薔薇の季節 ベルギー・ヘックス城
ベルギー東南部にあるヘックス城。
そのお城の庭には、
「ヤクシマイバラ」という屋久島の固有種のバラが咲く。
大のバラ好きの主が取り寄せたらしいのだが、
誰によって運ばれたのかは謎のまま。
海の向こうで咲く屋久島のバラは、
この5・6月が見頃。
歴史の教科書には載らない国家交流の証が、今年も咲く。
薔薇の季節 ベルギー・ヘックス城
ベルギー東南部にあるヘックス城。
そのお城の庭には、
「ヤクシマイバラ」という屋久島の固有種のバラが咲く。
大のバラ好きの主が取り寄せたらしいのだが、
誰によって運ばれたのかは謎のまま。
海の向こうで咲く屋久島のバラは、
この5・6月が見頃。
歴史の教科書には載らない国家交流の証が、今年も咲く。
薔薇の季節 アントニウス
恋多き女性といわれたクレオパトラと
その恋人、アントニウス。
2人の恋物語にはバラの花が関係していた。
彼がクレオパトラの屋敷に行くと、
彼女はひざ上まで埋まるほどの
バラの花びらを敷きつめてお出迎え。
その幻想的かつ情熱的な演出に、
アントニウスはメロメロになる。
その効果はおそるべきもので、
彼のクレオパトラに対する想いは
最後の最期まで消えることがなかった。
アクティスの海戦で追い詰められ、自害するとき、
彼はこんな言葉を残して散る。
私の墓をバラで覆ってください
Strep72
薔薇の季節 平井かずみ
いまが見頃のバラの花。
花瓶に挿してたのしむのもよし、
湯船に浮かべてたのしむのも、素敵。
けれどももっとさりげなく、そして美しく、
バラをたのしむ方法があると
フラワースタイリスト・平井かずみは語る。
彼女のおすすめは、水を張った平たいお皿に、
花の部分だけを数本分、浮かべるというもの。
その美しさをこう語っている。
外側からはがれ落ちてくる花びらを
水面が支えてくれるのです。
一枚、また一枚と水辺に漂う花びらがなくなるまで、
感謝しながら見届けます。
薔薇の季節 ローマ人の食卓
5月はバラの美しい季節。
バラ好きのローマ人たちは
親密な人との食卓には必ずバラを飾ったという。
この習慣から“under the roses”「バラの下で」といえば
「このことは秘密に、内緒で」という意味を指すようになったとか。
そんな親密な食卓にぴったりの、バラのメニューをご紹介。
ひとつめは、バラのサンドイッチ。
バラの花びらを細かく刻み、クリームチーズに混ぜ、
白いふわふわの食パンに塗って、はさむ。
すると、さわやかな後味が魅力的なサンドイッチができあがる。
そして、飲み物にはお手製のローズワインを。
白ワインの瓶に真っ赤なバラの花びらを1週間漬けこむ。
すると、色の美しさも、香りの華やかさも抜群のワインができあがる。
いつもの食卓に出すのには
ちょっと気取りすぎのメニューかもしれない。
けれど、季節のにおいを閉じこめて大切な人とたのしむのは
いまも昔も変わらず、素敵な時間になることにちがいはないでしょう。
ピンチ! 清水宏保
スピードスケートの金メダリスト・清水宏保。
彼はプレッシャーと上手に付き合う
プロフェッショナルでもある。
98年、長野五輪のとき
清水は大会1週間前から
胸を締め付けられるような感覚に襲われた。
しかし、このプレッシャーから
ラクになれる方法を見つけたという。
プレッシャーに苦しんでいる自分を
客観視できるようになったんです。
もう一人の自分を宙に浮かべて、
苦しんでいる自分を主人公にした物語を読んでやる。
すると、ふっと冷静になれます。
いまがどんなに辛くても、
それは物語の一部の、辛いワンシーンにすぎない。
そう考えると、たしかにすこし、ラクになる。
ピンチ! 寺尾(てらお)
身体は小柄。
けれど、気っぷのよい相撲をとることで
