三島邦彦 16年12月24日放送
今夜はクリスマスイブ 桐島洋子
今夜はクリスマスイブ。
世界中でクリスマスパーティが開かれる。
パーティは苦手だけれど、
行かなくてはいけないという人へ。
昭和の文筆家で、
ウーマンリブの第一人者、
桐島洋子は、こう励ます。
よい人付き合いに勝るごちそうが
この世にあろうかと思う。
もっと欲張って、人生を、人間を、出会いをむさぼろう。
三島邦彦 16年12月24日放送
今夜はクリスマスイブ ロバート・メイ
1938年、アメリカ、シカゴ。
通信販売会社の広告宣伝部で
コピーライターの仕事をしていた
ロバート・メイは、娘のバーバラからこう言われた。
どうしてうちのママは、みんなと違うの?
当時、ロバートの妻は重い病気にかかっており、
その治療費でロバート一家は貧しい生活を強いられていた。
「みんなと違う。」そのことに悩む娘のために
ロバートは一つの物語を書いた。
真っ赤なお鼻のトナカイさんは
このフレーズから始まる物語は、
ロバートの従兄弟の手によって歌になり、
やがて世界に広まった。
赤鼻のトナカイは、
今も世界中で
みんなとの違いに悩む人を
笑顔に変えてくれている。
三國菜恵 16年12月24日放送
今夜はクリスマスイブ 岩田徹(いわたとおる)
北海道砂川市にある本屋「いわた書店」。
へんぴな場所にありながら、
いま日本でいちばん忙しい本屋と言われている。
店主の岩田徹さんのもとには、
毎月3000通ものメールが届く。
そのメールは「カルテ」と言われ、
どんな本を求めているか
どんな人生を送ってきたかを
事細かに記入する必要がある。
カルテをもとに、
岩田さんが1万円分の本を選ぶ。
そして、遠く離れたひとりひとりの元へ
処方箋のような本が届く。
岩田さんは毎日、サンタクロースのように忙しい。
三國菜恵 16年12月24日放送
今夜はクリスマスイブ こぐま社
『しろくまちゃんのほっとけーき』などで知られる
絵本の出版社、こぐま社。
子どもたちに、クリスマスの起源を
教えるためにつくられた
『クリスマスおめでとう』という絵本がある。
イエスキリストがうまれたその日、
羊たちも、天使たちも、空の星までもみんな、いそいそと現場に向かう。
こんな言葉を口にしながら。
みんなが まっていた うれしいことって なんだろう
街に溢れるあたたかい祝福感が、
絵本をめくると伝わってくる。
三島邦彦 16年12月24日放送
今夜はクリスマスイブ オーギー・レン
クリスマスになると、見たい映画がある。
たとえば、ウェイン・ワン監督による、1995年作の作品「スモーク」。
原作の小説の名前を
「オーギー・レンのクリスマスストーリー」という。
この物語の登場人物たちは
どうしようもない嘘をつく。
つくしかなくて、つく嘘たち。
主人公のオーギー・レンもまた、
かつて、ある人を嘘でだました経験をとつとつと語る。
それを聞いていた常連客は、その嘘についてこう答える。
本当にいいことをしたな。
人を幸せにした。
生きていることの価値だ。
さあ、今年のクリスマスは
世界中でどんな嘘がつかれるのだろう。
奥村広乃 16年12月18日放送
ジングルベルの噂1
もうすぐクリスマス。
この時期になると耳にする「ジングルベル」の歌。
元々はクリスマスソングではなかったという。
作詞作曲は、アメリカの牧師ジェームズ・ピアポント。
彼の教会でサンクスギビングのお祝いのために作ったのだとか。
元の歌詞には、クリスマスという言葉は無く、
ただただソリ遊びをする楽しさを歌っている。
女の子とそりを二人乗りして、ひっくり返ったり、
それを通りがかった紳士に笑われるシーンまである。
気持ちが華やぐメロディは、
時代も国境も季節さえも超えていくようだ。
礒部建多 16年12月18日放送
屋根の上で
キリストの生誕を祝うための祭日。
そんなクリスマスが、
今のように変化していった背景には、歌の影響がある。
ベンジャミン・ハンビーによってつくられた、
邦題”屋根の上で”は、
初めてサンタがクリスマスソングに登場した曲となった。
「サンタクロースは、
たくさんのおもちゃを持って、
煙突をおりてくる。」
サンタクロースのお茶目なキャラクターや、
楽しげな雰囲気は、この曲から広がっていった。
心踊るクリスマス。
それこそが、先人たちの想像力がつくりあげた、
最高のプレゼントなのかもしれない。
奥村広乃 16年12月18日放送
x-ray delta one
ジングルベルの噂2
1965年12月25日。
宇宙で初めて人類が演奏をした。
宇宙飛行士ウォルター・シラーの吹いたハーモニカだった。
曲名は、ジングルベル。
大きさ、わずか3.5cm。
重さ、たったの7.5グラム。
その小指より小さなハーモニカは
重量制限の厳しい宇宙飛行に
かろうじて積むことが出来た楽器であったという。
無線をつうじて、地上に届けられた
ジングルベルのメロディ。
当時の人々はどのような気持ちで聞いたのだろうか。
人類は宇宙へ飛び出しても、音楽をほしがる。
クリスマスソングを聞くと
無条件にワクワクしてしまうのは、
いつの時代でも、いかなる場所でも、
変わらないのだろう。
奥村広乃 16年12月18日放送
クリスマスソングと反戦歌
世界中で歌われるクリスマスソングには、
戦争の終わりを願う歌が多い。
ホワイト・クリスマスは
第二次世界大戦の最中につくられた。
スティービー・ワンダーのSomeday at Chirstmas
ジョン・レノンのHappy Xmas(War is over)
はともにベトナム戦争の真っ只中だった。
人類がサンタクロースに望む
最高の贈り物はきっと、
戦争のない世界だ。
澁江俊一 16年12月18日放送
クリスマスを変えた物語
チャールズ・ディケンズの
「クリスマス・キャロル」。
金の亡者であるスクルージが
クリスマスイブの夜の
不思議な体験をきっかけに
人を思いやる、やさしい人間に改心する。
富める者は、
貧しい者のために何ができるのか。
そう問いかけるこの物語が
産業革命当時のイギリスやアメリカで
広く愛されたことで、
廃れかけていたクリスマスは、
他者を思いやるための一日になった。
格差が広がり続けている今でも
ディケンズがくれた贈り物
「クリスマス・キャロル」は
世界中で読まれ続けている。