中村組・三國菜恵

三國菜恵 16年3月19日放送

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nixang
もう会えないひと。 いくえみ綾(りょう)

かなしい別れをどう乗り越えるか。それは永遠の命題だ。

少女漫画家・いくえみ綾。
人間の魂のゆくえについて描いた作品がある。
タイトルは『潔く柔く(きよくやわく)』。

中学生のある日、ハルタという男の子が突然交通事故で逝ってしまう。
残された幼なじみの女の子、カンナは迷う。
彼を忘れて生きていいものか。
彼を忘れて恋していいものか。

作者はその問いかけを包むように、
最後、こんなモノローグを入れている。

 魂は
 きっといろんなことを
 忘れないでいてくれてるんだと思います

たとえ人間の頭が忘れるようにできていても、
魂がおぼえてくれている。
だから前へ、進んでいい。

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三國菜恵 16年3月19日放送

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kiki
もう会えないひと。 いとうせいこう

文筆家、いとうせいこう。
彼はもともと、友人と頻繁に会ったりしない。

だから、その人に「もう会えない」と知った時も、
ちょっと連絡が取れなくなった、
ぐらいにしか思えなかった。

その人、というのは
テレビ評論家のナンシー関。
タレントの顔を風刺した「消しゴムはんこ」で有名だ。

いとうにとって、文筆家としての彼女の存在は偉大すぎた。
世界が彼女を失ったという事実を飲み込めず、
いとうはただ、ペンを走らせつづった。

 彼女の身に起こったのは「死」だ。
 だが、彼女はあきらかに僕の中に存在しており、
 それをひとつの名詞で片づけるわけにはいかないのだ。

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三國菜恵 16年2月13日放送

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明日、2月14日。 タニタの人

バレンタインの定番、チョコレート。
甘いお菓子というイメージだけれど、
元々はカカオ豆をすりつぶした
「薬」として扱われていた。

16世紀ヨーロッパの記録書にも、
滋養強壮、疲労回復、長寿などの効用が
書き記されていたらしい。

健康を研究する会社、
タニタの開発員もこんなことを言っています。

 チョコレートに含まれる
 テオブロミンなどにリラックス効果が。
 疲れた時の気分転換にも効果的です。

明日チョコを渡すか迷っている人へ。
「好きです」が恥ずかしいなら
「おつかれさまです」の気持ちで渡してみるのも
いいかもしれません。

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三國菜恵 16年1月23日放送

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Yuya Tamai
土のはなし 古田織部

岐阜県で有名な焼き物「織部焼」の始祖、古田織部。
彼の師匠はかの有名な千利休。
卓越した美意識で多くの戦国武将を魅了した利休は、
弟子にも凛とした言葉を浴びせた。

 人と違うことをせよ

その言葉のとおり、古田織部は師匠と同じ道を歩むことなく、
まったくちがう茶器を茶の湯に取り込んだ。
どこか武骨で、ゆがんだ、土そのものをごろりと取り出したかのような茶器。
独特の感性は、「織部好み」と称され、人々に驚きを与えた。

徳川家康は織部の茶器を見て、
畏怖の表情を浮かべながらこう言ったという。
「この茶碗を見ていると天下統一はまだ早いと言われている気がする」

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三國菜恵 16年1月23日放送

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kanazou
土のはなし 片桐仁

独特の世界観で人気を博す、
コントユニット『ラーメンズ』の片桐仁。
美術大学出身の彼は、粘土作家としての顔も持っている。
デッサン用のねり消しで、コネコネとかたちをつくっていたら、
うまいね、とほめられたのがきっかけだった。

最近では子どもといっしょに、
粘土あそびのワークショップにも取り組んでいる。
片桐は粘土の良いところをこう語る。

 絵だと、うまく描かなきゃいけないって頭が働くけど、
 粘土だとこねてるうちにテンションが上がってくるみたいで、
 子どもたちもノッてくる。
 どろんこ遊びの延長、みたいな感覚で出来ちゃうんです。

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三國菜恵 15年8月15日放送

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戦争と平和 坂口安吾

太平洋戦争が本格的にはじまった日、
ラジオから流れてくる放送に
日本中が緊張していた。

そんな中、坂口安吾はふらりと散歩へ。
「お魚を買ってきてくださらない」と
友人夫婦に頼まれていたから。

安吾は魚屋で焼酎までご馳走になった。
夕陽を浴びながら、すっかりいい気分。
けど、本心は決して穏やかではなかった。

 日本は負ける、否、亡びる。
 そして、祖国と共に余も亡びる、と諦めていた。

ギスギスした空気の中、命をかけて楽天的であり続けた。
そうした人たちによって、戦後、文学はまた生まれることができた。

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三國菜恵 15年3月28日放送

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Kikasz
気になるあの人 武田双雲

井上陽水ほど記憶から消すことが難しいアーティストはいない。
大河ドラマ『天地人』の題字などを手掛けた書道家・武田双雲は語る。

学生時代に陽水の『夢の中へ』を聴いて、
本当に夢の中へひきこまれるような声に衝撃を受けた。

双雲は、陽水に向けて書を贈ったことがある。
それは、あでやかの「艶」という字。
何千とある漢字の中で、もう、これしか思い浮かばなかったそうだ。

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三國菜恵 15年3月28日放送

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microwalrus
気になるあの人 岡崎京子

 いつも一人の女の子のことを書こうと思っている。

漫画家・岡崎京子の信条。

彼女はストーリーラインを考えるのではなく、
一人の女の子を想像することから描きはじめる。
その子の好きな花は何か。トラウマは何か。
許せるものと許せないものは何か。

想像の先に生まれた一人の女の子。
紙の上で動き出して、漫画になる。

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三國菜恵 15年3月28日放送

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気になるあの人/池谷裕二(いけがやゆうじ)

ある日、学術学会で発表の舞台に立ったとき。
会場の女性が全員美人に見えた。

脳科学者・池谷裕二の奇妙な経験。
人前での発表は緊張するから、
脳がそのドキドキを恋と勘違いしたらしい。
いわゆる、「吊り橋効果」というやつだ。

彼は思った。

 脳ってホント、カワイイ。憎めないヤツ。

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三國菜恵 15年1月18日放送

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ネコ温泉
はじまりの言葉 宮崎駿

学校が始まった。会社が始まった。
ああ、面倒くさい。
そう思っているあなたへ。巨匠・宮崎駿のこんな言葉を。

 大事なことは、たいてい面倒くさい

お金を稼ぐことも、知恵を学ぶことも、人間には必要。
また来週も、がんばりましょうか。

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