茂木彩海 18年8月26日放送
Okinawa Soba (Rob)
宿題のはなし 100年続く宿題の歴史
夏休みの宿題の歴史は意外に長く、
明治時代から、学力低下を避けるためにはじまったと言われている。
内容はというと、
絵日記を書いたり、植物の根の作用や構造について書いたり、
今とそこまで変わりないようだ。
100年以上も日本の子供たちが挑んできた夏の宿題。
いっそ夏の風物詩とみてしまえば、意外と楽しんで向き合えるのかもしれない。
茂木彩海 18年8月26日放送
宿題のはなし 大人の宿題
宿題は、なにも子供がやるものとは限らない。
サボりにサボった部屋の片づけ、
参考書を買っただけで何もしていない英会話、などなど。
大人にだって貯め込んだ宿題はたくさんあるはずだ。
そんなあなたの胸に、グサりと刺さる
社会学者チャールズ・クーリーの名言を。
明日はなんとかなると思う馬鹿者。
今日でさえ遅すぎるのだ。賢者はもう昨日済ましている。
永久眞規 18年8月25日放送
eliduke
空港のはなし アイス飛行場
世界一過酷な飛行場の1つと言われている
アイス飛行場(Ice Runway)をご存じだろうか?
場所は、南極・ロス島。
アメリカの科学調査拠点である
マクマード基地の近くにあり、
名前の通り、海に浮かんだ氷でできている。
氷の状態が一番良い時期でさえ、
着陸時には飛行機の重みで
氷がたわむというこの飛行場。
海氷が最も脆くなる12月になると、
翌年の春まで閉鎖されてしまう。
遠くから飛んできた飛行機が陸地に降り立つ。
無事に着いたことに喜び、
誰もがホッとする瞬間のはずが、
ここアイス飛行場では
誰もが凍りつく瞬間になるのである。
村山覚 18年8月25日放送
Stefan Sjögren
空港のはなし ストックホルム・アーランダ空港
ストックホルム・アーランダ空港。
誘導路の横に10年以上動いていない
ジャンボジェット・ボーイング747が停まっている。
ジャンボ機の真下で記念撮影をする旅行者もいれば、
大きな翼の上を歩く人も。翼の下にある
4つのエンジン部分にはなぜかドアが付いている。
飛行機内に入ると制服を着たクルーはいるが、
離陸の準備をする様子もなくにこやかに接客している。
実はこのジャンボ機、現在は宿泊施設として営業中。
2002年までは世界中を飛び回っていたが、
今は1マイルも動かずに、
世界中からやってくる航空ファンを楽しませている。
操縦桿が残るコックピットや、
ジェットエンジンがあった場所のベッドで見る夢は……
やはり大空を飛ぶ夢なのだろうか。
仲澤南 18年8月25日放送
James.Stringer
空港のはなし バラ空港
スコットランドの小さな島にある、バラ空港。
世界で唯一、ビーチに滑走路を持つ空港だ。
普段は観光客で賑わうビーチが、
1日数時間、潮が引く間だけ滑走路になる。
目印は、空港としての営業時間であることを示す吹き流しだ。
滑走路としての設備は、
注意を促す看板と終点に打たれた木の杭のみ。
それ以外はほぼ自然のままのビーチが広がっている。
その豊かな景色から、
世界一美しい空港の一つとしても名高い。
滑走路は潮が満ちると水没し、
潮が引いても海水に浅く覆われる。
そこへ着陸する飛行機。
水しぶきを上げるその様子は、
着陸というよりも着水に近い。
自然を残した簡易な設備での、
潮の満ち引きに左右される離着陸。
特に着陸はパイロットの勘に頼るところが大きいという。
世にも美しい空港は今日も、
パイロットたちの腕に支えられているのだ。
藤本宗将 18年8月25日放送
Frank Kehren
空港のはなし
テンジン・ヒラリー空港。
かの有名な登山家の名を冠したその空港は、
