門田組・岡安徹

岡安徹 11年10月15日放送



正岡子規と夏目漱石

近代文学の礎を築いた文人、正岡子規と夏目漱石。
二人は日頃から、俳句や漢文などをつくっては見せ合う仲でもあった。

しかし年上の子規は、漱石の作品を見るたびに
辛口の批評をあびせたり添削したりする。

よしそれならと、今度は漱石、英語で詩を綴り子規に見せた。

「さすがの彼も英文にはお手上げだったらしい。
ただ、“VERY GOOD”と書いてもどしてきたよ」
と笑いながら後々まで人に語ったという。

英語の苦手な正岡子規に対するこの勝負は
技あり1本、漱石の勝ちだった。



マイケル・ジョーダンと1人のファン

この世には、まれに“神”と喩えられる人がいる。
バスケットボールの神様と呼ばれた「マイケル・ジョーダン」
もそのひとり。

スーパースターとして多くのファンに囲まれていた彼も、
あるファンのひと言には、「まいったね」と苦笑いする。

ある日、ジョーダンが家に帰ると
そのファンが待ちかまえていてこう言った。

「お父さん、今日ね、テレビでマイケル・ジョーダンを見たんだよ!」

そう言いながらおもちゃのバスケットボールを投げてよこす。
「ねえ、マイケル・ジョーダンごっこをしようよ」

目の前の人がテレビの中のジョーダンなんだと理解できるのは、
小さなファンがもう少しおおきくなってから。

神様も、家に帰れば、お父さん。ですね。



ドカベン作者水島新司と葉っぱのイワキ

野球漫画「ドカベン」の作者水島新司。
彼が描くキャラクターは、皆が個性をもち、
イキイキとしている。

その中でもひときわ元気で、「絶好球や!」が口癖の
葉っぱをくわえた無頼漢、岩鬼正美。

豪快なバッティングが取り柄の彼も、
ストーリー上、三振することだってある。
しかし事件は、その三振を描くシーンで起こった。

空振りする岩城を下書きし、ペンで原稿を仕上げていた時のこと。

「あ!打ってもうた!」
なんと、気づいたらホームランをかっ飛ばすシーンになってしまったという。

「あいつら、たまに、作者の言うこともきかん」

作者の手に負えないほど強烈な個性のキャラクターが活躍した「ドカベン」は
連載終了後も根強い人気を維持しつづけた。

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岡安徹 11年9月18日放送



ある食通の美学/北大路魯山人

料亭で、椀の汁を1口すすり、
「うま過ぎる」といって、顔をしかめている
男が居る。食通、北大路魯山人である。

誰が食しても「さすが」とうなる料亭自慢の逸品。
しかしあろうことか魯山人はお湯をドボドボ注ぎ
味を薄く変えてしまった。

一同、唖然。
一人魯山人だけ「これでよし」との顔。

しかしてその後、真意は明らかとなる。

目一杯うまさを突き詰めてしまうと、食事全体では
舌がもたれ、うまかったという気持ちが残らない。
だからこそ。

人生、食事のできる量は決まっている。
だからこそ一食一食にとことんこだわる。
美学を貫き通す偉人の振るまい。



ある批評家の美学/北大路魯山人

いいものを身辺におけ。
さもなくば人物はできあがらない。
そう言うのは美術家であり美食家でもある
北大路魯山人。

その批評は時の文化人にも及ぶ。

夏目漱石の書斎をみれば、
火鉢、机、硯、文房具の類をして低級と評し、

芥川龍之介の持ち物は、ただ一点
骨董の織部を所有すること褒めた。

樋口一葉の程度の良い机は女性らしいと
やや満足げだが、

大町桂月にいたっては下宿同然、論外と切り捨てた。

では当の本人、魯山人の身の周りに
あったのは何なのか。

例えば庭前に半分埋めて金魚鉢としている鉢がある。
よく見れば、明の時代の赤絵水禽文の大鉢。
その値段を評価すれば数千万円ともなるらしい。

人に意見するならば、まず自らが行う。
その姿勢の中にも魯山人の美学があった。



ある研究者の美学/ドクター中松

発明家、ドクター中松は
食に並々ならぬこだわりを持っていた。

しかしそのこだわりとは、
味ではなく栄養に関する考察。

34年にわたり自分の食事全てを記録し、
身体の具合をメモしていった。

そしてついに発見されたのが「3日後理論」。

食したものの影響が3日後身体に表れることを
身をもって発見したのだ。

人生全てが、実験と発見。
それこそ発明家の美学と言える。

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岡安徹 11年7月23日放送