人気を博した力士・寺尾。
彼の強さの秘訣は、
日々の稽古はもちろん、妻からのサポートが大きかったという。
1997年3月場所。
寺尾は足の親指を骨折。
休場をやむなくされた。
1359日つづいた連続出場記録がストップ。
しかも、歳はすでに34歳になっていた。
このタイミングでのケガは
「引退」と思われても仕方がなかった。
この焦りをひとりで抱えきれなくなった寺尾は、妻に電話。
すると、こんなひと言が返ってきた。
「あっ、そう。また頑張ればいいじゃない」
この言葉を期に、
寺尾は頭を切り替えてリハビリに専念。
そして、4年後の38歳、再び土俵に帰ってきた。
ピンチは、ひとりで乗り越えなくてもいい。
誰かと分け合えば、フッと消えることもあるのだ。
ピンチ! 谷村新司
思い通りにいかないことがつづくと、
つい、イライラ。
そんなときには、
副交感神経の働きを高めるとよいとされている。
そのときに有効なのが、深呼吸。
歌手・谷村新司は
歌手ならではの視点から
いい呼吸の仕方をこう説いている。
「呼吸」の「呼」とは息を吐き出すこと。
「吸」は字のごとく吸うこと。
つまり「呼吸」とは、まずは息を吐きだすことから始めるものなんです。
無理に呼吸を整えようとせず、
肺にある息をフーッと吐き出すだけ。
そうすれば、こころもからだも、自然と落ち着きを取り戻す。
ピンチ! トーマス・カーライル
あんなことしなければよかった、と
人は過去の失敗を責めてしまいがち。
そんな人間たちに、
イギリスの歴史家トーマス・カーライルは
こんな言葉をのこしている。
失敗の最たるものは、失敗したことを自覚しないことである。
自覚があれば、それは失敗ではない。
「糧」と呼ばれるものに変わっているのだ。
登場人物たち ユミ(岡崎京子『pink』)
家に帰って、
家族に「ただいま」を言う人もいれば、
犬に「ただいま」を言う人もいて、
ワニに「ただいま」を言う人もいる。
岡崎京子の漫画『pink』に登場する主人公、ユミは、
ワニと暮らしている。
ワニは食いしんぼうだからかなりエサ代がかさむ。
だから彼女は昼はOLをしつつ、
夜の仕事もやめられない。
けれどそんなこと気にならないわというふうに、
ばくばくと肉をたいらげるワニに向かって
笑顔でこうつぶやくのだ。
いいって、いいって、気にしなくて
オマエは私のスリルとサスペンスなんだから
日々の暮らしにほんのすこしの秘密をもつことで、
人はおだやかに、たくましく、
生きていけるのかもしれない。
Clint Koehler
登場人物たち チャコ(渡辺ペコ『9時から5時までのチャコ』)
漫画家、渡辺ペコの作品『9時から5時までのチャコ』。
そこに登場する主人公の女の子、チャコは、
午後10時、新宿の居酒屋である男性と出会った。
若そうな見た目のサラリーマン。
話をきけば、つい3日前に、奥さんが出て行ってしまったのだという。
チャコもつい1時間前に、好きだった彼にフラれたばかり。
それは、ゆきずりの恋にでも発展しそうなシチュエーションだった。
けれども2人は、ホテルなんかには向かわず、なぜか卓球場へ。
カコッ、カコッ、と無心に球を打っては、ラリーをくり返す。
汗だくになりながら沈黙をシェアし合うのだった。
朝、ふたりは定食屋で
ふわふわな卵焼き定食を長い長い一日のしめくくりに食べ、
電車が動きはじめた駅へ向かう。
ふたりの別れ際のお礼はこんな言葉。
ひとりだったらきっと
ごはん食べる気になんてならなかったと思う
どんな関係であれ、
いっしょにおいしいごはんを食べてくれる人の存在が
人生をすこし、あたためる。
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