はじまりの言葉 中原中也
詩人・中原中也。
19歳のときに経験した、ある喪失。
長年連れ添った彼女が、
自分の親友と関係を持っていたことがわかった。
中原は後ろ姿を見送り、ひとりで部屋へと戻ってくる。
みなさん今夜は静かです
薬鑵の音がしています
この日彼は恋人を失い、
はじめての孤独を手に入れた。
それは詩人にとって絶対的に必要なものだった。
はじまりの言葉 中原中也
詩人・中原中也。
19歳のときに経験した、ある喪失。
長年連れ添った彼女が、
自分の親友と関係を持っていたことがわかった。
中原は後ろ姿を見送り、ひとりで部屋へと戻ってくる。
みなさん今夜は静かです
薬鑵の音がしています
この日彼は恋人を失い、
はじめての孤独を手に入れた。
それは詩人にとって絶対的に必要なものだった。
kenmat
さようなら2014 今年の漢字
年末に発表される『今年の漢字』。
2014年の漢字は、税金の「税」だった。
実はこの文字、全国の一般公募から決められている。
ちなみに今年の第2位には
「熱」という字がノミネート。
デング熱、エボラ出血熱の流行。
ソチ五輪や錦織選手の熱戦。
夏の甲子園の延長50回の熱戦。
言われてみると、確かに熱い一年。
今年も残り数日。こころとからだをあたたかに。
Lisandro M. Enrique
さようなら2014 高倉健
映画「あなたへ」の中で共演した
大滝秀治と高倉健。
高倉は晩年、大滝からもらったある言葉を胸に
カメラの前に立っていた。
それは、二人が文通をしていた便せんに
したためられていた言葉。
僕にとって一つの仕事は、いつも一つの事件です
Rs1421
さようなら2014 岩崎俊一
今年の終わりのありがとう、
お歳暮で伝える人もきっと多いことだろう。
西武百貨店などの広告コピーで知られる
コピーライター・岩崎俊一。
こんな言葉をのこしている。
うまいことを言う人より、
うまいものをくれる人を、
信じなさい。
「おいしいね」を分けてくれる人をたいせつに、
来年も、よいお年を。
Yung Tsai
早川義夫と写真
ロックバンド・ジャックスのボーカルとして知られる、早川義夫。
彼は写真を撮るのが好きで、
中でも愛犬のチャコを撮るのが好きだ。
なぜなら、犬は人間とちがって
よく撮られようなんて思っていないから。
だから彼も素直にカメラを向けることができる。
そんな早川の、写真論。
いい写真は、素直な気持ちと愛情だ。
ぶれていても。粒子が荒れていても。
Marxchivist
大友良英と映画音楽
連続テレビ小説『あまちゃん』の作曲者として知られる、大友良英。
彼の作曲人生におおきな影響を与えた人がいる。
映画『ゴジラ』のテーマを手掛けた作曲家、伊福部昭だ。
今の映画音楽と比べて、はるかにくすんだ録音。
オーケストラの重低音。歪んだ音。
子どもごころにも、それはとてもおっかなかった。
大友は語る。
伊福部さんは僕ら子どもに
怪獣という概念を音楽で植えつけた。
言葉を教えてくれた親みたいなもんです。
雨宮処凛と映画
作家・雨宮処凛(あまみやかりん)。
彼女が大好きな一本の映画がある。
魚喃(なななん)キリコ原作、『ストロベーリーショートケイクス』。
4人の女性の恋愛模様を描いたオムニバス映画だ。
雨宮はこの作品を、
誰かを好きになるたび観返す。
そのたびにいつも同じ想いが胸をよぎる。
恋する者は、みんな惨めだ。
みんなが惨めで、だからこそ、愛おしくてたまらない。
あの人の夏 少年アヤ
からだは男の子だけれど、心はどこか女の子。
かわいいものが昔から大好き。
そんな作家・少年アヤの夏は、
ハウスダストに苦しめられた夏だった。
好きが高じて集めたファンシーグッズの数々。
日焼けで傷まないように
大切にしまいこんでいたら、
埃の温床になってしまったのだ。
その光景を見たアヤ。
随分と申し訳ない気持ちになった。
物って、視線を行き届かせていないとたちまち傷む。
「愛してるよ、大切にするよ、宝物だよ」という姿勢が肝心な気がします。
さんざんな夏だったけれど、
モノとの関係を見直せた夏だった。
johnnyjiang
あの人の夏 桑田真澄
野球界のレジェンド、桑田真澄。
彼は小学5年の夏、
ラジオから聞こえてきたあるフレーズに心を奪われる。
「逆転のPL」
PL学園の初優勝。そのフレーズがあまりに魅力的だった。
桑田はその日、しずかに自分の進路を決めた。
よっちん
あの人の夏 大林宣彦
日本はこの夏、終戦69年をむかえた。
戦争を知らない子どもたちは69歳になった。
映画監督・大林宣彦は今年76歳。
7歳のとき、終戦を経験した。
そのときの空気を彼はこう振り返る。
生者と死者の区別があまりなくて、
亡くなった人がすぐそばにいる感覚で育った。
学校の行き帰りではお墓が遊び場だったし、
ひいじいちゃん、ひいばあちゃんの遺影が置かれた座敷に入ると
2人が話しかけてくる気がした。
戦地に赴いたおじちゃんがお骨になって帰ってきたときには、
セミがうるさく鳴く中、にいさんが僕の頭をやさしくたたいた。
子ども心にその空気は、絶対に忘れてはならないと思った。
だから大林はいまも映画を撮るという。
正義を語るためではなく、
人間が正気でいられるようにと祈って。
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