薄景子 17年4月30日放送
hetgallery
図書館の話 司馬遼太郎と図書館
歴史小説家、司馬遼太郎。
十代の頃から本に目覚めて図書館に通いつめ、
大学時代も読書に明け暮れた。
愛読書は『史記』だったという。
大学卒業後、軍隊に入った司馬は、
終戦を迎えたときにこう思った。
昔の日本人はもっとましだったに違いない。
そんな思いから、その後
新聞記者の傍ら歴史小説を書き出した。
膨大な資料をもとに
時代背景や登場人物をあらゆる角度から描き、
戦国時代から明治期にいたるまでの
日本と日本人の生き方を浮き彫りにした。
作家の原点を、本に学んだ司馬は言う。
いま、自分の十代の間に
何ごとかがプラスになったかも知れないということを考えてみると、
いくらか考えても図書館しかない。
茂木彩海 17年4月30日放送
図書館の話 冬眠図書館
18種類の架空の仕事と、その従業員のインタビュー集。
タイトルは、「じつは、わたくしこういうものです」。
この中に、一風変わった図書館が登場する。
なんでも、その図書館は冬の間だけ小さな森の中に夜通し開いていて、
お夜食としてコーヒーと、パンと、シチューがふるまわれるという。
司書は、そのシチュー当番を任される重要な役職だ。
冬眠図書館は
冬眠するように本を読むための図書館です。
誰にも邪魔されず一人、本の世界にこもる。
本好きの夢が、ここにある。
小野麻利江 17年4月30日放送
sbrrmk
図書館の話 ポルトガルの幻想図書館
ブラジル・リオデジャネイロにある、「王立ポルトガル図書館」。
後期ゴシック様式で建てられ、
天窓のステンドグラスやシャンデリアは豪華絢爛。
そこに、カラフルな背表紙を持った古い蔵書が
天井近くまで積み上がっている。
その光景は児童文学に出てくる「魔法使いの学校」そのもので、
「幻想図書館」とも呼ばれている。
そして、約35万冊もの蔵書を持ちながら、
一般の人が手を触れることは一切禁止されている。
図書館なのに、閲覧できない。
おとぎ話のような図書館のありようが、リオにある。
小野麻利江 17年4月30日放送
図書館の話 40年間”延滞”された本
世間一般の『延滞』より
長い期間借りてしまいましたが、返却致します。
昨年、そんな手紙と一緒に
アメリカ・オハイオ州のデイトン・メトロ図書館に
返却された1冊の本。
差出人の住所は、約6800kmも離れたフィンランド。
そして本が貸し出されたのは、何と1970年代。
およそ40年前、差出人の弟が
交換留学生としてオハイオ州にいた時に
借りたようだ、とのこと。
さて。この話を聞いてドキッとした方がいたら、
ご自分の本棚を、確認してみてもいいかもしれません。
名雪祐平 17年4月29日放送
Damien Cox
ファーストレディという、あやふや
女は、靴に狂った。
そのコレクション、3000足。
夫、マルコス・フィリピン大統領が失脚すると、
豪華な宮殿に3000足を残したまま、
ハワイに亡命。
ああ、靴がない。靴がないわ。
女の嘆きが報道されると、
全米から続々とプレゼントが届けられた。
片方だけの靴。
左右のサイズが不揃いの靴。
履き古され、汚い靴。
無用の存在感。
選挙で選ばれてもいない存在なのに、
なぜ人は、
ファーストレディと呼ぶのだろう?
名雪祐平 17年4月29日放送
ファーストレディという、あやふや
女は、夫に願った。
核戦争の時もそばにいさせて。
核のボタンを押せるのは夫だけだった。
アメリカ大統領、
ジョン・F・ケネデイ。
産んだばかりの息子が死んだ時は、
夫と泣いた。
これ以上耐えられないことは、
たったひとつ。
あなたを失うことよ。
そのわずか3ヶ月後、
テキサス州ダラスでパレード中、
夫が銃撃された。
車に飛び散る
夫の頭部の欠片。
それを必死で
手であつめようとする
ファーストレディの姿があった。
名雪祐平 17年4月29日放送
ファーストレディという、あやふや
女は、ファッションに夢中だった
夫、ジョン・F・ケネデイ大統領が
暗殺された時は、
女のピンクのシャネルスーツが、
夫の赤い血を浴びた。
失意の後、ギリシャの大富豪で
62歳のオナシスと再婚。
小切手と結婚したな。
そう世界から批判が集中した。
にもかかわらず、
女は服、靴、バッグ、宝石を買い漁った。
この結婚は、
毎月目をむくような請求書を
つきつけられることなのか。
嫌気が差したオナシスは
離婚を考えたが、別れる前に死んでしまう。
女には、莫大な遺産が転がりこんだ。
名雪祐平 17年4月29日放送
ファーストレディという、あやふや
女は、正しいと疑わなかった。
ルーマニアの独裁者、
チャウシェスク大統領の
ファーストレディとして。
部屋数3107室の贅の限りを尽くした
巨大宮殿の建造も、正しい。
結果、8万人もの住民が家を失う。
女性は45歳までに5人の子どもを産む
人口増加政策も、正しい。
結果、捨て子が激増。
穀物、工業生産のほとんどを輸出に回し、
国内の貧困も、正しい。
結果、パン1つにも飢え、氷点下に凍える。
とうとう、国民の不満が爆発し、
ルーマニア革命が起こる。
多数の犠牲者を出しながらも、
独裁者夫婦は捕らえられた。
銃殺刑のまえ、女は叫んだ。
国家の母を殺せるものか!
結果、女の正しさは死んだ。
名雪祐平 17年4月29日放送
ファーストレディという、あやふや
女たちは、ファーストレディ。
公人か、私人か。
美しいか、そうでもないか。
知的か、ゲスか。
残酷か、慈悲深いか。
私たちは、
ファーストレディに何を求めるのだろう?
あやふや。
夫が国のトップに出世しただけなのに。
摩訶不思議な、ファーストレディ。
いずれにしても、注目されてしまう女たち。
ファーストジェントルマンが
注目される時代も来るのだろうか?
それは、きっと、いい時代。
レディもジェントルマンの差もなく、
優れた国のトップが増える時代、
かもしれない。
原央海 17年4月23日放送
mrlins
16時台 「中川家」篇
「駆け込み乗車をするサラリーマン」から、
「気の強い大阪のオバチャン」まで。
街中でよく見かける光景の形態模写といえば、
兄弟漫才コンビ「中川家」がピカイチだ。
数々の漫才コンテストのグランプリを獲得している、この2人。
ボケ担当のお兄さん、
中川剛(なかがわつよし)は「漫才師になるために必要な才能」を問われ、
こう答えたそうだ。
貧乏だったってことかな。
物を与えてもらえなかったから、
自分らで面白いことを考えて、作り出してた。
人を見て、人に興味持つしか遊ぶものなかったから。
それが、今につながっていると思う。
どんな状況をも面白がろうとする気持ちが、
彼らを日本一の漫才師へと導いたのかもしれない。