小林慎一

原央海 18年7月15日放送

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flydime
世界のお祭り トマティーナ

スペインのトマト祭り「トマティーナ」。
毎年8月にバレンシア州の小さな町で開催されている。

トマトをおいしく食べ合う祭り、ではない。
トマトをたのしく投げ合うお祭りだ。
参加者は、世界中から数万人。
使われるトマトは、なんと100トン以上。
50万を超えるトマトが宙を舞い、街中が真っ赤に染まる。

投げてくるスピードはキャッチボール、
というより、渾身のストレート。
目を守るため、水中ゴーグルは必須。
忘れたならば、「トマト汁が目に入った」という
人生初の一言を発することになる。

トマトの投げ合いは、1時間。
終了の合図が鳴ると、見知らぬ人とも
タオルを貸し合ったり、水で流し合ったり。
気付けば、「赤の他人」は、「トマトの戦友」に変わっている。

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原央海 18年7月15日放送

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nateClicks
世界のお祭り リオのカーニバル

ブラジル「リオのカーニバル」。
世界で最も熱狂的なお祭りの1つ。
きらびやかな衣装を纏ったダンサーが、
ハイテンションで踊り狂う。

このカーニバル、実はただのサンバ祭りではない。
キリスト教の禁欲期間に入る直前に
大騒ぎしながら「食べ収め」をする、という意味を持っている。

1番の目玉は、サンボドロモでのパレード。
全長約700メートルの会場で、
ブラジル中のサンバチームの頂点を決定する。
その優勝賞金、なんと約5億円だとか。
身体だけでなく、心まで踊ってしまうお祭りだ。

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原央海 18年7月15日放送

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JJ Harrison
世界のお祭り ソンクラーンフェスティバル

タイのビッグイベント「ソンクラーンフェスティバル」。
いわゆる「水掛け祭り」だ。
バケツや水鉄砲を用意して、街行く人と水を掛け合う。
期間は、毎年4月13日からの3日間と決められている。

ふざけたイベントに聴こえるが、元をたどれば、
タイ暦のお正月に仏像や年長者の手に水をかけ清める、
という慣わしから始まったそう。

ソンクラーン期間中の挨拶は、「サワディー・ピーマイ!」。
日本語でいう「あけましておめでとう!」である。
水掛けは決してストレス発散ではない。
皆で楽しむ、お祝いなのだ。

誰に対しても無礼講な水掛けも、
お坊さんと警察官にはNGなのでご注意を。
そのミスだけは、水に流すことは難しい。

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原央海 18年7月15日放送

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xanday
世界のお祭り ハルビン氷祭り

お祭りといえば夏、だけではない。
中国の「ハルビン氷祭り」。
「世界三大氷祭り」の1つである。

50万㎡を超える会場に立ち並ぶ氷の彫刻たち。
高さは40メートルにも及び、色鮮やかなライトアップ。
100年以上前から始まり、歴史も長い。

建築だけではない。
氷点下30度での寒中水泳大会や、
100メートルを超える氷のすべり台。
もう、想像の範疇を超えている。

実は日本にも「世界三大氷祭り」がある。
北海道「さっぽろ雪まつり」。
海外までは行けなくとも、
ぜひ寒くてアツイお祭りを国内で楽しんでみては?

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原央海 18年7月15日放送

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世界のお祭り メドックマラソン

フランスの「メドックマラソン」。
42.195kmを走るフルマラソンではあるが、
どこか様子がヘンである。

参加者の大半は、仮装された衣装。
コースは、ぶどう畑とワイナリーの中。
きわめつきには、給水所に置かれるワインの数々。
そう、この場所、フランスのメドックとは、
世界的に有名なワインの名産地なのだ。

ラスト5kmでは、ワインとよく合う、
チーズや生ハム、ステーキの用意まで。
完走すると渡される1本の飲み物も、もちろんワイン…。
疲れはたまるが、お酒好きにはたまらないイベントかもしれない。

