Okinawa Soba
「抒情画家・漫画家・そして/松本かつぢ」顔が大事
アルバイトで雑誌に挿絵を書いていた当時、松本かつぢは
大人気の抒情画家・蕗谷虹児(ふきやこうじ)の
渡仏送別記念の写真記事を目にする。
送別会場や横浜港にあふれる、蕗谷のファン。
船の看板で手をふる蕗谷。泣きながら手を振る少女たち。
かつぢは、感激し、格好いい!と、のぼせ上がり、
俺もこんな風になりたい!抒情画を描こう!と決意する。
ある時ひょいと気がついたんです。
有名な人たちの絵を一目見ただけで、
誰々の絵だとすぐわかるけれど、
そのポイントは・・・そうだ顔だ、と。
かつぢは「かつぢの描く少女の顔」というのを一所懸命描き続けた。
今までの抒情画家はオセンチが売り物だから同じ傾向ではいけない。
明るくて可愛い抒情画を工夫しはじめる。
ようやく「かつぢの少女の顔」と自信が持てたのは、それから2年後だった。