四宮拓真 18年12月8日放送
ミスター・トイレ~
世界遺産の街、韓国・水原(スウォン)に、
世界初の「トイレ博物館」がある。
シム・ジェドク 元スウォン市長の自宅を改築した建物で、
なんと洋式便器の形をしている。
シムさんは韓国トイレ協会と世界トイレ協会を設立。
2009年に亡くなるまで、世界中の公衆トイレの整備に力を尽くし、
「ミスタートイレ」と呼ばれた。
彼は、なぜそこまでトイレに入れ込んだのか?
生前、こう語っている。
いまも26億人がトイレなしに生活し
年間200万人が汚れた水が原因の病で亡くなる。
トイレは人類の命を守る聖なる場なのだ
世界トイレ協会は彼の遺志を受け継ぎ、
いまも恵まれない地域にトイレを建設している。
四宮拓真 18年12月8日放送
世界一有名なトイレ~
歴史を変えたトイレがある。
1917年、アーティストのマルセル・デュシャンが発表した「泉」は
男性用の便器にサインを書いただけという、
前代未聞の作品だった。
これは芸術なのか、悪ふざけなのか。
そもそも、芸術とは何か。
「泉」は大きな論争を呼び、
現代アートの歴史を変えたと言われる。
・・・実はこのトイレ、現在来日している。
東京・国立美術館で明日まで開催中の展覧会に
レプリカが出品されているのだ。
明日は日曜日、世界一有名なトイレと向き合ってみるのはいかが?
大友美有紀 18年12月2日放送
NASA’s Marshall Space Flight Center
「アルゼンチン」外交関係樹立120周年
アルゼンチンといえば、タンゴ、サッカー、ワイン。
私たちのイメージは、そんなところ。
けれども1989年には、日本とアルゼンチンの
修好通商航海条約が交わされた。今年で120周年。
アルゼンチンのARGENTINAは、
ラテン語のARGENTUM(アルゲントゥム)、
銀からきた名だといわれている。
16世紀、大航海時代、ペルーやボリビアで
大量の黄金が発見され、多くの征服者や探検家が
南米大陸を目指してやって来た。
アルゼンチンにも大量の銀があると思われていた。
地球のほぼ真裏にある国。
その歴史を含め、私たちはあまりにも
アルゼンチンの事を知らない。
大友美有紀 18年12月2日放送
「アルゼンチン」4つの地域
南米の国、アルゼンチン。
日本との外交関係が樹立して今年で120周年。
南北に長く、くさびの形をした国。
西部のアンデス地方、
北部の森林地帯、
南部の半砂漠地帯パタゴニア、
中央部の大平原地帯パンパの
4つの地域に分かれている。
中央は肥沃な草原で、気候も温和な大農牧地帯。
北部の森林地帯でも農牧、林業が盛んだが、
南部のパタゴニアは、常に強い風が吹く不毛の地。
日本の7倍以上もある大地。
そこに住む人は、自分の国のイメージを
どのようにとらえているのだろう。
そして、首都はブエノスアイレス。
南米のパリとも呼ばれる美しい都市。
ますます謎めく、魅力ある国だ。
大友美有紀 18年12月2日放送
DanielHP
「アルゼンチン」イグアスの滝
日本とアルゼンチンの修好通商航海条約が結ばれて、
今年で120年。私たちがアルゼンチンについて
知っていることは、そう多くない。
たとえば、イグアスの滝。
北米のナイアガラの滝、
アフリカ大陸のヴィクトリアの滝に並ぶ、
世界三大瀑布と言われている。
アルゼンチンとブラジルの国境にあることは
知っていただろうか。
先住民の言葉で、「大いなる水」という意味の
イグアス。最大落差80メートル、滝幅は約4キロ。
ナイアガラは最大落差58メートル、
合計の滝幅が約1キロ。
アメリカ大統領セオドア・ルーズベルトの夫人が
イグアスの滝を見て「かわいそうなナイアガラ」と
つぶやいたとも言われている。
悪魔ののど笛と呼ばれる滝のスポットがある。
歩いて、ボートで、滝のそばまで行くことができる。
上から見たり、下から見たり、滝を堪能できる。
そんな滝がある国。それもアルゼンチンだ。
大友美有紀 18年12月2日放送
