらひら舞う羽も、
地表にどすんと落下するハンマーもなかった。
ただ、静かに、同じ速度で落ちていく。異なる質量を持つ2つの物体があった。

ガリレオの学説が認められて久しい今なお、その光景は目新しい。
偉大な物理学者の学説は、ひとりの宇宙飛行士によって実証された。

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伊藤健一郎 15年2月15日放送

150215-06

月に立った男たち ハリソン・シュミット

月に降り立った、唯一の科学者。ハリソン・シュミット。
アポロ17号の乗組員だった彼は、地質学の権威だった。

シュミットは語る。

 月は、天然資源の宝庫だ。
 土壌には、ヘリウム3が豊富に蓄積されているんだ。

ヘリウム3とは、核融合発電の燃料となる気体。
月に100万トンが眠るとされるその気体は、
わずか25トンで、欧州と米国の1年分の電力を賄うという。

かつてNASAは「2018年に、人を月に送り込む」と宣言した。
近い将来、人類が抱えるエネルギー問題の答えが、月で見つかるかもしれない。

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伊藤健一郎 15年2月15日放送

150215-07

月に立った男たち ジョン・ヤング

宇宙飛行士、ジョン・ヤング。
アポロ16号の船長として
月でのミッションを成功させた彼にも、
初々しい新人時代がある。

それは、アポロ計画よりも前、ジェミニ3号の乗組員だった頃。
当時、味気ない宇宙食に不満を抱いていたヤングは、
サンドウィッチを、内緒で機内に持ち込んだ。

任務は無事成功したものの、非難轟々。
安全面への配慮が欠けているとして、大ブーイングをくらう。

ヤングは言う。

 変えるには、リスクが伴う。
 変えなければ、より大きなリスクが伴う。

いまや、多種多様の味が楽しめる宇宙食。
若き日のヤングの行動が、食味向上のきっかけとなったのは言うまでもない。

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宮田知明 15年1月24日放送

150124-03

「1」にまつわる関係

「今日の1分を笑う者は、明日の1秒に泣く。」

これはイギリスの政治家、
フィリップ・チェスターフィールドの名言。

少しの時間でも大切にしなさい、という格言であるが、
日本にも、似た意味のことわざがある。

「一円を笑うものは、一円に泣く。」

時間とお金、別の概念ではあるが、本質的な考え方は同じ。
時間とお金とは、浪費されがちなものの代表のようだ。

そして、お金と時間の関係で言えば、古くからこんな言葉もある。
Time is money.(時は金なり)

時間とお金、両方を大切にするのは、人間の永遠のテーマかもしれない。

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宮田知明 15年1月24日放送

150124-04
miguel77
「1」対「1」

1対1。

チームプレーのスポーツにおいても、
時として個人同士の能力のぶつかり合いを見ることができる。

ポルトガルの名サッカー選手、ルイス・フィーゴは、
その卓越したドリブル能力への自信から、

「1対1になったら勝負しないわけにはいかない。
 なぜならオレはドリブラーだからだ」と言った。

バスケットボールのマンガ、「スラムダンク」では、
ずば抜けた個人能力を持つ流川に対し、ライバルの仙道は言う。

「1対1もオフェンスの選択肢のひとつにすぎねえ。
 それがわからねえうちは、おめーには負ける気がしねえ」

チームプレーを大切にするからこそ、個人能力が生きるのだ、ということ。

1対1か、チームプレーか。いずれも、正しい考え方のように思える。
あなたはどちらの考え方が、好きですか?

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宮田知明 14年10月11日放送

141011-01
hfordsa
栗山英樹の哲学

「遅すぎる。全然ダメ。」

日本ハムファイターズ・大谷翔平の今シーズン初勝利、
プロ入り後初めての10奪三振にも、
栗山監督の表情は険しかった。

大リーグへ行く。日本ハムに入る可能性はゼロ。
そう言っていた彼に、
その夢を一緒に背負いたい、と説得した栗山だが、
プロ野球三年目を迎える大谷に対して、
厳しい言葉をかけ続ける。

栗山監督は言う。
「翔平はオレのことは大キライかもしれない。
 でも、やりたいようにやる。」

誰よりも、その活躍を望むがゆえに、
本人よりも厳しくなる。
それが、人の夢を背負うことの覚悟かもしれない。

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宮田知明 14年10月11日放送

141011-02
Norio.NAKAYAMA
弁護士・大渕愛子の哲学

ふなっしーが大好き、
持ち物も部屋もふなっしーだらけ。
弁護士、大淵愛子がふなっしーを愛するのは、
その「見た目」のかわいさだけではない、確かな理由がある。

大きな弁護士事務所からの独立。
仕事とプライベートの、オンオフのない生活。
「サイボーグみたい」と呼ばれたこともあった。

そんなときに出会った、ふなっしーというキャラクター。
ふなっしーは、世の中や他人の価値観から自由に生きている。
そう思うと、自分も「自分のままでいいんだ」と思えた。
そこから気を張っていたものがほどけていった。

「ふなっしーが大好き」と公言することで、
「変わってる」と言われることも多い。
でも逆にそれを、彼女は楽しみながら生きている。

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