相田みつを デザイナー
「にんげんだもの」などの作品で知られる書家・詩人、相田みつを。
半紙に書きつけた独特の書体の詩が有名だが、
実は、グラフィックデザインも数多く手がけていたことは
あまり知られていない。
家族を養うために仕事を得る必要があったみつをは、
地元・足利市の和菓子店の包装紙などをデザインしていた。
「ロウケツ染め」という染物の技法を使った、
みつをらしく繊細で風変わりなデザインである。
当時としては、だいぶ斬新だったのではないだろうか。
みつをの仕事は評判を呼び、やがてデザインだけでなく
ネーミングやお菓子づくりそのものにまで関わったこともあったそうだ。
「デザイン」などという言葉がまだなかった地方都市で、
今でいうデザイナーと、コピーライターと、クリエイティブディレクターを
兼ねたような仕事をしていたことになる。
そんななか、どの仕事でも忘れずに必ずやっていたことがあった。
それは、「しおり」づくりである。
毎回、商品への思いを書でしたためた「しおり」をつくり、
商品に添えていた。
それの一部は、いまでも使われている。
どんなときでも、みつをの仕事には言葉が中心にあったのだ。