河田紗弥 20年7月26日放送
耳で楽しむ夏の風物詩。 かき氷
かき氷の歴史は古く、平安時代、清少納言の「枕草子」に出てくる
「削り氷」が最初と言われている。
「削り氷に、甘葛(あまずら)入れて、
あたらしき鋺(かなまり)に入れたる。」
という文章がある。
冷蔵庫や製氷機のない時代、
夏の氷は非常に貴重なものだった。
冬の間に天然の氷を切り出して、
山の麓などに作った「氷室」という貯蔵施設に保存し、
夏に氷を切り出して、都に運ばせ、
宮中で暑気払いを行なっていた。
運ぶ間にも氷は溶け、御所に着く頃には、
氷は小さくなって、
その氷を小刀で削って食べることができたのは、
一部の貴族階級の人たちだけだったとか。
河田紗弥 20年7月26日放送
耳で楽しむ夏の風物詩。 かき氷
横浜港が開港した江戸時代の末期、
アメリカのボストンから氷を輸入したアメリカ人がいた。
出発から半年以上もかけて、アフリカを経由して
横浜に到着した氷は、
みかん箱ほどの大きさで、3両、
現代の約22万円もしたと言われている。
この氷に着目したのが、中川嘉兵衛だ。
三河の国出身の彼は、
横浜で英国公使のもとでコックとして働いたのち、
東京で最初の牛肉店を開いたり、幅広く商売をしていた。
来日した宣教師に、
医療や食品の保存に氷が有益であると教わった彼は、
天然氷の製造・採取と販売の事業化を目指し、
各地で天然氷づくりを試みた。
河田紗弥 20年7月26日放送
耳で楽しむ夏の風物詩。 かき氷
1862年の夏。
箱館や諏訪湖から氷を運び、
中川嘉兵衛は
横浜の馬車道通りに、
日本で最初のかき氷屋「氷水屋」をオープンさせた。
店を始めた当初は、
「腹に悪い」という噂のせいで、
なかなか売れなかった…。
しかし、ひとたび安全だとわかると、
夏の暑さもあって爆発的に人気になり、
1杯2文、現代の約30円で、
2時間並ばないと買えないほどの人気になった。
その後も、北海道の五稜郭に製氷場を設け
本格的に生産を始め、
のちに宮内庁御用達にもなった。
河田紗弥 20年7月26日放送
耳で楽しむ夏の風物詩。 金魚すくい
日本にはじめて金魚がやってきたのは、
室町末期の大阪。
当時は高級品で、一部の貴族の間で、
“生きた芸術”として話題になっていた。
江戸中期になると、
藩士たちが副業として金魚養殖を始め、
大量生産されるようになり、金魚の価格が下がったことで、
江戸に金魚ブームが到来。
当時は、ガラスがなく、
陶器に入れて、上から見るのが主流のスタイルだったとか。
河田紗弥 20年7月26日放送
耳で楽しむ夏の風物詩。 金魚すくい
夏の風物詩、金魚すくい。
その始まりは、江戸時代の後期ごろと言われている。
浮世絵などの版画に
金魚すくいを楽しんでいる子どもたちの様子が
描かれているからだ。
当時は、ポイではなく
すくい網を使って
制限時間内に、
どれだけ金魚を取ることができるかを楽しむものだった。
明治後期になると、
金魚を持ち帰ることができるようになり、
すくい網だと多くの金魚が持って行かれてしまうため、
現在のポイのようなものが誕生した。
名雪祐平 20年7月25日放送
papadont
ラジオ旅行代理店 スナフキンの場合
いらっしゃいませ。
こんな旅、あります。
ムーミンの親友 スナフキンの場合。
本能にしたがって歩くのがいいのだ。
ぼくは磁石を信用したことなどないし、
磁石は人間の自然な感覚を惑わせるもの。
身軽に、リュックサックひとつで
行けるところまで。
スナフキンのように、
ハーモニカも吹きたいところですが、
ちかごろは、マスクを忘れずに。
名雪祐平 20年7月25日放送
ラジオ旅行代理店 ブーバーの場合
いらっしゃいませ。
こんな旅、あります。
宗教哲学者 マルティン・ブーバーの場合。
どんな旅にも、
旅人自身も気づいていない
秘密の目的地がある。
長くつづければ予定が狂い、
アクシデントもあるのが、旅。
行ってみなければ、わからない。
いつか、とんでもないところに
たどりつくのかもしれません。
人生も長旅のようなもの。
2020年、とんでもないことが起きました。
秘密の目的地は、まだ見えてきません。
気をつけて、いってらっしゃい。
名雪祐平 20年7月25日放送
ラジオ旅行代理店 アンデルセンの場合
いらっしゃいませ。
こんな旅、あります。
童話作家 アンデルセンの場合。
旅を十回すれば、十回分だけ若返る。
旅は、精神の若返りの泉。
たしかに、知らない世界は刺激的。
好奇心もイキイキ。
生命力が強くなる気がします。
さて、次回の旅は、いつ?
自粛することなく、
自由に旅できる日が来ますように。
名雪祐平 20年7月25日放送
Photo by Athena from Pexels
ラジオ旅行代理店 戸川昌子の場合
いらっしゃいませ。
こんな旅、あります。
小説家 戸川昌子の場合。
孤独という切符を買ってでも、
自由な旅人でいたい。
独り旅。だからこそ、
誰にも束縛されず、
得られる自由がある、と。
でも、この夏は何かと不自由……。
孤独という切符は、
どれだけ売れるのでしょうか?
名雪祐平 20年7月25日放送
NASA’s Marshall Space Flight Center
ラジオ旅行代理店 チトーの場合
いらっしゃいませ。
こんな旅、あります。
世界で初めて自費で宇宙旅行した、
デニス・チトーの場合。
世界初でも、50番目でも、
500番目でも構わない。
ただ行きたいだけだ。
さて、あなたが行くなら、
何番目になるでしょう?
5,
4,
3,
2,
1,
発射!
想像するところから、
もう旅は始まっています。
宇宙、2時間、25万ドルから。