渋谷三紀 18年8月11日放送
山について「奥穂高岳」
「無垢の爾を、自分は絶愛する」
と山に叫んだのは、
1904年に槍ヶ岳から穂高岳を初縦走した鵜殿正雄。
日本で3番目に高い山「奥穂高岳」の名付け親である。
彼の紀行文を読むと、
奥穂山頂からの下降地点にある通称「間違い尾根」に、
当時の案内人たちも誤って踏み込んだとある。
まさに時代をこえた「間違い尾根」だ。
未知の岩稜をたどり、難所を乗り越え、
必死の思いでたどり着いた大景観。
鵜殿が震えた無垢な感動を、
私たちはもう味わうことができない。
渋谷三紀 18年8月11日放送
Daisuke tashiro
山について「北岳」
その高さ3193メートル。
日本で2番目に高い山、北岳。
平安時代の「古今和歌集」や「後拾遺和歌集」、
鎌倉時代の「平家物語」、
最近でも高村薫の「マークスの山」で取り上げられるほど
古くから日本人の心を掴んできた名峰だ。
夏の降雨量が多いため、絶滅危惧種に数えられる
キタダケソウやタカネマンテマ、キタダケトリカブトなど
珍しく、さらに美しい植物が多く見られることで知られている。
富士山より険しいという厳しい顔。
その裏にある、華やかな顔。
北岳の持つ意外性に登山者は魅せられるのかもしれない。
渋谷三紀 18年8月11日放送
山について「富士山」
標高3776メートル。
言わずと知れた日本一の山、富士山。
富士山は静岡県と山梨県の間にまたがっているが、
その山頂はどちらの県にあるだろう。
答えは・・・どちらでもない。
富士山本宮浅間大社の私有地だ。
八合目以上は境内で、頂上には奥座が鎮座している。
国のものでも誰かのものでもなく、神様のいる場所。
富士山は日本人の心の真ん中に高く高くそびえたっている。
大友美有紀 18年8月5日放送
Roland Hunziker
「遠いアフリカ」ブルキナファソ 独立記念日
今日、8月5日はブルキナファソの独立記念日です。
遠い遠い西アフリカの国。
マリ、ニジェール、ベナン、トーゴ、ガーナ、
コートジボワールに囲まれた内陸の国。
かつては、フランスの植民地でした。
そして1960年の今日、
フランス共同体内の共和国として独立。
当時の国名は、オートボルタ。
オートは、上という意味。
大西洋に注ぐボルタ川の上流にあったから。
今の国名、ブルキナファソとは、
「高潔な人々の国」という意味。
知らない国の、素敵な名前です。
大友美有紀 18年8月5日放送
Helge Fahrnberger
「遠いアフリカ」ブルキナファソ アクセス
今日はブルキナファソの独立記念日。
そこは、遠い遠い西アフリカの国。
首都はワガドゥグ。日本からの直行便はありません。
アフリカルートは、エチオペアのアディスアベバ経由。
ヨーロッパルートは、フランス、パリ経由。
その他は、モロッコ、カサブランカ経由。
バンコクからアディスアベバ経由というルートもある。
どの経由地も、映画の舞台になるような都市ばかり。
でも、ブルキナファソは?