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原央海 18年7月15日放送

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郡上市観光課
世界のお祭り 郡上おどり

今日の最後に、日本の祭りも。
岐阜県郡上八幡の「郡上おどり」。
7月中旬から9月下旬まで33夜にわたって続く
日本一長い盆踊りだ。

中でも有名なのは、
8月13日からの4日間で行われる徹夜踊り。
夜から朝まで、とにかく踊りつづける。

始まりは、江戸時代。
士農工商の壁を越え混じり合うために、
城の主が「盆の4日間は身分の隔てなく無礼講で踊るがよい」
と決めたことから、始まったそう。

特別な衣装も、高価な履物もいらない。
必要なのは、楽しむ心だけ。
ぜひ今年のお盆は、徹夜で踊り明かしませんか?

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得津有明 18年6月16日放送

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bjimmy934
地下鉄の切符売り

AIやロボットの登場で、将来多くの仕事がなくなると言われている。
時代に人は逆らえないのかもしれない。
だが、古きは無用の遺物になるのだろうか。

1958年にフランスを席巻した名曲がある。
Le Poinçonneur des Lilas (地下鉄の切符切り)。
セルジュ・ゲンスブールのデビュー作だった。

来る日も来る日も切符に小さな穴を開けている切符売り。
そんな姿を今、パリで目にすることはない。
しかし、その時代、確かに彼らはそこに生きていた。
その息づかいを、哀愁を、ゲンスブールは見事に切り取り、歌として遺した。

セルジュ・ゲンスブール。
この名は拡張されるパリ地下鉄11号線の新しい駅名となる。

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得津有明 18年6月16日放送

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blueskyfantasie
砂漠の井戸


オフィス街に立ち並ぶ近代的なビルの数々。
その夜景が美しいのは、光と闇のコントラストによるものだけではない。

フランス生まれの小説家であり、パイロットでもあった、サン・テグジュペリ。
代表作『星の王子さま』は、
不時着したサハラ砂漠を彷徨った体験をもとに書かれている。

作中で、月夜の砂漠を歩く王子が、ゆっくりと呟く。

 砂漠が美しいのは、どこかに井戸を隠しているからだよ。

都市の夜景が美しいのも、
光の中にひとりひとりのドラマが隠れているからではないだろうか。
働くわたしたちの喜怒哀楽が、この街をより美しくしている。

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森田隼司 18年6月16日放送

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親鸞のことば

鎌倉時代の僧で、浄土真宗の祖と言われる親鸞。
彼は仏門に入る際に、こんな詠を残している。

 明日ありと 思う心の 徒桜(あだざくら) 
 夜半(よわ)に嵐の吹かぬものかは

「咲いている桜だって、夜中に嵐が来て散ってしまうかもしれない。
だからこそ、今を精一杯大事に生きたいんだ。」

驚くべきは、この詠をよんだときの親鸞は7歳、
今で言えば小学1年生だったと伝えられていることだ。
人生100年時代。
いくつになっても、今を精一杯生きるという思いを
私たちも大事にしていきたい。
7歳児に負けるわけにはいかないじゃないか。

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森田隼司 18年6月16日放送

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チャーミング

アイルランド出身の作家、オスカーワイルド。
彼の作品の中に、こんなセリフがある。

 人間のことを善人か悪人かで区別するのは馬鹿げている。
 人間は、チャーミングか、退屈かだけだ。

ワイルドの作品と思想は世界中に影響を与えたと言われているが、
彼の常識にとらわれない見方が、
この言葉からも伝わってくるだろう。

職場では部下を気遣い上司の顔を伺い、息苦しい日々を過ごす私たち。
ひょっとすると、善人であろうとするがあまり、
私たちは退屈な人間になってはいないだろうか。
明日からの新しい1週間。
ちょっと気持ちを切り替えて、
チャーミングな人間を目指してみるのもいいかもしれない。

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