「夏の職人」桶職人 田上定行(たうえ さだゆき)
夏の暑い朝、打ち水をする。
昔ながらの日本の習慣。
ヒートアイランド現象で、打ち水が見直されている。
ならば、ホースやバケツで水を流すのではなく、
昔ながらの手桶で撒いてみたい。
木曽の桶職人、田上定行の打ち水手桶は、
天然の木曽さわらでつくられている。
彼のこだわりは、
一つの桶を一本の木からとった材料でつくること。
さわらの木は不思議な木で、
同じ種類でも色や硬さなどにばらつきがある。
異なる木からとった材料で作ってしまうと、見た目もよくない。
使っているうちに、ゆがみがでてきてしまうことがある。
木の個性を見極めて、桶をつくる。
だから長く使ってもらえる桶になる。
田上の桶で撒く水は、きっと自然の清流に近い。