石橋涼子 19年1月27日放送



お茶のはなし 参勤交代とお茶菓子の発展

ホッと一息つける、お茶の時間。
温かいお茶の隣に欠かせないのが、お茶菓子。

日本各地には、銘菓と呼ばれる
地元ならではのお茶菓子があるものだ。
この発展に、江戸時代の参勤交代が
関係しているのをご存知だろうか。

一年おきに、各地の大名が
江戸と領地を行き来する参勤交代。
将軍への献上品に始まり、
江戸での贈答品や茶会用にと、
土地にちなんだお茶菓子づくりが奨励された。

名物に旨いものあり。
たまには地元の銘菓とホッと一息、
お茶の時間をどうぞ。

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小野麻利江 19年1月27日放送


Patrick Vierthaler
お茶のはなし 千利休のコミュニケーション論

茶人・千利休。
茶道の祖として日本の伝統に
大きな影響を及ぼした彼は
戦国武将をはじめ、
数多くの弟子を抱えていた。
そんな利休の言葉は、
今もなお含蓄に富んでいる。

 何にても 道具扱ふたびごとに
 取る手は軽く 置く手重かれ

茶道具を持つ時は、軽やかに。
置く時は、丁寧に。
道具を大事に扱いながら
優美な所作を心がけることが、
ともに茶を嗜む人への、
もてなしにも通じる。
茶席におけるコミュニケーション論の、
核心をつく一言だ。

もしも利休が、現代に生きていて。
ビジネス書を出版したとしたら、
きっとベストセラー間違いなしだろう。

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熊埜御堂由香 19年1月27日放送



お茶のはなし ボストン茶会事件

アメリカ独立戦争のきっかけは、
お茶が起こした争いだった。

1773年の「ボストン茶会事件」だ。
当時、イギリスの植民地だった北アメリカで、大流行の紅茶に
一方的な通告で税金がかかることになった。

植民地政策へ不満が募る中、
ボストン港に茶葉を積んだ東インド会社の貿易船が停泊した。
その船を「ボストン港をティー・ポットにする」と叫びながら、
急進派市民が襲撃し、茶箱を海へ投げ捨てた。

この事件は、紅茶の不買運動も引き起こした。
アメリカに、紅茶派よりもコーヒー派が
多いのはそのためだと言われる。
どちら派であっても、お茶には平和が似合う。
お茶を穏やかに味わえる幸せを、今日も感じよう。

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薄景子 19年1月27日放送


のりりん
お茶のはなし 一期一会

千利休が説いた、「一期一会」。
すべての茶会は、一生に一度の出会い。
そんな心構えで誠意を尽くす、茶道の真髄。

戦国時代、お茶は武将の嗜みだった。
刀をもって入れないように茶室は狭く作られ、
武将は刀を外において、ただお茶を嗜んだ。
戦がはじまれば、もう二度と会えないかもしれない。
そんな覚悟で、お茶に心をこめた。

一期一会は、私たちの毎日にもある。
当たり前のように顔を合わせる人でも
いつかは別れるときがくるのだ。
それに気づくだけで、
今日という日が、愛しく尊いものになる。

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茂木彩海 19年1月27日放送



お茶のはなし 織田信長のお茶会政治

お茶好きで知られる武将に、織田信長がいる。
信長が特に愛したのは茶の湯、いわゆるお茶会である。

当時の褒美である土地の代わりに、茶器を与えたり、
お茶会を催す権限を特定の部下だけに与えるなど、
お茶会を政治的に利用した。

他の戦国武将たちが圧倒的な武力で政権を確立していく中で、
武力とは正反対のお茶会で天下を目指してしまうとは。

あなどるなかれ、お茶の力。

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永久眞規 19年1月26日放送


FotoMediamatic
発酵食品 シュールストレミング

世界で一番臭いと言われる
食べ物を知っているだろうか?