Luis-Argerich
「アルゼンチン」ブエノスアイレス
日本とアルゼンチンは外交関係が樹立して、
今年で120周年。首都はブエノスアイレス。
南米のパリ、とも呼ばれる美しい都市だ。
「ブエン アイレ」はスペイン語で、
「澄み切った空気」を意味する。
ブエノスアイレスは、その複数形。
市の南部には、カラフルな建物が並ぶ街、
カミニートがある。かつての港町で、
イタリア系移民がつくった街。
それぞれの家を異なる色で塗装する
というのがイタリア移民の伝統だったという。
生活が苦しかった人々は業者の残りの塗料で
家をさまざまに塗り、今のカミニートが出来上がった。
アルゼンチンの澄み切った空気の中で
美しい町並みを歩きながら、
この国の歴史に思いを馳せてみたい。
大友美有紀 18年12月2日放送
Peter Forret
「アルゼンチン」タンゴ
日本とアルゼンチンの外交関係が始まって
今年で120周年。アルゼンチンといえば「タンゴ」だ。
日本では、タンゴは官能的なダンスだと思われているが、
現地では少し違うようだ。
ブエノスアイレスのタンゴサロンでは、
年配の男女が、自然な動きでステップを踏んで楽しんでいる。
タンゴは、もともと場末の酒場で演奏されていた音楽であり、
不満や希望、失恋や恋物語が歌われる、貧困階級の音楽だった。
喧嘩のかわりに、男同士で踊ることもあった。
それが1913年頃、フランスで紹介され、
ヨーロッパで高い評価を受けた。
そして世界中に広まっていったのだ。
タンゴの、どこかしら哀愁のある響きには、
その歴史が隠れていたのだ。
大友美有紀 18年12月2日放送
「アルゼンチン」ガウチョ
若い女性たちが好んで穿くガウチョパンツ。
裾が広がった七分丈ぐらいのワイドパンツ。
南米のカウボーイが穿いていたパンツに由来するというが
そのルーツはアルゼンチンにある。
正確に言うと「ガウチョ」はカーボーイではない。
18世紀末に大草原地帯バンパに住んでいた、農村の人々。
一般的な社会生活に反抗し、馬の扱いが上手で
定着を嫌い、移動生活をしていた人々のこと。
ガウチョは、南米の在来言語・ケチュア語のワッチュ、
流浪の民や孤児という意味の言葉が変化した呼び名。
アルゼンチンの大草原で馬を走らせていた人々の呼び名が
2世紀を経て、日本ではつらつと生きる女性たちの
最先端のファッションとなった。
日本とアルゼンチンの外交関係が樹立されて、
今年で120周年。
大友美有紀 18年12月2日放送
Du Monde Dans L’Objectif
「アルゼンチン」マテ茶
アルゼンチンの国民的飲み物、マテ茶。
近年、その健康効能が注目され、飲むサラダとも呼ばれている。
アルゼンチン人は肉食が多い。野菜不足を補うために
200年ほども前からマテ茶を飲んでいたと言われている。
けれど、健康を意識して飲んでいたのかは定かではない。
アルゼンチンでは、家に遊びにいくと
金属製のストロー「ボンビージャ」で飲むマテ茶を出してくれる。
友情のしるし、信頼の証として、
ボンビージャで回し飲みをするしきたりがある。
日本のハーブティーショップでもよく見かけるマテ茶。
今年は日本とアルゼンチンの外交関係が始まって120周年。
ボンビージャで回し飲みをするような友情は生まれただろうか。
大友美有紀 18年12月2日放送
「アルゼンチン」パタゴニア
南米大陸にあるアルゼンチン。
その中部から南部にかけて広がる地域が
パタゴニアだ。
高級アウトドアブランドの名としてなじみ深い。
大航海時代、この地を訪れた冒険家マゼランが
先住民族の足の大きさにおどろき
「パタゴネス」と呼んだのが始まりだった。
年間を通して、強い風が吹く地域。
氷塊や氷壁がくずれおちる氷河、
フラミンゴやペンギン、アシカなどの野生の動物。
切り立った山岳地帯、希少な植物も見ることができる。
遠い、地図にも載っていない、架空の国のような場所。
日本とアルゼンチンの外交関係樹立から、
今年で120周年。
パタゴニアは確かにそこにある