川野康之 19年1月19日放送

190119-03

走り出す 圓太郎バス

東京の町中を元気に走っているバス。
いつ頃から走り出したのだろうか。
1923年(大正12年)、関東大震災に襲われた東京。
市内交通の要めであった市電は
レールが壊れるなど壊滅的な被害を受けた。
復旧の見通しも立たなかった。
東京市は、その頃まだ一般的ではなかった乗り物自動車に注目。
アメリカからT型フォード・トラックのシャーシを輸入し、
国内で急造したボディを載せてバスに仕立てた。
その姿が明治時代のおんぼろ馬車「圓太郎馬車」に似ていたので、
市民から「圓太郎バス」と呼ばれて親しまれた。
これが東京の市営バス、現在の都営バスの原点となった。

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川野康之 19年1月19日放送

190119-04

走り出す 競走馬の試験

馬にも試験があります。
競走馬がデビューするために必ず合格しなければならない超難関、
ゲート試験。
気性の荒い馬ほど難関度が増すという。
落ち着いてゲートに入れるか。
ゲート内に入ってから暴れないでいられるか。
ゲートが開いたらスッと出られるか。
そういう競馬馬として最低限のスタートが
きちんとできるかということがテストされます。
不合格の場合はどうなるか。
再試験です。
合格するまではデビューできない。
走り出すまでは馬もたいへんなんだな。

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川野康之 19年1月19日放送

190119-05

走り出す 大師電気鉄道

今からちょうど120年前。
1899年(明治32年)1月21日、
1両の電車が満員の乗客を乗せて
六郷橋から川崎大師へ向かって走り出した。
多摩川と平行に走る約2kmの単線。
日本で3番目の営業運転電車、大師電気鉄道の開通である。
この日以来、川崎大師へは毎年各地からの参詣客で
大いに賑わうこととなった。
電車に乗って初詣をする日本人の
新しい習慣はここから始まったという。
大師電気鉄道は後に京浜急行と名前を変え、
品川から横浜、そして三浦半島までを結ぶことになる。

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佐藤日登美 19年1月13日放送

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酒の肴 ロングバーのピーナッツ

シンガポールの老舗高級ホテル、ラッフルズ・ホテル。
このホテルのロングバーには二つの名物がある。

一つは、ロングバーで生まれたカクテル、シンガポールスリング。
マラッカ海峡に沈む美しい夕日を思わせるジンベースの一杯だ。

もう一つは、シンガポールスリングと合わせてつまむピーナッツ。
麻袋いっぱいに入ったピーナッツがすべての席に置かれ、
お客は無料で食べることができる。
ここでの流儀は、ピーナッツの殻をそのまま床に捨ててしまうこと。

ポイ捨て厳禁のシンガポールのなかで、
ここだけはゴミを放ることが許される。

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佐藤日登美 19年1月13日放送

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酒の肴 からすみのルーツ

日本三大珍味の一つ、からすみ。
そのルーツは紀元前の古代ギリシャやエジプトに遡る。
冷蔵保存ができなかった当時、
初夏にとれた魚の卵を保存させるために生み出された。
やがてアラブ人によって地中海沿岸へと伝えられ、
中国を経て日本にまで渡ってきた。

塩辛くねっとりした味わいが飲兵衛にはたまらない酒の肴。
薄く切ったり、大根と合わせたり、軽く炙ったり。

遥か昔の人々のおかげで、
日本人はからすみとの「ちょっと一杯」が楽しめる。

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蛭田瑞穂 19年1月13日放送

190113-03
HAMACHI!
酒の肴 乙な味

「乙な味」という表現は、日本の伝統的な和楽に由来するといわれる。

和楽では高い音域の音を「甲」と書いて「かん」と呼び、
低い音域の音を「乙」と呼んだ。

一段低くしんみりとした乙の音。
そこから趣のある状態を「乙な」と表現するようになったという。

乙な味と聞いて思い浮かべるのは、カラスミやくさやなどの酒の肴。
珍味ともいわれ、好みが分かれるが、
酒飲みにとってはたまらなく「乙」なのだろう。

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蛭田瑞穂 19年1月13日放送

190113-04
The Travelling Bum
酒の肴 タパス

酒をメインにさまざまな種類の小料理を提供する日本の居酒屋。
居酒屋のような業態の飲食店は世界的に見ても珍しいと言われる。

唯一の例外ともいえるのがスペインのBAR(バル)。
バルではワインを片手に、タパスと呼ばれる小皿料理をつまむ。

アンチョビのオリーブオイル漬け、イベリコ豚の生ハム、
エビのフリッター、チョリソのワイン煮込み、スパニッシュオムレツ。

洋の東西を問わず、酒のうまさを知る人は料理のうまさも知っている。

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星合摩美 19年1月13日放送

190113-05
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酒の肴 酒盗

魚の内臓を使った塩辛「酒盗」
酒を盗むと書くその名の由来は、江戸末期まで遡る。

第12代土佐藩主の山内豊資(ヤマウチトヨスケ)が、
「盗んで飲みたくなるほど酒が進む」と絶賛したことから名付けられたという。
栄養価も高く、豊富に含まれるオルニチンには
肝臓の機能を高める効果があるともいわれる。

美味しさのみならず、体にも嬉しい酒盗。
とはいえ、飲み過ぎにはくれぐれも気をつけたい。

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星合摩美 19年1月13日放送

190113-06
kadluba
酒の肴 ぬき

蕎麦屋で酒を楽しむ江戸っ子の、粋な肴といえば「ぬき」。

蕎麦を抜いたものを意味する略語で、
中でも人気は、天ぷら蕎麦から蕎麦を抜いた「天ぬき」だ。
かつお節が香る熱々のつゆと天ぷらを肴に、酒を楽しむ。

「天ぬき」が生まれた背景には、
酒を飲んでいる間に蕎麦が伸びるのを避けるため、という説もあるが、
腹が膨らむつまみはよろしくないという、酒飲みの美学もあるのだとか。

ところで、蕎麦屋で蕎麦のない「ぬき」を頼むのは失礼に当たることから、
注文が許されるのは10年通った常連だけ、という話もあるようです。

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森由里佳 19年1月13日放送

190113-07
koyhoge
酒の肴 サカナのはじまり

酒の肴。
この場合のサカナの語源は、「お惣菜」の「菜」。
つまり、おかずのことを示したものだ。
では、泳ぐ魚はどうか?

実は、そちらのサカナの本来の読み方は「うを」「いを」である。
諸説あるが、
江戸時代に酒のアテとして魚類が楽しまれることが増えたのがきっかけで、
じょじょに「うお」が「サカナ」に変化したらしい。

カラスミ、塩辛、刺身、佃煮、しらこ、エイヒレ、スルメ…
島国だからだろうか。
確かに、旨い肴には、魚が多い気がしてくる。

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