中村組・三國菜恵

三國菜恵 13年5月18日放送



薔薇の季節 ベルギー・ヘックス城

ベルギー東南部にあるヘックス城。
そのお城の庭には、
「ヤクシマイバラ」という屋久島の固有種のバラが咲く。

大のバラ好きの主が取り寄せたらしいのだが、
誰によって運ばれたのかは謎のまま。

海の向こうで咲く屋久島のバラは、
この5・6月が見頃。
歴史の教科書には載らない国家交流の証が、今年も咲く。

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三國菜恵 13年5月18日放送



薔薇の季節 アントニウス

恋多き女性といわれたクレオパトラと
その恋人、アントニウス。
2人の恋物語にはバラの花が関係していた。

彼がクレオパトラの屋敷に行くと、
彼女はひざ上まで埋まるほどの
バラの花びらを敷きつめてお出迎え。

その幻想的かつ情熱的な演出に、
アントニウスはメロメロになる。
その効果はおそるべきもので、
彼のクレオパトラに対する想いは
最後の最期まで消えることがなかった。

アクティスの海戦で追い詰められ、自害するとき、
彼はこんな言葉を残して散る。

 私の墓をバラで覆ってください

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三國菜恵 13年5月18日放送


Strep72
薔薇の季節 平井かずみ

いまが見頃のバラの花。
花瓶に挿してたのしむのもよし、
湯船に浮かべてたのしむのも、素敵。

けれどももっとさりげなく、そして美しく、
バラをたのしむ方法があると
フラワースタイリスト・平井かずみは語る。

彼女のおすすめは、水を張った平たいお皿に、
花の部分だけを数本分、浮かべるというもの。
その美しさをこう語っている。

 外側からはがれ落ちてくる花びらを
 水面が支えてくれるのです。
 一枚、また一枚と水辺に漂う花びらがなくなるまで、
 感謝しながら見届けます。

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三國菜恵 13年5月18日放送



薔薇の季節 ローマ人の食卓

5月はバラの美しい季節。
バラ好きのローマ人たちは
親密な人との食卓には必ずバラを飾ったという。
この習慣から“under the roses”「バラの下で」といえば
「このことは秘密に、内緒で」という意味を指すようになったとか。

そんな親密な食卓にぴったりの、バラのメニューをご紹介。

ひとつめは、バラのサンドイッチ。
バラの花びらを細かく刻み、クリームチーズに混ぜ、
白いふわふわの食パンに塗って、はさむ。
すると、さわやかな後味が魅力的なサンドイッチができあがる。

そして、飲み物にはお手製のローズワインを。
白ワインの瓶に真っ赤なバラの花びらを1週間漬けこむ。
すると、色の美しさも、香りの華やかさも抜群のワインができあがる。

いつもの食卓に出すのには
ちょっと気取りすぎのメニューかもしれない。
けれど、季節のにおいを閉じこめて大切な人とたのしむのは
いまも昔も変わらず、素敵な時間になることにちがいはないでしょう。

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三國菜恵 13年4月14日放送



ピンチ! 清水宏保

スピードスケートの金メダリスト・清水宏保。
彼はプレッシャーと上手に付き合う
プロフェッショナルでもある。

98年、長野五輪のとき
清水は大会1週間前から
胸を締め付けられるような感覚に襲われた。

しかし、このプレッシャーから
ラクになれる方法を見つけたという。

プレッシャーに苦しんでいる自分を
客観視できるようになったんです。
もう一人の自分を宙に浮かべて、
苦しんでいる自分を主人公にした物語を読んでやる。
すると、ふっと冷静になれます。

いまがどんなに辛くても、
それは物語の一部の、辛いワンシーンにすぎない。
そう考えると、たしかにすこし、ラクになる。

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三國菜恵 13年4月14日放送



ピンチ! 寺尾(てらお)

