佐藤延夫 16年12月3日放送
妻 田村俊子
明治生まれの小説家、田村俊子は
倹約という言葉を知らぬ妻だった。
小説で稼いだお金は湯水のように使い、
有り金がギャンブルで消えると
見境なくお金を借りた。
金遣いの荒さは生涯変わらなかったそうだ。
今日12月3日は、妻の日。
良妻か悪妻か、お金の使い方でわかる。
佐藤延夫 16年12月3日放送
妻 若山喜志子
詩人、若山牧水の妻、喜志子は
夫が大酒飲みということを知らずに結婚したそうだ。
ほとんど外出しており、
帰ってきても酒ばかり飲んでいる亭主に、
妻として、ひたすら耐えた。
だが、牧水が若くして亡くなると、歌づくりに専念する。
もともと歌人を目指していた喜志子は、水を得た魚のように80歳まで生きた。
今日12月3日は、妻の日。
か弱き妻ほど、たくましい。
佐藤延夫 16年12月3日放送
妻 大塚楠緒子
夏目漱石が恋した人、大塚楠緒子。
彼女の結婚相手は、漱石の友人だった。
妻としての生活は自由この上なく、
夫が留学している間に英語やピアノを習い、
小説まで書いて人気作家の仲間入りを果たした。
ふたりは良きライバル関係にあったが、
楠緒子はわずか35歳でこの世を去る。
漱石はこんな句を捧げた。
あるほどの 菊投げ入れよ 棺の中
今日12月3日は、妻の日。
それは、恋した人を想う日。
佐藤延夫 16年12月3日放送
妻 北原菊子
詩人、北原白秋には、3人の妻がいた。
その3番目の配偶者、菊子は
「大きな赤ん坊」と言われるほどの男を献身的に支え、
波乱万丈な白秋の結婚歴に終止符をうつ。
夫の目が悪くなれば、手となり足となり、
創作活動はふたりの仕事になった。
今日12月3日は、妻の日。
不良の夫を更生させたのは、海のような広い心。
熊埜御堂由香 16年11月27日放送
Caden Crawford
のりものの話 働くきかんしゃトーマス
イギリスで生まれ、今ではアニメとして
日本の子どもたちにも親しまれている
「きかんしゃトーマス」。
機関車たちが一生懸命、仕事をしながら
繰り返し口にする言葉がある。
僕らは、役に立つ機関車になりたいんだ!
そののりものたちの素直な言葉は、
小さな子どもたちに
人間が働くことの根本的な喜びを伝え続けている。
薄景子 16年11月27日放送
Anthony Atkielski
のりものの話 ハインツ・シュトゥッケの自転車冒険
ドイツ人の自転車冒険家、ハインツ・シュトゥッケ。
1962年、22歳で母国を離れ、自転車で世界旅行へ出発。
70歳を超えてもその旅は終わらない。
史上最長距離の自転車旅行者として
ギネスブックにも登録されている。
そんなハインツは、姉からいつも
「おまえの人生はバケーションだな」といわれ
胸をはってこう答えるという。
「そう、これこそが私の人生だ」
一生は神様がくれたバケーション。
それを楽しむのに必要なのは、
少年のままの冒険心と一台の自転車だけかもしれない。
茂木彩海 16年11月27日放送
北京老佟
のりものの話 車いす技師 安大輔
競技用車いすの設計技師、安 大輔。
担当するのは、車いすテニスで初のプロ転向を果たした国枝慎吾。
もう10年の付き合いになる。
国枝の口から不満の言葉を聞いたことはないが、
「完璧だ」と言われたこともない。
安は言う。
その時その時に最高の1台を作らないといけない。
でもそれを作った瞬間に、また新たな課題が出てくる訳です。
だから彼の車いすはずっと未完成のまま。
体の変化に合わせるように、車いすも変わっていく。
乗り物が体の一部に感じられるほど、アスリートは自信をつける。
それがどんな自信なのか。国枝はこんな言葉を残している。
車いすは、自分にとっての足だ。
茂木彩海 16年11月27日放送
iamkory
のりものの話 乗り物のデザイン
スターウォーズに登場する「銀河系最速のガラクタ」
ミレニアム・ファルコン。
ルーカスが突如、食べていたハンバーガーから
バンズを取り除き、オリーブを片側に、フォークの歯の部分を手前に
取り付けたところからあの平たいフォルムが生まれたという。
周りをよく見回せば、いたるところにアイデアはある。
ルーカスのモットーは、乗り物のデザインにも惜しげなく注がれている。
石橋涼子 16年11月27日放送
dokure
のりものの話 仲津英治と新幹線500系
日本を代表するのりもの、新幹線。
英語でもshinkansenそのままで通じるという。
最先端技術の結晶のようなイメージがある新幹線だが、
開発当時に世界最速記録を打ち立てた500系は、
設計上の様々なヒントを、空を飛ぶ鳥からもらったという。
空気抵抗による騒音の原因だったパンタグラフは、
もっとも静かに空を飛ぶと言われている
フクロウの羽を研究し、改良のヒントとした。
高速でもなめらかに水面に飛び込むカワセミは、
水の抵抗を軽減するするどいクチバシが
新幹線の先頭デザインのヒントとなった。
当時の開発責任者だった仲津英治氏は言う。
人間は自然に学ぶべきだ。
自然に勝とう、自然を克服しようという考えがまちがっている。
自然の造形からたくさんのヒントを得た500系は、
静かさと速さを兼ね備えた新幹線となり、
奇しくも「近未来的なデザイン」という評価で
多くのファンを獲得した。
石橋涼子 16年11月27日放送
のりものの話 パスカルと公共バス
現代でもおなじみの移動手段のひとつ、公共バス。
その起源は、17世紀パリに遡る。
当時、馬車を所有できるのは裕福な貴族だけだった。
それを定められた路線と、定められた時間に運行することで
乗合馬車として誰でも使える移動手段にしたのだった。
アイデアを生み出したのは、あなたも知っているあの偉人。
人間は考える葦である。
という言葉で有名な哲学者のパスカルだ。
パスカルの定理やパスカルの原理も偉大な業績だが、
公共バスだって負けないくらい偉大だ。