ぜっとん
「動物園の人々」天王寺動物園・若生謙二(わこうけんじ)
動物園での動物の見せ方には、
生息地の景観を再現したものと
動物本来の行動をうながすものがある。
景観再現を優先すると人工物は入れたくない、
行動をうながすためには、ロープや鉄棒などが必要になる。
大阪の天王寺動物園の展示づくりに関わっている
若生謙二は、舞台をうまく設定してやることで景観と行動の
双方を再現できるという。
それが「アジアの森」だ。
アジアゾウの多くは国立公園などで保護されている。
なので、特定の地域に入って動物を観察するという想定で、
架空の国立公園を設定した。
鬱蒼とした森林、ゾウの移動経路や塩なめ場を配置。
視界の開けた場所をつくり、森から姿を現したゾウに出会う演出。
その後、森から人間の活動場所に戻ることで、
保護区のまわりの、ゾウと人間との摩擦をも展示に取り入れ、
人間の活動と動物の関係を見る人に問いかけたいという。