大友美有紀 17年5月7日放送
thorgilsv
「女の一生」「女の一生」オノヨーコ 84歳
ビートルズを解散させた女、
として世界中から非難されたオノヨーコ。
ジョン・レノンの死後も、
バッシングやストレスにさらされてきた。
私は70年かけて健康になったのだと思っています。
さまざまな苦しみや悲しみや恨みがあって、
それが身体の中でコブになっても、
その硬くなっているコブを70年かけて、
ゆっくりと溶かしてきました。
オノヨーコは苦しみから逃げることなく、
向かい合って自分のものにしてきた。
今年84歳、その強さに憧れる。
佐藤延夫 17年5月6日放送
天才の嗜好 オリヴァー・ヘヴィサイド
イギリスの物理学者、オリヴァー・ヘヴィサイド。
電子回路設計と電磁気学のベクトル解析の基礎を築き、
1912年には、ノーベル賞の最終候補にまで残っている。
薄茶色の髪、口ひげをたくわえ
鋭い目つきをしており、見た目は英国紳士。
そんな男だが、変人だった。
極度の人嫌いで、部屋に閉じこもったまま。
食事はトレイに乗せてドアの前に置くように命じた。
暗闇を好み、締め切った屋内での作業を愛し、
さらにその部屋を、うだるように暑くした。
天才とは、紙一重なのである。
佐藤延夫 17年5月6日放送
天才の嗜好 サミュエル・ジョンソン
18世紀の作家、サミュエル・ジョンソン。
シェイクスピアにまつわる多くの著作や、
英語辞典の編纂などで名を馳せ、
当時のイギリスで彼を知らない者はいなかった。
そんな男だが、変人だった。
食べ物を目の前にすると、飢えたライオンのように貪り食う。
また、道を歩きながら全ての柱に触り、
ドアを開ける際には、決まった歩数ぶん離れたところから飛び込んだという。
ただ、独特のユーモアは持っていた。
彼の英語辞典の一部を紹介しよう。
麦:イギリスでは馬の餌になっている穀物だが、
スコットランドでは人間の食料になっている。
佐藤延夫 17年5月6日放送
天才の嗜好 ジェレミ・ベンサム
イギリスの哲学者、ジェレミ・ベンサム。
彼の才能は幼少期に開花した。
3歳でイギリスの歴史を理解し、
5歳でギリシャ語とラテン語を読み、
15歳でオックスフォード大学を卒業した。
彼の発表した、政治と経済に関する数多くの著書は、
政治家を唸らせるほどのものだったという。
そんな男だが、変人だった。
彼の友達は、おびただしい数のネズミで、
放っておけば何時間でも撫でていたそうだ。
そして家庭用品に人間の名前をつけた。
ティーポットは「ディック」、
ステッキは「ダップル」と呼んでいた。
彼のミイラ化した遺体は、ロンドン大学に展示されている。
もちろん彼の遺言どおりの処置である。
佐藤延夫 17年5月6日放送
天才の嗜好 ヘンリー・キャベンディッシュ
イギリスの物理学者、ヘンリー・キャベンディッシュ。
彼の研究は多岐にわたり、その功績はあまりに輝かしい。
水が元素ではなく、水素と酸素の化合物であることを発見した。
火薬の発火防止法や、金合金の物理的性質。
オーロラの高度を調べ、ヒンズー教の暦を復元し、
地球の重さまで測定した。
そんな男だが、変人だった。
史上最高の科学者のひとりだが、
史上最高にシャイな性格で、
会話中に彼の顔を覗き込むことは禁じられた。
もちろん交友関係も一切なく、
親密と言われる甥ですら1年に30分しか会うのを許されなかった。
特に女性に対して内気で、
家政婦にもメモを残すだけだったという。
そして彼は、一冊の本も出さず、
研究の多くを発表しないままこの世を去った。
誰も彼の心の中を知ることはできない。
佐藤延夫 17年5月6日放送
天才の嗜好 リチャード・カーワン
アイルランドの科学者、リチャード・カーワン。
科学、法律、論理学をはじめ
さまざまな研究に従事したが、
彼を一躍有名にしたのは、
天候を予測するシステムの開発だった。
過去のデータと数学的アプローチによる予報は、
現在でも多くの分野で応用されている。
そんな男だが、変人だった。
食事はハムとミルクだけ。
恐ろしいほどハエを憎んでおり、
ハエの死骸を持ってきた人には金まで払ったという。
そして風邪をひかないためにあらゆる対策を講じたが、
79歳のとき、風邪の合併症でこの世を去った。
なぜか断食で治療していたそうだ。
石橋涼子 17年4月30日放送
図書館の話 マルクスの図書館通い
カール・マルクスの「資本論」は、
大英博物館の図書室で書かれたと言われている。
祖国を追われ、貧しかったこともあるが
当時、世界で最も情報が集まる図書館という場が、
経済学者の思索を手助けしたとも考えられる。
30年の間、毎日のように図書館に通い続けた
マルクスが、資本論序文に書いた言葉。
学問の急峻な山路をよじ登るのに
疲労困憊をいとわない者だけが、
輝かしい絶頂をきわめる希望をもつ
石橋涼子 17年4月30日放送
Damien
図書館の話 図書館の父、岡田健蔵
北方郷土資料の宝庫として有名な函館図書館には、
父と呼ばれる人がいる。
日本にまだ図書館がほとんどなかった明治42年、
私財を投じ、自宅を開放して図書館をつくった、岡田健蔵だ。
生活のすべてを図書館の活動と
資料の収集・保存に注ぎ込んだ。
貴重で高価な資料を買い集めるのも
財界人と親しくなって寄付を求めるのも、図書館のため。
岡田の家庭は、毎日の食事にも困るほど貧しかった。
そんな彼の遺言は、妻にたった一言。
誰が来ても、生前の俺のことを絶対にシャベんなよ
多くの人に慕われ、評価されながらも、
地位や名声を一切求めなかった彼らしい言葉だった。
岡田健蔵の葬儀は、彼の愛した図書館で盛大に行われた。
熊埜御堂由香 17年4月30日放送
図書館の話 図書館の自由に関する宣言
映画化もされた有川浩のベストセラーシリーズ「図書館戦争」。
不当な校閲から、本を読む自由を守るため図書館が武装するという
エンターテイメント作品だ。
「図書館の自由に関する宣言」から構想が生まれたという。
1954年に日本図書館協会が採択したその宣言は
こんな勇ましい言葉で綴られている。
図書館は、基本的人権のひとつとして知る自由をもつ国民に、
資料と施設提供することを、もっとも重要な任務とする。
図書館の自由が侵されるとき、
われわれは、団結して、あくまで自由を守る。
実は日本中の多くの図書館には、ひっそりとこの宣言が掲出されている。
図書館は、人間の知りたいという欲求を、
いつでも拒まずに、もの静かに受けとめてくれる。
「図書館の自由に関する宣言」は、
この場所が持つ強さと優しさに通じている。
薄景子 17年4月30日放送
図書館の話 サミュエル・ジョンソンの言葉
人は一冊の本を作るために、図書館半分をひっくり返す。
そう言ったのはイギリスの詩人、
サミュエル・ジョンソン。
その一冊にこめられた、先人たちの無限の叡智。
図書館は、そんな知恵と知識の宝庫なのだ。
なんでも瞬時に検索できる時代だけれど
宝探しのようにワクワクする
図書館での資料探しの習慣を大切にしたい。