厚焼玉子 18年6月30日放送
チャイカの日 秘密
1963年6月
ソ連のボストーク6号は
世界初の女性宇宙飛行士テレシコワを乗せて
宇宙へ向かった。
宇宙開発のミッションは極秘で進められていたので、
宇宙飛行士の候補に選ばれたことさえ
テレシコワは家族に打ち明けることができなかった。
打ち上げ当日も「パラシュートの競技会に参加する」と
家族に説明した。
テレシコワが無事に地球に帰還し
政府がそのニュースを全世界に発表したとき
テレシコワの母は娘の偉業を初めて知ったのだ。
茂木彩海 18年6月24日放送
空のはなし 青空の空
雲行きの怪しい日もあれば
悲しみの雨に濡れる日だって。
人の心は空模様のように日々変わり続ける。
雲の向こうは、いつも青空。
小説家、ルイーザ・メイ・オルコットの言葉である。
どんな日だって、青空は広がっているはず。
その青空が見たくて、今日も人は上を向く。
熊埜御堂由香 18年6月24日放送
t-mizo
空のはなし 虹の色、空の色
虹の色といえば、日本では7色。
けれど、アメリカでは6色、ドイツでは5色、
アフリカのバサ族には
赤と黒の2色に見えるそうだ。
虹だけでなく、空そのものも色も、
太陽の光量や、目の色など
さまざまな要因がからみあって感じ方が変化するらしい。
空は、人間の感性の違いをおおらかに受け止める
カラフルなパレット。
今日の空は、あなたにはどんな色に見えますか?
小野麻利江 18年6月24日放送
空のはなし 星座の空
人工的な照明によって
夜空が薄明るくなる、はるか前。
人間にとって、空はコンパスであり、時計だった。
夜空を動く、星の流れ。
遊牧民族はそれらの動きで自分の位置を知り、
農耕民族は、作物の種まきや収穫の時期の目安とした。
いまどの星が、空のどこにあるのか。
それを分かりやすく、伝えやすくするために、
いつしか生み出されたのが「星座」。
隣り合う明るい星を、いくつかのまとまりにして。
さらに覚えやすくするために、
そこに、祖先から伝わる伝説などのモチーフを当てはめた。
星座は、世界じゅうで発生したどの文化にも存在しているという。
しかし、現在もっとも良く知られている88の星座の多くは、
古代メソポタミア文明からエジプトを経由し、
古代ギリシアで神話が追加されたものがベースとなっている。
人工的な照明によって
夜空は薄明るくなってしまったが、
数々の星座の存在は今もなお、
空の豊かな物語の、目次となっている。
茂木彩海 18年6月24日放送
空のはなし 荘子の空
古代中国の思想家・荘子(そうし)の言葉が、
こんな格言になっている。
管を用いて天をうかがう
細い管から空をのぞいて、
それを天だと思い込む。
しかしそのような狭い視野で、
空全体を知ることは到底できない。
たとえ話にすると、想像するだけで滑稽だ。
しかし案外、普段の私たちが、陥りがちな状況だ。
石橋涼子 18年6月24日放送
Bundesarchiv Bild 183-H28795
空のはなし トーマス・マンと夜空
ドイツのノーベル賞作家、トーマス・マン。
自分に厳しく、小説を書くにあたっても
周到な下調べや、細かな根拠づけを欠かさなかった。
文章を書くときは書斎にこもり神経を研ぎ澄ます。
家にいる子供たちにも静寂を求めたという。
なんだか堅物な印象のトーマス・マンだが、
こんな言葉も残している。
いま、私が一番好きな仕事は
夜に星空を眺めることです。
なぜと言って、
この地上から、
この人生から眼を逸らすのに
これほど良い方法があるでしょうか。
偉大な父も時には、やれやれ、と息をつきながら
星空を眺めたものか。
もしくは、もっと視野を広げなければなどと、
堅苦しいことを考えたりしたものか。
石橋涼子 18年6月24日放送
National Museum of the USAF
空のはなし ライト兄弟の飛んだ空
1903年と言えば、
機械が空を飛ぶことは不可能、と考えられていた時代。
そして、ライト兄弟が世界で初めて飛行機に乗って空を飛んだ年。
今、何かに限界を感じている人に、彼らの言葉を贈ります。
いま正しい事も、
数年後 間違っていることもある。
逆にいま間違っていることも、
数年後 正しいこともある。
そして我々は、飛行機はきっと空を飛ぶと確信していた。
さあ、広い空を見上げて、まずは一歩、踏み出そう。
茂木彩海 18年6月24日放送
twbuckner
空のはなし 空想の空
空想という言葉があるように、
人はなにかを想う時、空を見上げることがある。
児童文学「赤毛のアン」で描かれるアンはおしゃべりで空想好き。
虹ひとつ見ても、こんな風に目を輝かせる。
森の女神があたしたちが帰ってしまってからあらわれて、
これをスカーフにするんじゃないかしら。
空を見上げながら心を解放する時間は
子供だけでなく、大人にこそ大切な時間にちがいない。
薄景子 18年6月24日放送
jai Mansson’s photography.
空のはなし No rain, no rainbow.
雨上がりの空にかかる美しい虹。
見上げた瞬間、誰もが
幸福な気持ちになるのはなぜだろう。
虹の州と呼ばれるハワイでは
レインボーは神聖なものとされ、
こんな素敵なことわざもある。
No rain, no rainbow.
雨がなければ、虹はでない。
辛いできごとも、悲しみも、
やがては晴れる人生につながってゆく。
そんな希望に気づかせるために、
きょうも世界のどこかで
虹は七色に輝いている。
川野康之 18年6月23日放送
男と女の『古事記』
『古事記』が伝える日本神話。
そこには生き生きと愛し合う男と女の姿が描かれている。
イザナギとイザナミはお互いのむくむくと成長した体を見つめ合った。
「でも私の体には一つ足りないところがあるの」
とイザナミが言うと、
「ぼくの体には一つ余計なところがあるよ」
とイザナギ。
「ぼくの余計なところを君の足りないところに埋めてみるのはどうだろう」
「いい考えね」
そして二人は子供をつくった。
失敗もしたけど元気な子供たちをたくさん生んだ。
その子たちが日本の島々になった。