闘うひと~アントニオ猪木

燃える闘魂、アントニオ猪木。

「元気ですか!」

世の中には、人を励まそうとする言葉が
あふれているけれども、猪木氏の言葉は
中身の濃さがちがう。

複雑な生い立ち、順風満帆とは言えない興業、
成功ばかりの人生ではなかった。
それでも、へこたれている姿などみたことはない。

「燃え尽きた時に、もう次に踏み出していたい」

元気があればなんでもできる。
そう笑う男は元気そのものに見える。



闘うひと~サッカー元日本代表監督/岡田武史

重圧という言葉の力を知る男、岡田武史監督。

二度目の日本代表監督、
世論の圧力にもかかわらず
その采配により快進撃を見せた。

岡田氏は言う
「重圧やプレッシャーは重力みたいなもので、
重力がないと筋肉も骨もダメになっちゃう」

いいプレーは強いカラダから。
優れた指揮は強いココロから。
プレッシャーに鍛えられた岡田さんのコトバだから、
かっこよかったんですね。



闘うひと~登山家/三浦雄一郎

登山家三浦雄一郎
75歳にして、2度目のエベレスト登頂という
偉業を成し遂げた。

もちろん、その挑戦は順調なものではなかった。
60歳を超えてからのトレーニング。無理をすれば身体が
悲鳴をあげ、ドクターストップがかかったこともある。

そんなとき三浦が心がけていたのは、
ゆっくりでも、止まらず進むということ。

「無理せず、一歩ずつ歩いていたら、
8,848メートルに立っていました」

どんな困難も、止まらず進めば
乗り越えられるんですね。

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岡安徹 11年01月29日放送


千葉すず

天才と呼ばれたスイマー。千葉すず。
中学記録、高校記録を塗り替えた。
大きな期待を背負いオリンピックに出場するも、
メダルに手は届かなかった。

バッシングにさらされ、1度は引退。
しかし、3年後に現役復帰し、日本選手権で優勝した。

「がんばる」という言葉は、
私はあまり好きではありませんでしたが、
結局、振り返ってみれば、
がんばりっぱなしでした。

もがいた分だけ、進んできた。
天才と努力家は、結局ほとんど区別がつかないのだ。


弁護士 大平光代

弁護士 大平光代の一生は、波瀾万丈。
少女時代はいじめをうけ、割腹を図る。
一命は取り留めるも非行にはしり、
16歳で極道の妻となる。

そんな人生を一転させたのは、
後の養父となる男性のコトバだった。

あんたが道を踏み外したのは、
あんただけのせいやないと思う。
親も周囲も悪かったろう。
でもな、いつまでも立ち直ろうとしないのは、
あんたのせいやで。甘えるな!

この出会いを転機に、猛勉強の末
難関の司法試験に1回で合格した。

人生に迷ったら、本気で叱ってくれる人に会いに行こう。


北林谷栄

「メイちゃ~ん」。
映画『となりのトトロ』で迷子になったメイを捜す声。
これぞ日本のおばあちゃん、というその声を担当したのが、
北林谷栄。

30代という若さで
老婆役を数多くこなした名女優。
その役づくりは徹底していた。

生活感がしみこんだ服が必要と思えば、
案山子の服を買いとる。
老婆の表情に真実味が必要と思えば、
健康な歯を抜き、入れ歯にして顔と声を変えた。

女優という人生を、演じきった。
その心意気は若々しく、老いなかったのだろう。

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岡安徹 11年01月29日放送


並木路子とリンゴの唄

戦後の大ヒット曲『リンゴの唄』。
世の中をパァっと明るくした、と言われる
この曲も、レコーディングは決して
明るく楽しいものではなかったらしい。

歌い手並木路子は、終戦時
身内を失い、悲しみの底にいたからだ。
そこでスタッフがかけたコトバがある。

「君ひとりが不幸じゃないんだよ。」

並木は、ひととき悲しみを忘れて、歌った。
その唄はやがて日本中の悲しみをどこかへやってしまった。
暗い時こそ、小さな明かりが目立つのだ。

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岡安徹くん、門田組に参戦

岡安徹くん、1月29日から参戦します。

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