ネパール東部のルクラという街にある。
その名から想像できる通り、
エベレストのネパール側登山口として利用される。
だが登山家たちにとって、
この空港は最初の関門と言えるのだ。
山の天候が非常に変わりやすいというだけではない。
標高が2,800 mと高いために大気密度が低く、
エンジンの燃焼効率が悪くなり、翼も揚力を得にくい。
なのにこの空港では、
たった一本しかない滑走路の長さがわずか460m。
パイロットには高度な技術が要求される。
着陸の際は滑走路南側からの侵入となるが、
12%の上り勾配が付いており、その先は山と壁。
スピードを落としきれなければ壁に激突する。
引き返してのやり直しもきかない、一発勝負。
離陸の際は逆に滑走路の北側から
下り坂を直進していくかたちになる。
短い距離で速度を上げなければならないが、
滑走路の先は深さ600mの谷。
離陸に失敗すれば、奈落の底だ。
登山の前からこれほどの試練を与えるとは。
やはりエベレストは、世界一の山だけのことはある。
福宿桃香 18年8月25日放送
InSapphoWeTrust
空港のはなし サザンカリフォルニア・ロジスティックス空港
飛行機の墓場―
そう呼ばれる空港をご存知だろうか。
アメリカの砂漠にある
サザンカリフォルニア・ロジスティックス空港には、
退役後の飛行機が保管されている。
その数、およそ300機。
ANA、ユナイテッド航空、中国国際航空、シンガポール航空…
第一線で活躍していたジェット機たちは
この場所でエンジンを取り外され、窓を金属箔で覆われ、
一生を終えるのだ。
世界中から集まるのは、飛行機ばかりではない。
美しく整列したその姿を写真におさめようと、
航空マニアもまた、世界各国からこの地を訪れる。
役目を終えて時が経っても、
今日も誰かが“墓参り”にやってくる。
人の役に立ち続けた飛行機らしい最期だ、と思った。
佐藤日登美 18年8月19日放送
ひでわく
夏祭り 盆踊りと二人の僧侶
夏祭りに欠かせない、盆踊り。
その立役者に、二人の僧侶がいた。
一人は、平安時代の空也上人。
民衆に仏教を広めようと、
それまで堅苦しかった念仏を歌うように唱え、踊りまでつけた。
この「念仏踊り」をさらに広めたのが、一遍上人。
彼は全国を練り歩き、この踊りを人々に披露してみせた。
こうして知れわたった踊りは、
やがて先祖供養という当初の目的から離れ、
庶民の娯楽へと変わっていく。
二人の僧侶が踊った舞は、いま、日本中で親しまれている。
佐藤日登美 18年8月19日放送
夏祭り 江戸時代の盆踊り
夏祭りを彩る盆踊りは、
江戸時代、男女の出会いの場だった。
旧暦7月15日、満月の夜に行われていたこともあり、
引力の影響からか気持ちが高ぶる人も多かったとか。
あまりの盛り上がりに、明治時代は「風紀を乱す」として
警察が取り締まる一幕もあった。
一度は衰退しかけた盆踊り。
時代が移ると、再び娯楽として復活し、
いまは日本各地で老若男女に愛されている。
出会いがあっても、なくても。
夏の夜、みんなで輪になる盆踊りは、なんだか楽しい。
蛭田瑞穂 18年8月19日放送
stevendepolo
夏祭り 綿あめ
夏祭りの露店で見かける綿あめの屋台。
口に含むと一瞬で溶けてしまう食感もさることながら、
細い糸を繰るようなつくり方が子どもたちを釘付けにする。
夏の風物詩として定着した綿あめは
日本生まれのお菓子のようにも思われるが、
現在のような綿あめ製造機がつくられたのは1897年のアメリカ。
ウィリアム・モリソンとジョン・C・ウォートンの
ふたりの菓子職人が開発した。
1904年のセントルイス世界博覧会では
「妖精の綿毛」という名で出品され大いに人気を博したという。