ほとんどの人は、知らない。
スクリーンで見た国を経由して、知らない国にたどり着く。
そこで何が巻き起こるのか。
映画のような旅になりそうです。
大友美有紀 18年8月5日放送
ik Schuiling
「遠いアフリカ」ブルキナファソ 世界遺産
今日、8月5日は、ブルキナファソの独立記念日。
西アフリカの内陸の国です。
日本からブルキナファソを訪れる人は、そう多くない。
ブルキナファソには、ふたつの世界遺産があります。
ひとつは「W(ドゥブルヴェ)=アルリ=ペンジャリ国立公園複合体」。
ドゥブルヴェとは「W」のフランス語読み。
国立公園内を流れるニジェール川が、
Wの形に蛇行して流れていることから名付けられた。
「W(ドゥブルヴェ)=アルリ=ペンジャリ国立公園複合体」は、
ブルキナファソ、ニジェール、ベナンの3国にまたがっています。
最初にニジェールの「W」国立公園が世界自然遺産に登録。
その後、10年近くが過ぎ、2017年にブルキナファソの「アルリ国立公園」と
ベナンの「ペンジャリ国立公園」も登録されます。新しい遺産です。
もうひとつは、ロロペニの遺跡群。
14世紀から17世紀にかけて金の採掘や精錬で栄えた地域。
石壁に囲まれた、砦のような集落跡。
作られたのは、少なくとも1000年近く前。
けれど誰が何のために作ったのか、明らかにはなっていないらしい。
自然と謎。それだけでもブルキナファソを訪れる理由になりそう。
大友美有紀 18年8月5日放送
「遠いアフリカ」ブルキナファソ 白い呪術師
今日、8月5日は、ブルキナファソの独立記念日。
西アフリカの内陸の国。
ほとんどの人は知らない国。
でも、サッカーファンなら、知っているかもしれません。
それは、トルシエ監督。
1997年にブルキナファソの代表監督を務めました。
そして、翌年のアフリカ・ネーションズカップで、
ブルキナファソ代表を4位に導いたのです。
それまでほとんど無名に近かった国を
アフリカ第4位に押し上げたトルシエは
白い呪術師と呼ばれていました。
ブルキナファソは、2017年の
アフリカ・ネーションズカップで
史上初の第3位を獲得します。
白い呪術師が去って、20年近くが経っていました。
大友美有紀 18年8月5日放送
CIFOR
「遠いアフリカ」ブルキナファソ 千葉県白井市
千葉県の北部に位置する白井市(しろいし)。特産品は梨。
ここに「日本ブルキナファソ友好協会」があります。
貧困や病気に苦しむブルキナファソの人たちを
救済するために設立された民間活動団体です。
代表の松山倫政(のりまさ)は、
学生時代に知り合ったブルキナファソの友人と
文通を重ねるうちに支援を計画するようになったといいます。
ブルキナファソの人たちは正直で勤勉、
争いごとが嫌い。どこか日本人に似ている。
西アフリカの内陸の国、ブルキナファソに
診療所を作り、学校を作り、井戸を作り、
そのほかの支援も続けています。
今日、8月5日はブルキナファソの独立記念日。
大友美有紀 18年8月5日放送
「遠いアフリカ」ブルキナファソ/国名変更
今日は、西アフリカの国、ブルキナファソの独立記念日。
けれども、1960年に独立してからも、
クーデターの絶えない国でした。
1983年、第5代大統領に就任した
トーマス・サンカラは、
国民本位の政治をしようと考えました。
最初に変えたのは国名。それまでのオートボルタ、
ボルタ川の上流という意味の国名から、
ブルキナファソ、高潔な人々の国という名にしたのです。
今の国旗もそのときにつくられました。
上半分は赤、革命。下半分は緑、希望と豊かさ、
そして中央にある黄色い星は、国の宝である
鉱物資源をあらわしています。
その国名を体現するように、
サンカラ大統領が自ら汚職や腐敗を否定し、
質素に暮らしたのです。
大友美有紀 18年8月5日放送
CIFOR
「遠いアフリカ」ブルキナファソ シアバター
今日は、西アフリカの国、ブルキナファソの独立記念日。
美容に関心のある人なら、知っているかもしれない。
ブルキナファソは、シアバターの原産国です。
顔にも、身体にも髪にも使える保湿クリーム、
シアバターは、ブルキナファソにある「シアの木の実」から作られています。
南フランスのスキンケアブランドの創業者が、
シアの木と出会ったのは1980年代。
女性だけが触れることのできる神聖な木があるという。
その実を拾うのも、絞るのも、売るのも女性だけ。
シアの木は、ウーマンズゴールドと呼ばれるそうです。
ブルキナファソの女性の宝が、
世界中の女性を潤す宝になっていきます。