それは、スウェーデンの伝統食品
シュールストレミング。
ニシンの塩漬けを発酵させたものだ。

その臭さを侮るなかれ。
ノルウェーのとある夫妻が屋根裏で見つけたのは、
25年前に購入したシュールストレミングの缶。

その間ずっと自然発酵し続けていた缶は、パンパンに。
破裂したら恐ろしいことになると
パニックになった夫婦は、なんと軍に通報。

後に、無事撤去されたが
ニュースにもなる大騒動となった。

たった1缶で、
街全体を巻き込むほどの匂いを持つ食べ物は
他にあるまい。

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村山覚 19年1月26日放送

hirotomo 発酵食品 関東のくず餅 透き通ったお餅に、きな粉や蜜などをかけて食べるくず餅。 葛粉の産地がある関西では、定番の和菓子だ。 一方、関東地方では、色や香りが異なるくず餅があり、 江戸時代から長く愛されているのをご存じだろうか。 関東のくず餅は、葛ではなく、小麦粉のでんぷんが主原料。 とある老舗メーカーでは、1年以上かけて自然発酵させたでんぷんを お湯で練って蒸し上げるそうだ。 色は白っぽく、かすかにヨーグルトのような香りがするのが特徴。 和菓子では唯一の発酵食品で、乳酸菌の効果が注目されている。 関東と関西で似て非なるくず餅。 食べ比べてみるのも面白そうだ。


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藤本宗将 19年1月26日放送


preetamrai
発酵食品 豆腐餻と泡盛

沖縄独特の発酵食品といえば
「豆腐餻(とうふよう)」。
琉球王朝時代から代々伝えられてきた珍味で、
沖縄では泡盛を飲みながら、
箸や楊枝で少量ずつそいでゆっくり味わう。
その風味はエダムチーズのようだとも、
ウニのようだともいわれる。

つくりかたはシンプルで、島豆腐を
麹と塩、そして泡盛で漬けておくだけ。
麹菌による発酵に適した環境は
25~30℃の温度と高めの湿度だが、
それがまさに沖縄の気候というわけだ。

もちろん雑菌も増えやすい環境ではあるが、
そこで活躍するのが豆腐を漬ける泡盛。
高いアルコール度数で腐敗を防いでくれている。

泡盛があるから豆腐餻ができる。
豆腐餻があるから泡盛がうまい。
ふたつの発酵食品は、
沖縄が育んだ最高のコンビなのだ。

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仲澤南 19年1月26日放送


FoodCraftLab
発酵食品 テンペと納豆

インドネシアの納豆とも呼ばれる、テンペ。
日本の納豆と同じように作り方はシンプルで、
火を通した大豆に菌を付着させ、
発酵させることで作られる。

しかし同じ大豆で、似た工程を経て作られる
発酵食品であるにもかかわらず、
テンペと納豆では見た目や味がかなり異なる。
納豆が茶色く、糸を引く強い粘りと
強烈な匂いを持つのに対し、
テンペはクリーム色のブロック状に固まっていて粘りはなく、
味や匂いも淡白だ。

この違いを生んだのは、
それぞれが誕生した環境。
藁が敷き詰められた日本の住居では、
稲の藁に付着している納豆菌が、
赤道直下のインドネシアでは、
ハイビスカスやバナナの葉に付着しているテンペ菌が、
それぞれ大豆に働きかけたのである。

同じ大豆の発酵でも、その環境や働く菌の違いによって
まったく別の食べ物が生まれる。
発酵は、食べ物の可能性を想像以上に広げてくれるのだ。

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福宿桃香 19年1月26日放送



発酵食品 チョコレート

納豆、チーズ、キムチ…
そんな発酵食品の定番と並んで、
チョコレートもその一つであることをご存知だろうか?

そのレシピは次のとおり。
まずカカオ豆を果肉ごとバナナの葉や皮で包み、置いておく。
すると、微生物の力で発酵が徐々に進み、
カカオ豆は50℃以上にまで発熱。
乳酸菌や酢酸菌が活発に動き、甘み成分やアミノ酸が生成される。
6日ほど発酵させたら、豆を乾燥させ、すり潰し、
私たちが良く知るチョコレートの形に完成させるのだ。

なんとチョコレートの味も、この発酵期間が左右する。
発酵が短いと酸味が強まり、
長すぎたものは、納豆のような出来上がりに。
数時間の違いでこれほど差が出るなんて、
発酵の世界はシビアである。

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