Greg O’Beirne
綾小路きみまろの哲学
中高年のアイドル、
漫談家として知られる、綾小路きみまろ。
舞台では、そこまで言うかというほどの毒舌で
爆笑をさらう彼にも、信念がある。
「クソババアとは絶対に言わない」
舞台で言うジョークは、
お客さん全体に言っていること。
ひとりのお客さんをつかまえて、
目を合わせて言うことはない。
キャラクターとしてそうしている、
と言えばそうなのかも知れない。
でも、彼のこの言葉には、それ以上に、
中高年の人たちへの愛を感じる。
Greg O’Beirne
綾小路きみまろの哲学
中高年のアイドル、
漫談家として知られる、綾小路きみまろ。
舞台では、そこまで言うかというほどの毒舌で
爆笑をさらう彼にも、信念がある。
「クソババアとは絶対に言わない」
舞台で言うジョークは、
お客さん全体に言っていること。
ひとりのお客さんをつかまえて、
目を合わせて言うことはない。
キャラクターとしてそうしている、
と言えばそうなのかも知れない。
でも、彼のこの言葉には、それ以上に、
中高年の人たちへの愛を感じる。
レイチャールズの哲学
ソウルの神様、レイチャールズは、
ジョークが好きだった。
自分の目が見えない、ということすら、
ジョークにしてしまう。
日本で公演を行った時、
若き日の、まだ調律師だったブラザートムが、
彼のピアノの調律を担当した。
この感謝を伝えるために言ったレイの一言は、
「キミの顔は覚えておくよ。」
その一言は、ブラザートムの生涯の宝物になった。
もし、あなたが、とっても些細なことで悩んでいたとしたら。
レイチャールズの、こんな言葉が聞こえてきそうだ。
「君たちは目が開いてるのに、何にも見えてないんだな。」
KentaroIEMOTO@Tokyo
高嶋仁が見た夢
照りつける太陽、立ち上る陽炎。
全国の高校球児たちが、まさに熱闘を繰りひろげる甲子園。
強豪と言われるチームには、名将とよばれる監督の存在がある。
智弁和歌山を率いる監督、高嶋仁(たかしまひとし)はかつてこう言った。
「苦しい思いをした人間だけが逆境をチャンスに変える」
今年、智弁和歌山は惜しくも甲子園出場を逃してしまった。
しかし、彼らはこの悔しい思いを糧に強くなるだろう。
もう、その目は次の夏を見ているのだから。
mattb_tv
青木秀憲が見た夢
東京の名門、開成高校。
かつて同校野球部は、データと理論を駆使した
独自のセオリーを用い、東京大会ベスト16という好成績を残した。
彼らが掲げた勝利の方程式は、
「ドサクサにまぎれて勝つ」という独創性あふれるもの。
チームを育てた知将青木秀憲監督は言う。
「野球は大いなる無駄。無駄だからこそ
思いっきり勝ち負けにこだわってやろう」
強豪校と比べ、体格や技術に差があることを認めつつ、
それでもなお勝ちにこだわることを学んだ球児たち。
勝つことにこだわった3年間に、無駄なところなど一つもない。
トーベ・ヤンソンが見た夢
日本ではかわいらしいキャラクターで知られている
ムーミンの物語は、実はかなり大人向けだった。
物語は、
トーベ・ヤンソンの手によって、
戦争中にフィンランドで生まれた。
次の言葉は、ムーミンママが、ムーミンに投げかけるものだ。
さあ、あしたもまた長い、いい日でしょうよ。
しかも、はじめからおわりまでおまえのものなのよ。
とてもたのしいことじゃない!
ムーミン谷の物語に一貫しているテーマ。
それは、目の前のささやかな幸せは当たり前にあるとは限らない、
ということ。
隣のロシアやスウェーデンなどの強国に
脅かされ続けた小さな国で生まれ育った彼女は、
日常のささやかな幸せこそが夢だと知っていたのだ。
VIPlibrary
アルヴァ・アアルトが見た夢
19世紀末に生まれたフィンランドを代表する建築家、
アルヴァ・アアルト。
若い頃は、当時のグローバルな潮流であるモダニズム建築に
必死に食らいつこうとした。
しかし、結局、彼はこんな概念にたどりつく。
「建築とそのディテールは、ある意味、生物学に属する。」
「世界中で最もすぐれた規格化委員会は“自然界”である。」
そしてアアルトは、
木材と曲線を特徴とする、フィンランドの自然と風土に根差した
人間が暮らしやすい建築を数多く残した。
ごく普通の人たちのためにこの世のパラダイスを作り出したい
というのが、彼の夢となったのである。
mueredecine
アキ・カウリスマキがつくる夢
アキ・カウリスマキは、
社会では陽の当らないひとたちにスポットライトを当てる。
彼の映画を最初に見ると、誰もが面喰うだろう。
登場人物はみな無表情、
極限までそぎ落とされた台詞、
独特の間。
主人公はだいたい徹底的に不幸な目に遭う。
だけれど、そこかしこにただようユーモア。
弱者を弱者としてそのまま認めることが、救いになる。
作り手であるカウリスマキの、圧倒的にやさしいまなざし。
一貫して弱者を題材にする彼はこう言う。
「映画とは、一日一生懸命働いた人がその日の終わりにリラックスし、
楽しむために観るエンターテインメントだ」
彼の映画は、労働者の労働者による労働者のための、
つかの間の夢なのである。
アツい人 手塚治虫
日本の漫画界の父、そして伝説でもある手塚治虫。
その手塚が起こしたアニメ制作会社が「虫プロダクション」。
これは手塚の名前から、「虫」を取ったものとも
いわれているが、
手塚自身は「ここにいるのは皆仕事の虫」だから
そして「仕事場は蒸し風呂みたいに暑いしね」
とネーミングの秘話を語っている。
漫画を描くのが好きで好きでたまらない。
熱い気持ちで「100歳まで漫画を描きたい」と語る手塚も、
やがて床に伏せるようになる。
それでも彼は、まどろむ意識の中でペンをとろうとした。
「頼むから、仕事をさせてくれ」
これが、手塚の最後の言葉とされている。
好きなものに、すべてを捧げること。
手塚治虫の心は
いまもその漫画から語りかけてくる。
darkmatter
アツい人 城島茂
TOKIOのリーダー、城島茂。
その、のほほんとしたキャラクターから、
「やさしい人」というイメージが強い。
あるとき、
24時間テレビのマラソンランナーに選ばれた。
別の番組の打合せと説明されて入った会議室には、
日本テレビの社員の人たちがズラリと並んで
深々と頭を下げていた。
「お願いします」
その状況に戸惑いながらも、彼もこたえた。
「逆に、お願いします。
24時間走らせてください。自分ひとりで走るんじゃない。
いろんな思いを背負って走りたい。」
城島はアツイ。
それを知っているからこそ、
メンバーたちはこう思うのかもしれない。
「TOKIOのリーダーは、彼しかいない。」
アツい人・野茂英雄
もっと見たい!と、
活躍を望まれるなかで引退する。
スポーツ界には、そんな「引き際の美学」があるという。
けれど、野球選手、野茂英雄が貫いたのは、
それとは真逆のものだった。
「花があるうちに辞めるんじゃなくて、
落ちぶれてボロボロになっても、投げ続けようと決めました」
メジャーリーグからマイナーリーグに降格しても、
ベネズエラリーグでプレイすることになっても、
決して曲げなかった、野茂英雄の「引かない美学」。
引退会見で彼の口をついて出たのは、
「悔いが残る」という一言だった。
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