茂木彩海 18年12月23日放送
Digital image courtesy of Wellcome Library London
愛のことば 愛のことばの伝え方
愛は言葉にして伝えるべきか、
言葉にしなくても伝わるのが真実の愛か。
ささやかでありながら、意見が分かれがちなこの議題。
どうやら昔から話し合われてきたテーマのようで、
中世を生きた2人の学者たちも、それぞれこんな言葉を残している。
1人目は数学・物理学の学者であるパスカル。
彼は言う。
人は恋愛を語ることによって 恋愛するようになる。
一方、
法学・古典文学の学者、ペトラルカが遺した言葉はこうである。
どんなに愛しているかを
話すことができるのは、
すこしも愛してないからである。
時代が変わっても、大切なのはその愛する気持ちが本物かどうか。
言葉にするかしないかはどちらでも。
今年はあなたらしい方法で、愛を伝えてみませんか。
川野康之 18年12月22日放送
Kentin
冬至
冬至の日にはカボチャを食べる。
栄養がたくさん含まれているので風邪予防になるからだと言われている。
もう一つ、こんな理由もあるという。
カボチャは昔は「なんきん」と呼ばれていた。
な・ん・き・ん。
「ん(運)」が二つもあるので縁起がいいぞ、ということらしい。
ちなみに「冬至の七種(ななくさ)」と呼ばれる食材があるそうです。
なんきん・れんこん・にんじん・ぎんなん・きんかん・かんてん・うどん。
なるほど「ん」がたくさん。
全部食べると運が開けるそうですよ。
今夜コンプリートしてみませんか。
今日は12月22日、冬至です。
川野康之 18年12月22日放送
yto
冬至
「冬至には柚子湯」
と言われているのはなぜなのか。
いくつか説があります。
強い香りで身を浄めるため。
血行促進効果で温まるので風邪をひきにくくなるから。
「ゆず」だけに「融通(ゆうずう)」の効く健康な体になるのだ、
という語呂合わせの説。
江戸時代に大衆浴場がお客さんを集めるために始めた風習とも言われています。
何にしても、冬至は一年で最も夜が長い日。
ゆっくりお風呂に入ってのんびりと長い夜を楽しむのがいいようです。
今日は12月22日、冬至です。
川野康之 18年12月22日放送
ぜっとん♪
冬至
「梅の花といえば春」
なのに、
12月に咲く梅がある。
それは、冬至梅(とうじばい)と呼ばれる品種。
野生の梅の系統で、冬至の頃から咲き始める。
花は白、一重咲き。
枝は細い。
冬枯れた景色の中で、
早さなら誰にも負けないと健気に咲いている白い花。
せっかくの短い昼の時間、
家に閉じこもらないで探しにでかけませんか。。
けふ見たる色のひとつに冬至梅 森澄雄(もり すみお)
今日は12月22日、冬至です。
川野康之 18年12月22日放送
Bering Land Bridge National Preserve
冬至
一年で最も昼の時間の短い日、冬至。
一年で最も夜が長い日でもある。
北極に近い国では一日中夜が明けないところもある。
と言うと、暗く憂鬱な日というイメージがありますが、
逆に考えると、この日を境にしてこれからは日が伸びる一方だ、
と言うこともできる。
うれしい日である。
ということで世界の各地では、
この日お祝いをするところが多いそうです。
実は一年で最も寒くなるのはこれからですが、
世界の人のポジティブ思考にならって、
冬至、楽しく過ごしたいものですね。
今日は12月22日、冬至です。
川野康之 18年12月22日放送
冬至
冬至は、仕事をしてはいけない日だった。
昔の中国では、この日はみんな仕事を休んで、
小豆粥を食べて酒を飲んで祝っていた。
その風習が日本にも伝わったのでしょうか。
江戸時代の俳句にこんな様子が描かれている。
門前の小家もあそぶ冬至哉 凡兆
(もんぜんの こいえもあそぶ とうじかな ぼんちょう)
日頃は忙しい庶民の家でも今日ばかりは仕事を忘れて
家族でたのしく過ごしていたのかもしれません。
働き方は昔も今も人にあたたかいのがいい。
今日は12月22日、冬至です。
蛭田瑞穂 18年12月16日放送
oschene
一枚の、楽譜
ヨハン・セバスチャン・バッハ晩年の楽曲集「音楽の捧げもの」に
「蟹のカノン」と呼ばれる作品がある。
正式な曲名は「2声の逆行カノン」だが、
その独特なコード進行が横歩きの蟹を思わせるため、
「蟹のカノン」と呼ばれるようになった。
「蟹のカノン」の楽譜は音符が回文のように並んでいる。
そのため、前後どちらから演奏しても楽曲が成り立ち、
ふたりの奏者が同時に前後から演奏すると素晴らしいハーモニーが生まれる。
さらに、最初と最後の音がつながるため、曲は無限にループする。
一枚の楽譜の中にバッハは無限の創造性を生み出す。
蛭田瑞穂 18年12月16日放送
一枚の、暗号文
1822年、ヴァージニア州リンチバーグのホテルのオーナー、
ロバート・モリスはトーマス・ジェファーソン・ビールという人物から
3枚の暗号文を託された。
モリスは解読を試みたが叶わず、亡くなる直前に友人に託すと、
友人は2枚目の暗号文の解読に成功した。
そこには約73億円に相当する財宝を
ヴァージニア州ベッドフォードのとある場所に埋めた、とだけ記されていた。
残りの暗号を解読できなかった彼は
全文を世間に公表したが、今に至るまで解読できた者はいない。
この暗号は「ビール暗号」と呼ばれ、
史上最大級の暗号ミステリーと言われている。
佐藤日登美 18年12月16日放送
dullhunk
一枚の、絵画
覆面芸術家、バンクシー。
社会風刺的なアートを繰り広げる彼の作品が、
サザビーズのオークションに出品された。
風に飛ばされる赤い風船に手を伸ばす少女が描かれた、「Girl with Balloon」。
注目を集めたその作品は100万ポンドで落札された。
しかし、その直後。
落札を知らせる木づちが響き渡った瞬間、
「Girl with Balloon」は額縁から滑り出るようにして切り刻まれた。
突然の出来事に会場は凍りつく。
実はこの仕掛け、何年も前からバンクシー本人が絵画に仕込んでいたという。
落札が決まった瞬間、遠隔操作でシュレッダーを作動させたのだ。
「芸術なんて所詮、一枚の紙だろう?」
とバンクシーは言っているのかもしれない。
佐藤日登美 18年12月16日放送
一枚の、包装紙
一枚の包装紙にも、物語がある。
老舗百貨店、三越のオリジナル包装紙「華ひらく」もそのひとつ。
画家・猪熊弦一郎が千葉の犬吠埼海岸を散策しているとき、
波に打たれて角がとれた丸い石を見て
「波にも負けず頑固で強く」をテーマにデザインしようと思いつき描かれた。
その作品を受け取りに行ったのが、
当時三越に勤めていた漫画家・やなせたかし。
やなせがローマ字で「mitsukoshi」のロゴを書き添え、包装紙は完成された。
日本の百貨店では初めての、オリジナルのラッピングペーパー。
今日も、誰かへの贈り物が包まれている。