eelsmann
チームワーク4 ジャンパーとテストジャンパー
冬期オリンピックで、数多くのメダリストを生んできた
スキージャンプ。
その裏方に、テストジャンパーという存在がいる。
安全に競技を行える状況にあるかを確かめるため、
自らを実験台としてジャンプする危険な役目だ。
1998年の長野オリンピックは、まさにテストジャンパーの勇気が
メダルを引き寄せた大会だった。
競技当日、会場は吹雪。
ジャンプ台に雪が積もりスピードが出ない上、
視界不良で安全にジャンプが出来ない状態だった。
もし今競技中止ということになれば、日本のメダルはない。
そこでテストジャンパー達が行った驚くべき作戦。
それは、前も見えない吹雪の中連続でテストジャンプを行い、
日本選手のために滑走路の雪を踏み固めること。
そして、安全に着地し競技続行を訴えること。
決死の覚悟で次々と大ジャンプを繰り広げる日本のテストジャンパー達。
かくして競技は続行され、日本は金メダルを掴み取る。
金メダルを決めたジャンプの後、原田選手は涙声で言った。
「…俺じゃないんだよ…、みんなで掴んだんだよ…」
何もない空中へ1人で飛び出す、究極の個人競技に見えるスキージャンプ。
その翼には、多くの仲間の想いが乗っていた。