身体は小柄。
けれど、気っぷのよい相撲をとることで
人気を博した力士・寺尾。

彼の強さの秘訣は、
日々の稽古はもちろん、妻からのサポートが大きかったという。

1997年3月場所。
寺尾は足の親指を骨折。
休場をやむなくされた。

1359日つづいた連続出場記録がストップ。
しかも、歳はすでに34歳になっていた。
このタイミングでのケガは
「引退」と思われても仕方がなかった。

この焦りをひとりで抱えきれなくなった寺尾は、妻に電話。
すると、こんなひと言が返ってきた。

 「あっ、そう。また頑張ればいいじゃない」

この言葉を期に、
寺尾は頭を切り替えてリハビリに専念。
そして、4年後の38歳、再び土俵に帰ってきた。

ピンチは、ひとりで乗り越えなくてもいい。
誰かと分け合えば、フッと消えることもあるのだ。

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三國菜恵 13年4月14日放送



ピンチ! 谷村新司

思い通りにいかないことがつづくと、
つい、イライラ。

そんなときには、
副交感神経の働きを高めるとよいとされている。
そのときに有効なのが、深呼吸。

歌手・谷村新司は
歌手ならではの視点から
いい呼吸の仕方をこう説いている。

「呼吸」の「呼」とは息を吐き出すこと。
「吸」は字のごとく吸うこと。
つまり「呼吸」とは、まずは息を吐きだすことから始めるものなんです。

無理に呼吸を整えようとせず、
肺にある息をフーッと吐き出すだけ。
そうすれば、こころもからだも、自然と落ち着きを取り戻す。

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三國菜恵 13年4月14日放送



ピンチ! トーマス・カーライル

あんなことしなければよかった、と
人は過去の失敗を責めてしまいがち。

そんな人間たちに、
イギリスの歴史家トーマス・カーライルは
こんな言葉をのこしている。

 失敗の最たるものは、失敗したことを自覚しないことである。

自覚があれば、それは失敗ではない。
「糧」と呼ばれるものに変わっているのだ。

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三國菜恵 13年2月23日放送



登場人物たち ユミ(岡崎京子『pink』)

家に帰って、
家族に「ただいま」を言う人もいれば、
犬に「ただいま」を言う人もいて、
ワニに「ただいま」を言う人もいる。

岡崎京子の漫画『pink』に登場する主人公、ユミは、
ワニと暮らしている。

ワニは食いしんぼうだからかなりエサ代がかさむ。
だから彼女は昼はOLをしつつ、
夜の仕事もやめられない。

けれどそんなこと気にならないわというふうに、
ばくばくと肉をたいらげるワニに向かって
笑顔でこうつぶやくのだ。

いいって、いいって、気にしなくて
オマエは私のスリルとサスペンスなんだから

日々の暮らしにほんのすこしの秘密をもつことで、
人はおだやかに、たくましく、
生きていけるのかもしれない。

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三國菜恵 13年2月23日放送


Clint Koehler
登場人物たち チャコ(渡辺ペコ『9時から5時までのチャコ』)

漫画家、渡辺ペコの作品『9時から5時までのチャコ』。
そこに登場する主人公の女の子、チャコは、
午後10時、新宿の居酒屋である男性と出会った。

若そうな見た目のサラリーマン。
話をきけば、つい3日前に、奥さんが出て行ってしまったのだという。

チャコもつい1時間前に、好きだった彼にフラれたばかり。
それは、ゆきずりの恋にでも発展しそうなシチュエーションだった。

けれども2人は、ホテルなんかには向かわず、なぜか卓球場へ。
カコッ、カコッ、と無心に球を打っては、ラリーをくり返す。
汗だくになりながら沈黙をシェアし合うのだった。

朝、ふたりは定食屋で
ふわふわな卵焼き定食を長い長い一日のしめくくりに食べ、
電車が動きはじめた駅へ向かう。
ふたりの別れ際のお礼はこんな言葉。
ひとりだったらきっと
ごはん食べる気になんてならなかったと思う

どんな関係であれ、
いっしょにおいしいごはんを食べてくれる人の存在が
人生をすこし、あたためる。

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